新型コロナウィルス感染防止のため、
会社がマスク・消毒液を購入する機会が増えてきました。
そこで今回は下記について解説します。
マスクを購入した時の仕訳
マスクの購入については使用目的によって勘定科目が変わります。
①業務中の従業員に使用させる場合
消耗品費 | / | 現預金 |
会社がマスクを購入する目的はほとんどがこのケースでしょう。
②従業員の家族に使用させる場合
福利厚生費 | / | 現預金 |
従業員の家族に使用させる目的として購入した場合
福利厚生費で計上します。
③取引先に贈呈する場合
接待交際費 | / | 現預金 |
取引先に贈呈する目的でマスクを購入した場合
接待交際費で計上します。
取引先に贈るお中元やお歳暮に関する費用は「接待交際費」になります。
④病院に寄付した場合
寄付金 | / | 現預金 |
※ただし、下記の要件に当てはまる場合は寄付金以外の費用科目で計上できます。
①提供を行う取引先等において、マスクの不足が生じていることにより業務の遂行上、著しい支障が生じている、又は今後生じるおそれがあること
②その取引先等が業務を維持できない場合には、貴社において、操業が維持できない、営業に支障が生じる、仕入れ等が困難になるといった、貴社の業務に直接又は間接的な影響が生じること
参考:国税庁のホームページ
⑤広告・チラシにマスクを封入して配布する場合
広告宣伝費 | / | 現預金 |
広告・チラシにマスクを封入して配布する目的として購入した場合
広告宣伝費になります。
このように同じマスク・消毒液でも使用目的によって勘定科目は異なるので注意しましょう。
未使用品のマスク・消毒液について
決算時に、切手や印紙の未使用品は「貯蔵品」として計上します。
→結論として、全額損金算入できるため貯蔵品の計上は不要。
これは税務通信の内容によると下記のように記載してます。
原則的な取扱いとは異なり,企業が,新型コロナウイルス感染症の感染を防止等するために購入したマスクや消毒剤の費用は,未使用分(備蓄分)の費用を含めて,購入時に一括で損金算入して問題ない
参考となるのが,非常用食料品の取扱いだ。国税庁では,非常用食料品の購入費用は,備蓄(購入)時に“使用”したものとして,購入時に一括で損金算入できることを示している(国税庁HP:質疑応答事例「非常用食料品の取扱い」)
税務通信 マスク購入費用の損金算入時期
「損金」とは税務上の費用のことです。
損金算入されると所得(会計上では利益)が減るため、納める税金が減ることになります。
そのため税務署としては、できるだけ損金不算入にしたいところですが
「今回は例外として損金算入を認めるよ」ということです。
ただし、上記には記載がないが
「広告・チラシにマスクを封入して配布する場合」ではあくまで
宣伝目的のため、貯蔵品の計上が必要になる可能性があります。
まとめ
今回はマスク・消毒液を購入したときの仕訳・未使用品の取り扱いについて解説しました。
基本、仕事中の従業員向けに購入したマスク・消毒液は
消耗品費で計上・決算時は貯蔵品の振替は不要という判断で問題ありません。
マスク・消毒液の購入をしている会社の多くは「仕事中の従業員向け」だと思われます。
ただし、上記の目的以外で購入している場合、税務上の取り扱いが異なる可能性あるので
不安であれば、お近くの税務署に問い合わせて確認するといいでしょう。