今回は「純資産の種類」について解説します。
純資産とは?
純資産は資産から負債を差し引いた金額をいいます。
資産=負債+純資産
純資産は大きく
「株主資本」と「株主資本以外」
で分けられます。
【株主資本】
→資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式など
【株主資本以外】
→評価・換算差額等、新株予約権など
さらに株主資本は下記のように分類されます。
【株主資本】
- 株主からの出資金(元手)
- 会社の儲け
資本金・資本剰余金は、[株主からの出資]によるもので
利益剰余金は、[会社の儲け]によって発生します。
純資産と聞くと良いイメージを持ち、会社の儲けと思いがちですが、会社の儲け以外も含まれているので注意しましょう。
純資産の勘定科目の種類
純資産の勘定科目の種類は下記のようになります。
主に[株主資本][評価・換算差額等][新株予約権]の3つに区分され、そこからさらに細分化されます。
①純資産
資産から負債を差し引いた金額
②株主資本
純資産のうち、株主に帰属する部分
③資本金
株主からの払込金額で、会社法の規定で資本金とされる部分
④新株式申込証拠金
新株発行の際に申込者から払い込まれた金額を一時的に処理する勘定科目
※日商簿記1級の範囲です。
⑤資本剰余金
[資本取引]から生じた剰余金で、払込資本のうち資本金としなかったもの
⑥資本準備金
株主からの払込金額のうち資本金としなかった部分
⑦その他資本剰余金
[資本準備金]以外の資本剰余金
⑧利益剰余金
[損益取引]から生じた剰余金
⑨利益準備金
配当金の際に会社法の規定により積立てが強制される準備金
⑩その他利益剰余金
[利益準備金]以外の利益剰余金
⑪任意積立金
株主総会等の決議により任意で積み立てられた金額
また任意積立金の中にさらに下記の勘定科目がある
- [新築積立金]・・建物を新築するための積立金
- [別途積立金]・・特別な使用目的のない積立金
圧縮積立金も「任意積立金」に含まれます。
⑫繰越利益剰余金
[利益準備金][任意積立金]以外の利益剰余金
⑬自己株式
会社が保有する自社の株式
※日商簿記1級の範囲です。
⑭評価・換算差額等
資産・負債の時価評価の際に生じた評価差額等
⑮その他有価証券評価差額金
その他有価証券の時価評価の際に発生した評価差額
⑯繰延ヘッジ損益
先物取引・オプション取引などのデリバティブについて、時価評価の際に発生した差額。
翌期以降に繰り延べる場合に用いる勘定科目
※日商簿記1級の範囲です。
⑰新株予約権
当社が発行した新株予約権に対する払込額
新株予約権は、株式を一定の定められた価格で取得できる権利です。
新株予約権の一種で、会社が従業員や取締役に対して報酬として与える「ストックオプション」と呼ばれるものもあります。
※日商簿記1級の範囲です。
要するに将来株式となり、将来資本金となるものが、新株予約権になります。
資本取引と損益取引の違い
上記の説明の中に[損益取引]と[損益取引]という用語が出てきましたが
これらの違いについて解説します。
【資本取引】
→資本を直接変動させる取引
【損益取引】
→利益の変動が発生する取引
資本取引とは?
資本取引は、資本を直接変動させる取引をいいます。
代表例は[株式の発行]です。
株式を発行することで現預金が増加すると下記のような仕訳になります。
現金 | / | 資本金 |
このように資本である[資本金]が直接変動するため
[資本取引]となります。
資本取引は主に[資本金][資本剰余金]が用いられる取引です。
損益取引とは?
損益取引は、利益の変動が発生する取引をいいます。
売上・仕入などの計上は全て利益(当期純利益)の変動に繋がります。
そのため、これらの取引は[損益取引]となります。
損益取引は主に利益に関わる取引で、最終的に純資産の[利益剰余金]の変動へ繋がる取引になります。
まとめ
今回は純資産の勘定科目の種類について解説しました。
純資産と聞くと良いイメージを持ち、すべて会社の儲けと思いがちですが
そうではありません。
会社の儲け以外にも、資本取引や評価差額等によって発生する純資産もあります。
資本取引は、株主から出資されたことで、調達した資金であるため
会社の事業活動による儲けではありません。
このように一口に純資産といっても、様々な種類があるので覚えておくと良いでしょう。
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