昨今、円安によるニュースが多く取り上げています。
今回は下記についてについて解説していきます。
- 円安になると私たちの生活にどう影響するのか?
- ここ最近で急激な円安が進んだ理由
- 今の日本の円安における最大の問題
- 円安はいつまで続くのか?
円安とは?
円安とは円の価値が安いことをいいます。

1ドル買うのに100円だったのが200円になる。
これが円安です。
例えばアメリカのハンバーガーショップで
1ドルのハンバーガーを購入する場合
今まで100円で購入できたものが、為替レートの変動により
200円となった場合、これは
ドルの価値が高くなり、円の価値が下がったということになります。

円安→円の価値が安い状態
円高→円の価値が高い状態
2019年以降の為替レートの推移
2021年1月以降の為替レートの推移は下記のようになります。

2022年3月までは変化はあるものの緩やかに推移していましたが
それ以降、急激な「円安」が進んでおります。

この急速な円安の動きは約20年ぶりとなります。
円安のメリット・デメリット
円安は一概に悪いことではありません。
良い面もあれば悪い面もあります。

円安のメリット・デメリットは下記になります。
円安のメリット
円安のデメリット
円安になるとどうなるのか?
では次に下記について解説します。
主に生活面で一番影響するのは物価の上昇です。
円安が起きると、日本円の価値が低くなり、海外の通貨の価値が高くなります。
これにより輸入品の価格が上昇し、輸入品に頼っている企業は
商品の価格を値上げさせることになります。
例えば「パン」や「お菓子」を作るのには
「小麦粉」がたくさん必要となります。
小麦粉の生産は
- 国内生産は約14%
- 海外からの輸入は約86%
と輸入の割合が圧倒的に占めております。
つまり円安になれば小麦粉の輸入価格も高騰し、
小麦粉を使って作る「パン」や「お菓子」は値上げすることになります。
円安になることで値上げするのは食材だけでなく、
他にも電気代・ガス代・ガソリン代・家電製品などにも影響します。

円安が続けば続くほど、物価も上昇し経済的負担も大きくなります。
iPhone等のApple製品が値上げ
2022年7月、円安が続いた影響で
iPhone等のApple製品の値上げが発表されました。


正確には値上げというより、円の価値が下がったことによる為替変動になります。
円安は悪いことばかりではない
ただし円安によるメリットもあります。
円の価値が安くなることで日本の製品が外国で売れやすくなるため
輸出企業は好調となります。
これによりその会社の従業員の給料も増える可能性があります。
また日本の製品が買いやすくなることで
外国人観光客が増加し観光収入の増加が見込めます。

ただしコロナ禍における現在は、円安による観光客の増加は難しいところです。
急激な円安が進んだ理由
下記のように2022年3月から急激な円安が進みました。

では、なぜこのような急激な円安が起きてしまったのでしょうか?
その理由は日米の金利差が拡大したことが原因になります。
円安の進行は日米の金利差の拡大が原因
- アメリカの金利は急上昇
- 日本の金利は低水準のまま
金利差が拡大するとなぜ円安になるのか?
「日米の金利差の拡大」がなぜ円安に繋がるのか?
まず金利とは何か?について説明します。
例えば、銀行口座にお金を預けている場合
年1-2回利息を受け取ることがあります。
これが金利です。
- アメリカの金利は急上昇
- 日本の金利は低水準のまま
上記のような状態になると
日本の銀行口座に預けるより、
アメリカの銀行口座に預けた方が利息が多くもらえることになります。
これにより円の需要が減り、ドルの需要が高くなります。
円の需要が減ることで、円の価値は減少し円安となります。

金利が高い国の通貨の方が需要が高くなります。
なぜアメリカの金利は上昇したのか?
アメリカの労働局が発表した2022年3月の
消費者物価指数(CPI)は前年同月比+8.5%となりました。
この前年同月比+8.5%という水準は約40年ぶりの高水準となります。
これだけ物価が上昇すると、家計への悪影響を及ぼすため
アメリカの中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会(FRB)は
インフレを退治するため金利を引き上げることにしました。

