流動負債の債務に関する勘定科目は下記になります。
- 「買掛金」
- 「未払金」
- 「未払費用」
この3つは支払う義務が発生する債務になりますが、
この違いがイマイチわからないと感じる方も多いと思います。
今回は「買掛金」「未払金」「未払費用」の違いについて解説します。
「買掛金」「未払金」「未払費用」の違いをわかりやすく解説していきます。
「買掛金」とは?
買掛金は、営業取引で商品を仕入れた場合に使います。
ようするに販売目的(あるいは製造目的)での取引によるものになります。
主に相手科目は「仕入」や「外注費」に扱われることが多く、「売上原価」の項目になります。
例:A社は商品100円を仕入れた。代金は後日支払うとする。
仕入 | 100 | / | 買掛金 | 100 |
つまり売上に直結する費用の債務が「買掛金」になります。
仕入れた商品は販売され売上に繋がるので、仕入れた時の債務は買掛金で計上します。
買掛金の具体例
【買掛金の具体例】
- 販売目的の商品の購入など
- 製造目的の原材料の購入など
「未払金」とは?
「未払金」は、営業外取引で商品を仕入れた場合に使います。
ようするに買掛金とは反対に販売目的(あるいは製造目的)以外 での取引に扱います。
例えば消耗品費や備品は、「販売費および一般管理費」の項目によるものになります。
※消耗品はボールペン・コピー用紙など、備品はパソコンなどになります。
例:A社は200,000円のパソコンを購入した。代金は後日支払うとする。
備品 | 200,000 | / | 未払金 | 200,000 |
ただし、このパソコンが販売目的であれば仕訳も下記のように変わります。
仕入 | 200,000 | / | 買掛金 | 200,000 |
つまり、売上に直結しない費用の債務が「未払金」になります。
何を買ったかというよりは、何の目的で買ったかが重要になります。
未払金の具体例
【未払金の具体例】
- 消耗品の購入
- 固定資産の購入
「未払費用」とは?
「未払費用」は一定の契約に従い、
継続的な契約ですでに提供された役務に対して、
いまだその対価の支払が終らない場合に使用します。
例を出すと借入金の利息です。
例えば1月に現金を借入し、3月末決算時点で利息を支払っていない場合、
債務は確定していませんが1~3月の3ヶ月分の利息を費用として計上する必要があります。
例:A社は1月に現金を借り入れた。3月末決算時点で発生した利息は300円である。この利息はまだ支払っていない。
支払利息 | 300 | / | 未払費用 | 300 |
未払費用の代わりに、「未払利息」の勘定科目を用いることもあります。
借入金の返済はしていないので利息の債務は確定していません。
しかし費用として発生しているため費用計上する際に相手科目を
「未払費用」で計上します。
もう1つ例をみていきましょう。
例:X1年11月より保険の役務提供が始まった。X2年10月に1年分の保険料1,200円支払うとする。X2年3月決算に当期分の費用を計上せよ。
支払利息 | 500 | / | 未払費用 | 500 |
※11月から3月までの5ヶ月分を費用計上するため1,200円(年)×5ヶ月÷12=500円となる
継続的な取引で費用を計上するときの負債科目は「未払費用」となります。
未払費用の具体例
【未払費用の具体例】
- 給料
- 地代家賃
- 借入金などの利息
- 水道光熱費
- 毎月発生する通信費、リース料など
給料や地代家賃は毎月継続的に発生します。そのため未払費用となります。
未払金と未払費用を分ける理由
未払金と未払費用の違いは下記になります。
- 未払金
→単発的な営業外取引 - 未払費用
→継続的な営業外取引
→正直、厳密に区分する必要はないと言えます。
中小企業では多少この区分を間違えても大きな影響はないと言えます。
しいて言えば、未払費用は継続的に発生する取引のため
基本は毎月、大きな変動はないはずと言えます。
もし大きな変動が発生した時に
「どこか間違えがあるのではないか?」と気付きやすいのがメリットになります。
未払金は単発的な取引が多いため毎月変動しますが
未払費用は継続的な取引が大きいため大きな変動はありません。
まとめ
「買掛金」「未払金」「未払費用」の違いをまとめると下記のようになります。
- 「買掛金」
→営業取引による債務 - 「未払金」
→営業外取引による債務 - 「未払費用」
→継続的な契約で役務提供が終わっておらず、債務が確定していないもの
「未払金」と「未払費用」は特に混在しがちなので、この機会に覚えておきましょう。
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