今回は「株式の発行」の仕訳方法について解説します。
株式の発行とは?
株式会社では下記の場合に株式を発行します。
- 会社の設立時
- 設立後の増資時
株式を発行することで、資本金(純資産)を増加させます。
仕訳の処理方法は、設立時も増資時も同じです。
ただし、処理方法として原則処理と容認処理があります。
原則処理・容認処理
◆株式の発行
【原則処理】
→払込金額の全額を資本金として処理する
【容認処理】
→払込金額のうち、2分の1以下の金額まで資本準備金として処理することが可能
※設立時と増資時の処理方法は同じ
会社法では下記のようなことも容認されています。
「払込金額のうち、2分の1以下の金額については資本金として処理しないこと」
資本金として処理しない金額は「資本準備金(純資産)」として処理します。
つまり最低2分の1以上は資本金として処理しなければならないということです。
設立時の仕訳(原則処理・容認処理)
原則処理
当座預金 | 30,000 | / | 資本金 | 30,000 |
@300×100株=30,000
※会社法の指示がないため原則処理として全額「資本金」で処理します。
容認処理
当座預金 | 30,000 | / | 資本金 | 15,000 |
/ | 資本準備金 | 15,000 |
@300×100株=30,000
※会社法の指示があるため容認処理として2分の1を「資本金」で処理し
残りを「資本準備金」で処理します。
30,000×1/2=15,000
増資時の仕訳(原則処理・容認処理)
増資時も設立時の処理方法と基本同じになります。
原則処理
当座預金 | 8,000 | / | 資本金 | 8,000 |
@400×20株=8,000
※会社法の指示がないため原則処理として全額「資本金」で処理します。
容認処理
当座預金 | 8,000 | / | 資本金 | 4,000 |
/ | 資本準備金 | 4,000 |
@400×20株=8,000
※会社法の指示があるため容認処理として2分の1を「資本金」で処理し
残りを「資本準備金」で処理します。
8,000×1/2=4,000
「株式の発行」は設立時と増資時で仕訳処理は同じですが、原則処理と容認処理で仕訳方法が異なるので注意しましょう。
資本金と資本準備金の違い
【資本金】
株主からの払込金額で、払込会社法の規定で資本金とされる部分のこと
【資本準備金】
[資本剰余金]の中に含まれるもので
払込資本のうち資本金としなかったもの
まとめ
今回は「株式の発行」の仕訳方法について解説しました。
要点をまとめると下記のようになります。
- [会社の設立時]または[増資時]に株式を発行する。
- 上記2つの仕訳処理は同じである。
- ただし原則処理と容認処理がある
- 原則処理→全額[資本金]
- 容認処理→最低2分の1以上は[資本金]で処理
残りは[資本準備金]で処理
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