日商簿記1級経理の知識

「割引現在価値」とは?計算のコツ・電卓の使い方【簿記1級】

日商簿記1級
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経理や簿記の用語で「割引現在価値」という言葉を耳にすることがあります。

日商簿記1級の試験から出てくる用語になりますが、

聞きなれない用語のため、わかりにくく感じる方もいるかもしれません。

今回はそんな「割引現在価値」について解説します。

また後半では、電卓を使った計算のコツも紹介します。

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「割引現在価値」とは?

割引現在価値」は将来受け取れると見込まれる価値が、もし現在受け取れるとしたらどのくらいの価値になるのかを表すものになります。

例えば、年利2%の場合、今ある100万円は1年後102万円になります。

年利2%の場合

(現在)100万

(1年後)102万円

これは100万×1.02=102万という計算になります。

この1年後の102万円から見て、今現在の100万が「割引現在価値」となります。

逆算すれば、102万÷1.02=100万となります。

では、さらに2年後・3年後の場合を考えていきましょう。

年利2%の場合

(現在)100万

(1年後)102万円

※100万×1.02

(2年後)104.04万円

※100万×1.02×1.02

(3年後)106.1208万円

※100万×1.02×1.02×1.02

この3年後の106.1208万円から見て、今現在の100万が「割引現在価値」となります。

逆算すれば106.1208万÷1.02÷1.02÷1.02=100万となります。

では次は例題に沿って解説します。

将来の価値は、今現在いくらなのか?それが「割引現在価値」です。

例題

例題

年利2%のとき、3年後の100万の割引現在価値はいくらになるか?

少数第二位より下は四捨五入する

3年後→100万 今現在→? という問題になります。

答えは、100万÷1.02÷1.02÷1.02=94.232・・→94.23万

計算式は100万÷1.02³ともいえます。

割引現在価値

このような割引現在価値を算出する計算を「割引計算」と呼んでいます。

「割引計算」は簿記1級の基礎知識

日商簿記1級では「割引計算」を使用する論点が非常に多くあります。

必ず覚えければならない基礎知識となります。

日商簿記1級で下記のような論点で割引計算が使われます。

日商簿記1級で割引計算が必要とされる論点

計算のコツ・電卓の使い方

割引計算は計算量が多く、電卓の四則演算のみ機能で叩いてたら時間がかかってしまいます。

そこで、計算を短縮させる電卓の使い方を紹介します。

電卓をお持ちの方は是非試してみてください。

【ポイント】

割引現在価値の計算は

電卓の使い方次第で計算時間を短縮することができる。

かけ算 

100×1.02×1.02×1.02の求め方

※100×1.023

(CASIO)の場合

[1.02][×][×][100][=][=][=]

1.02と打った後に[×]を2回押します。

その後100と打ち、1.02の掛けたい数だけ[=]を押します。

今回は×1.02³なので3回押します。

(SHARP・CANON)の場合

[1.02][×][100][=][=][=]

1.02と打った後に[×]を1押します。

その後100と打ち、1.02の掛けたい数だけ[=]を押します。

今回は×1.02³なので3回押します。

→答え106.1208

電卓のメーカーによって使い方が異なるので注意しましょう。

割り算

100÷1.02÷1.02÷1.02の求め方

※100÷1.023

(CASIO)の場合

[1.02][÷][÷][100][=][=][=]

1.02と打った後に[÷]を2押します。

その後100と打ち、1.02の割りたい数だけ[=]を押します。

今回は×1.02³なので3回押します。

※[100][÷][÷][1.02]ではなく、[1.02][÷][÷][100]なので注意しましょう

カシオの場合、割りたい数字(1.02)を先に打ちます

(SHARP・CANON)の場合

[100][÷][1.02][=][=][=]

100と打った後に[÷]を1押します。

その後1.02と打ち、1.02の割りたい数だけ[=]を押します。

今回は×1.02³なので3回押します。

→答えは94.232・・・

また、カシオの場合、[×][×][÷][÷]など2回打つと電卓の画面に[K]と表示されます。

これを覚えることで計算のスピードはかなり速くになります。

電卓のGT(グランドメモリー)の使い方

次に複数の[割引現在価値]の合計の出し方について解説します。

例題

例えば下記3つの合計を求める場合

  1. 100÷1.021
  2. 100÷1.022
  3. 100÷1.023

それぞれ3つ計算して、後に3つを合計させる方法もありますが、

それでは時間がかかってしまいます。

そこで下記のような電卓の使い方をすれば短縮できます。

(CASIO)の場合

[1.02][÷][÷][100][=][=][=][GT]

(SHARP・CANON)の場合

[100][÷][1.02][=][=][=][GT]

最後に[GT]を押すことで、3つの数値が合計され

(100÷1.021)+(100÷1.022)+(100÷1.023)=288.388・・

となります。これは上記の

  • 1つ目の[=]で(100÷1.021)が計算され
  • 2つ目の[=]で(100÷1.022)が計算され
  • 3つ目の[=]で(100÷1.023)が計算されます。

この後に[GT]を押すことで[=]で計算された数値が合計されます。

このように複数の割引計算の集計をする際に[GT]はとても便利な機能となります。

電卓上の[GT]は[グランドメモリー]と呼びます

電卓の[GT]は

「=」キーを押して得た数値が合計される

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まとめ

今回は「割引現在価値」について解説しました。

割引現在価値を求めるための割引計算は、電卓の使い方次第でかなり短縮化されます。

これから日商簿記1級を挑戦される方は、ぜひ覚えておきましょう。

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