インフレとは物価が継続的に上昇している状態のことをいいます。
しかし、これに対して日本では
日本銀行の黒田総裁が金融緩和の継続を明言し、
利上げについては明確に否定しました。
これにより円とドルの金利差が大きく広がりました。
金利の低い円を売り、金利の高いドルを買う動きが加速することになります。
そして円の価値が低くなり円安が進むことになります。

金利が高い方が利回りもいいので、ドル買いが加速することになります。
日本も金利を上げればいいのか?
では、「日本もアメリカと同様に金利を上げればいいのか?」という疑問が出てきます。
アメリカでは強い経済環境がありますが、
日本ではそれほど強い経済環境ではないため
金利を上げようとせず、金融緩和の継続をしています。
もし今の日本の状態でアメリカのような金利の引き上げをしてしまうと
下記のようなことが起きてしまいます。
【日本の金利が上がるとどうなるか?】
- 借入の利息が上がり、日本企業は資金調達しづらくなる
→これにより、積極的な設備投資や研究開発などの経済活動がしづらくなります。
つまり景気の悪化に繋がってしまいます。 - 変動金利の住宅ローンの利息が上がる
→変動金利で住宅ローンを組んでいる人の返済額が増えてしまい、個人の消費活動も抑制されてしまう。
上記の理由から日本は金利の引き上げはしないのです。

金利が上がると企業も個人も貧しくなってしまうということです。
- 金利の引き上げは主にインフレ時に行う。
- これによりインフレが抑制される。
- アメリカは急激なインフレが起きているため金利の引き上げをおこなった。
- 日本はインフレの状態ではないので、金利の引き上げをすると景気が悪化してしまう。
- そのため日本では金利の引き上げができない。
- これによる円とドルの金利差が拡大して、円の価値が低くなり円安が急激に進んだ。
今の日本の円安における最大の問題
2022年、日本の円安における最大の問題は
物価は上がるけど、賃金が上がらないということです。
アメリカでは、記録的なインフレに併せて
賃金も増加しております。
そのため物価が上昇しても客足が遠のくということもありません。


賃金が上がらず物価だけが上がると、日本はますます貧しい国になってしまいます。
日本の企業でも賃上げの意欲はあるものの
「売上の減少」や「輸入コストの増加」により体力的に厳しい部分があります。
またコロナ渦による景気回復が遅れているのも要因の1つになります。
円安はいつまで続く?
急激の円安が進みましたが、
今後もしばらく円安は続く可能性は高いと予想しております。

2022年9月には、1998年の金融危機以来の1ドル140円にまで値下がりしました。
急激な円安は今も続いております。
この理由は今の時点で、積極的な円買い材料がないためです。
アメリカの中央銀行にあたるFRBは大幅な利上げをし
これに対して日銀の黒田総裁は、金融緩和の継続を明言しており、利上げは見込めません。
円とドルでの金利差も今後も広がる可能性が高いため、
ドル買いが増加していきドルの需要が増えていくことになります。
これにより円安はしばらく続く可能性が高いと予想しております。
まとめ
今回は【円安になるとどうなるのか?】について解説しました。
要点をまとめると下記になります。
【最近になって円安が急激に進んだ理由】
- 金利の引き上げは主にインフレ時に行う。
- これによりインフレが抑制される。
- アメリカは急激なインフレが起きているため金利の引き上げをおこなった。
- 日本はインフレの状態ではないので、金利の引き上げをすると景気が悪化してしまう。
- そのため日本では金利の引き上げができない。
- これによる円とドルの金利差が拡大して、円の価値が低くなり円安が急激に進んだ。
【今回の円安の何がやばいのか?】
- 今回の円安は急激な円安が進んでいることが問題である。
- 急激な円安が進むと輸入コストが増え、物価の上昇にも繋がる。
- 物価の上昇に併せて賃金も上昇すればいいが、日本の賃金は上がっていない。
- ※アメリカなどの他国では物価の上昇に併せて、賃金も上昇している。
- 日本国民はこれにより経済的負担が増加する。