「課税売上割合」とは消費税法における用語で、消費税の計算で重要となるポイントとなります。
今回は「課税売上割合」とは何なのか?計算方法などについて解説します。
消費税による4つの分類
まず消費税による4つの分類について説明します。
消費税は取引内容によって下記の4つに分類されます。
- 課税
- 非課税
- 不課税
- 免税
課税
「課税」とは”税金を課すること”という意味になります。
課税取引であれば消費税が発生します。
非課税
「非課税」は本来は課税取引になるが消費税の性格上、課税しないものになります。
不課税
「不課税」とは下記の課税取引の要件に満たしていないものになります。
(課税取引の対象)
- 国内の取引である。
- 事業者が事業として行う取引であること
- 資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供する取引であこと
- 対価を得て行う取引であること
免税
「免税」とは文字通り消費税を免除することです。
“課税対象の要件を満たしているが、課税とならないもの“は
主に商品の輸出や国際輸送、外国にある事業者にサービスの提供を行う取引が該当します。
↓これら4つの違いについては下記で詳しく解説しております。
このように消費税は取引内容によって上記4つに分類されます。
非課税・不課税・免税について
大まかに考えると消費税は下記のように考えられます。
「課税」
→消費税が発生する
「非課税」・「不課税」・「免税」
→消費税が発生しない
ここで下記のような疑問を感じる方もいるのではないでしょうか。
「非課税」・「不課税」・「免税」は
消費税が発生しないという意味では同じなので、区分する意味がないのでは?
その疑問の回答となるのが
「課税売上割合」になります。
課税売上割合を計算する際にこの3つの区分が必要となります。
課税売上割合の計算方法
課税売上割合とは?
課税売上割合とは、全ての売上(不課税除く)のうち、課税売上高(消費税が課される売上高)が何%占めていたかを表す割合のことをいいます。
- 分子・・課税売上高(消費税が課される売上高)
- 分母・・全ての売上(不課税を除く)
課税売上割合の計算式
「課税売上割合」は下記のように計算します。
- 「課税売上」は分子に含めます。
- 「非課税」は、本来は課税取引になるが消費税の性格上、課税しないもののため、分母に含めます。
- 「免税売上」は0%課税売上なので課税売上(分子)に含みます。
- 「不課税売上」は、課税取引の要件に満たしていないため、分母にも分子にも含みません。
このように4つの課税区分を分類する理由は、課税売上割合を正しく計算するためになります。
例題
(解答)
課税売上割合:97%
(解説)
(①課税売上)÷(①課税売上+②非課税売上)
=(①1,000万円)÷(①1,000万円+②30万円)
=97.08・・
≒97%
なぜ課税売上割合を求める必要があるのか?
消費税の計算では
「預かった消費税(仮受消費税)」から
「支払った消費税(仮払消費税)」を差し引いて税額が決定します。
「預かった消費税(仮受消費税)」ー「支払った消費税(仮払消費税)」=納税額(未払消費税)
この「支払った消費税(仮払消費税)」を差し引くことを
「仕入税額控除」といいます。
仕入税額控除とは?
しかし、支払った消費税が全額控除できない場合もあります。
その際に正しく「仕入税額控除」を計算するために用いるのが「課税売上割合」です。
課税売上割合を計算する理由は、仕入税額控除を求めるためになります。
課税売上割合の95%ルール
課税売上割合が95%、課税売上高が5億
上回るか下回るかによって「仕入税額控除」の計算方法が異なります。
【課税売上割合95%以上】かつ【課税売上高5億円以下】
→全額控除(100%控除)
【課税売上割合95%未満】または【課税売上高5億円超え】
→一部控除不可
全額控除(100%控除)
下記2つの要件を満たす場合は全額控除となります。
- 課税売上割合95%以上
- 課税売上高5億円以下
この場合は課税仕入にかかる消費税を全額控除できます。
一部控除不可
下記2つの要件をいずれか満たさない場合は一部控除不可となります。
- 課税売上割合95%以上
- 課税売上高5億円以下
課税仕入にかかる消費税を全額控除することはできず
一部控除不可となります。
この場合、「個別対応方式」と「一括比例配分方式」の
2種類の方法のいずれかを選択して消費税額を計算します
↓「個別対応方式」と「一括比例配分方式」については下記で詳しく解説しております。
課税売上割合が95%未満となる業種
売上に関する取引は課税売上のケースが多いため
課税売上割合は95%以上となる企業がほとんどとなります。
95%未満となる業種は、非課税売上の取引が多い会社です。
- 土地の譲渡、貸付け
- 有価証券の譲渡
- 郵便切手類の譲渡(使用時に課税)
- 印紙の譲渡
- 商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡
- 預貯金の利息
- 海外送金などの外国為替
- 教育関連(学校の授業料・入学金など)
- 社会保険料
- 住宅の貸付け(1ヶ月未満は課税)
例えば、不動産業などが行う土地の譲渡などは非課税取引になります。
非課税取引が多いと課税売上割合も少なくなるため、課税売上割合が95%未満になることがあります。
まとめ
今回は課税売上割合について解説しました。
課税売上割合は下記のように算出します。
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