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課税売上割合とは?計算方法や95%ルールなど

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「課税売上割合」とは消費税法における用語で、消費税の計算で重要となるポイントとなります。

今回は「課税売上割合」とは何なのか?計算方法などについて解説します。

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消費税による4つの分類

まず消費税による4つの分類について説明します。

消費税は取引内容によって下記の4つに分類されます。

  • 課税
  • 非課税
  • 不課税
  • 免税

課税

課税」とは”税金を課すること”という意味になります。

課税取引であれば消費税が発生します。

非課税

非課税」は本来は課税取引になるが消費税の性格上、課税しないものになります。

不課税

不課税」とは下記の課税取引の要件に満たしていないものになります。

(課税取引の対象)

  • 国内の取引である。
  • 事業者が事業として行う取引であること
  • 資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供する取引であこと
  • 対価を得て行う取引であること

免税

免税」とは文字通り消費税を免除することです。

“課税対象の要件を満たしているが、課税とならないもの“は

主に商品の輸出や国際輸送、外国にある事業者にサービスの提供を行う取引が該当します。

↓これら4つの違いについては下記で詳しく解説しております。

このように消費税は取引内容によって上記4つに分類されます。

非課税・不課税・免税について

大まかに考えると消費税は下記のように考えられます。

「課税」

→消費税が発生する

「非課税」・「不課税」・「免税」

→消費税が発生しない

ここで下記のような疑問を感じる方もいるのではないでしょうか。

「非課税」・「不課税」・「免税」

消費税が発生しないという意味では同じなので、区分する意味がないのでは?

その疑問の回答となるのが

課税売上割合」になります。

課税売上割合を計算する際にこの3つの区分が必要となります。

課税売上割合の計算方法

課税売上割合とは?

課税売上割合とは、全ての売上(不課税除く)のうち、課税売上高(消費税が課される売上高)が何%占めていたかを表す割合のことをいいます。

  • 分子・・課税売上高(消費税が課される売上高)
  • 分母・・全ての売上(不課税を除く)

課税売上割合の計算式

課税売上割合」は下記のように計算します。

課税売上割合
  • 「課税売上」は分子に含めます。
  • 「非課税」は、本来は課税取引になるが消費税の性格上、課税しないもののため、分母に含めます。
  • 「免税売上」は0%課税売上なので課税売上(分子)に含みます。
  • 「不課税売上」は、課税取引の要件に満たしていないため、分母にも分子にも含みません。

このように4つの課税区分を分類する理由は、課税売上割合を正しく計算するためになります。

例題

例題
  • ①課税売上1,000万円
  • ②非課税売上30万円
  • ③不課税売上20万円

上記の場合の課税売上割合を求めなさい。

小数点以下は切り捨てとする。

(解答)

課税売上割合:97%

(解説)

(①課税売上)÷(①課税売上+②非課税売上)

=(①1,000万円)÷(①1,000万円+②30万円)

97.08・・

≒97%

【注意】

[③不課税売上20万円]は、分母にも分子にも含めません。

不課税売上高は課税売上割合の計算の対象外となります。

なぜ課税売上割合を求める必要があるのか?

消費税の計算では

「預かった消費税(仮受消費税)」から

「支払った消費税(仮払消費税)」を差し引いて税額が決定します。

「預かった消費税(仮受消費税)」ー「支払った消費税(仮払消費税)」=納税額(未払消費税)

この「支払った消費税(仮払消費税)」を差し引くこと

仕入税額控除」といいます。

仕入税額控除とは?

仕入税額控除」とは?

課税仕入れ等に係る消費税額のこと。

しかし、支払った消費税が全額控除できない場合もあります。

その際に正しく「仕入税額控除」を計算するために用いるのが「課税売上割合」です。

課税売上割合を計算する理由は、仕入税額控除を求めるためになります。

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課税売上割合の95%ルール

課税売上割合が95%、課税売上高が5億

上回るか下回るかによって「仕入税額控除」の計算方法が異なります。

【課税売上割合95%以上】かつ【課税売上高5億円以下】

全額控除(100%控除)

【課税売上割合95%未満】または【課税売上高5億円超え】

一部控除不可

全額控除(100%控除)

下記2つの要件を満たす場合は全額控除となります。

  • 課税売上割合95%以上
  • 課税売上高5億円以下

この場合は課税仕入にかかる消費税を全額控除できます。

一部控除不可

下記2つの要件をいずれか満たさない場合は一部控除不可となります。

  • 課税売上割合95%以上
  • 課税売上高5億円以下

課税仕入にかかる消費税を全額控除することはできず

一部控除不可となります。

この場合、「個別対応方式」と「一括比例配分方式」の

2種類の方法のいずれかを選択して消費税額を計算します

個別対応方式」と「一括比例配分方式については下記で詳しく解説しております。

課税売上割合が95%未満となる業種

売上に関する取引は課税売上のケースが多いため

課税売上割合は95%以上となる企業がほとんどとなります。

95%未満となる業種は、非課税売上の取引が多い会社です。

非課税取引の具体例
  • 土地の譲渡、貸付け
  • 有価証券の譲渡
  • 郵便切手類の譲渡(使用時に課税)
  • 印紙の譲渡
  • 商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡
  • 預貯金の利息
  • 海外送金などの外国為替
  • 教育関連(学校の授業料・入学金など)
  • 社会保険料
  • 住宅の貸付け(1ヶ月未満は課税)

例えば、不動産業などが行う土地の譲渡などは非課税取引になります。

非課税取引が多いと課税売上割合も少なくなるため、課税売上割合が95%未満になることがあります。

まとめ

今回は課税売上割合について解説しました。

課税売上割合は下記のように算出します。

課税売上割合

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