今回は「準備金積立額の計算」について解説します。
準備金とは?
準備金とは純資産の下記の勘定科目をいいます。
準備金の積み立て
会社法では、剰余金を処分する際に
この準備金を積み立てることを強制しています。
配当金の財源が[繰越利益剰余金]の場合
配当金の財源が[繰越利益剰余金]の場合
利益準備金を積み立てます。
配当金の財源が[その他資本剰余金]の場合
配当金の財源が[その他資本剰余金]の場合
資本準備金を積み立てます。
配当金の財源が
- [繰越利益剰余金]の場合
→利益準備金を積み立てる - [その他資本剰余金]の場合
→資本準備金を積み立てる
準備金の積立額の計算
準備金(利益準備金・資本準備金)の積立額の計算
は下記のように求めます。
利益準備金・資本準備金、どちらも積立額の計算方法は同じです。
例題
利益準備金の積立額の計算
繰越利益剰余金 | 5,400 | / | 未払配当金 | 4,000 |
/ | 利益準備金 | 400 | ||
/ | 別途積立金 | 1,000 |
〇利益準備金の積立額の計算
①株主配当金4,000×1/10=400
②資本金50,000×1/4-(資本準備金5,000+利益準備金4,000)=3,500
→①400<②3,500のため
少ない方の400円を[利益準備金]として積み立てる
資本準備金の積立額の計算
その他資本剰余金 | 1,650 | / | 未払配当金 | 1,500 |
/ | 資本準備金 | 150 |
〇資本準備金の積立額の計算
①株主配当金1,500×1/10=150
②資本金50,000×1/4-(資本準備金5,000+利益準備金4,000)=3,500
→①150<②3,500のため、
少ない方の150円を[資本準備金]として積み立てる
配当財源が両方の場合
次に配当財源が
[繰越利益剰余金]と[その他資本剰余金]の
両方である場合の処理について解説します。
繰越利益剰余金 | 5,500 | / | 未払配当金 | 8,000 |
その他資本剰余金 | 3,300 | / | 利益準備金 | 500 |
/ | 資本準備金 | 300 |
(1)準備金の積立額の計算
①株主配当金8,000×1/10=800
②資本金50,000×1/4-(資本準備金5,000+利益準備金4,000)=3,500
→①800<②3,500のため、
少ない方の800円を[利益準備金][資本準備金]として積み立てる
次に利益準備金と資本準備金の積立額を計算します。
(2)利益準備金・資本準備金の積立額の計算
(1)で利益準備金と資本準備金の積立額の合計は800円となりました。
ここから配当財源の割合により、それぞれの積立額を計算します。
①利益準備金:
800×500/(500+300)=500(利益準備金)
②資本準備金:
800×300/(500+300)=300(資本準備金)
配当財源の割合を元にそれぞれの積立額を求めます。
(3)繰越利益剰余金・その他資本剰余金の計算
繰越利益剰余金:
株主配当金5,000+利益準備金500=5,500
その他資本剰余金:
株主配当金3,000+資本準備金00=3,300
準備金積立額の計算式の覚えた方
準備金積立額の計算で
どっちが[10分の1]・[4分の1]なのか覚えにくいと感じる方は
下記のように考えると覚えやすいでしょう。
【覚え方】
- 「配トウ金」は10分の1
- 「シ本金」は4分の1
利益準備金・資本準備金を積み立てる理由
会社法の規定として利益準備金・資本準備金の積み立てが強制がされますが
この理由は下記のようになります。
例えば株主の意向で会社の利益を無制限に配当に回したとします。
そうすると当然会社のお金は全て株主へいき、
その会社は、銀行や取引先などの債権者に支払うお金がなくなってしまいます。
つまり、そうなると債権者は債権が回収できず困ってしまいます。
それを防ぐため、準備金としてお金を積み立てることが強制させています。
このような理由から準備金の積み立てが強制されます。
まとめ
今回は「準備金積立額の計算」について解説しました。
要点をまとめると下記のようになります。
- 配当財源が[繰越利益剰余金]の場合
→利益準備金を積み立てる - 配当財源が[その他資本剰余金]の場合
→資本準備金を積み立てる - 準備金の積立額の算出は下記の図解のように行う。
- 配当財源が[繰越利益剰余金][その他資本剰余金]の両方の場合
- 準備金額の合計を求める。
- 配当財源の割合を元に「利益準備金」「資本準備金」をそれぞれ求める。
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