経理の知識

有価証券の不随費用の範囲

経理の知識
この記事は約3分で読めます。
Pocket

有価証券を購入する際に、購入手数料は

不随費用として取得原価に含めます

簿記の試験では「不随費用」は購入手数料のみですが

実際の経理の業務では、不随費用は1つとは限りません。

また、中には不随費用として含めなくていい場合もあります。

では、どれが不随費用になるのか?どれは不随費用にならないのか?

今回は有価証券の不随費用の範囲について解説します。

スポンサーリンク

「有価証券」の取得原価

有価証券を購入した時、取得原価で計上します。

取得原価の求め方は下記のようになります。

「有価証券」の取得原価の求め方

有価証券の取得原価=購入代価+不随費用

  • 購入代価」は有価証券の購入価額
  • 不随費用」は証券会社の販売手数料など

では、次は有価証券の取得にかかる費用の具体例について説明します。

有価証券の購入かかる費用の種類

売買目的有価証券を購入する際は、証券会社に支払う手数料が発生しますが

M&Aによる株式の取得の場合、

  • M&A先の探索費用
  • DD費用
  • 仲介手数料
  • アドバイザリー報酬(成功報酬)
  • 名義書換料
  • その他通信費や郵送費

など多くの種類の費用が発生します。

ワンポイント
  • M&A」とは、企業・事業の合併や買収のことをいいます。つまり有価証券の分類としては「子会社株式」になります。
  • DD」とはデューデリジェンスの略で投資対象となる企業の価値やリスクなどを調査することです。

M&Aによる取得の場合、多くの種類の費用が発生します。

注意点

上記は証券会社の販売手数料と違い、株式の購入と同時に発生する訳ではありません。

支払先もそれぞれ異なり請求書も別々で届くため

不随費用として「子会社株式(資産)」で計上せず

誤って「支払手数料(費用)」で計上してしまいがちです。

これを誤って費用計上してしまうと、税務上も損金算入させてしまい

会計上のみならず、税務上も誤った処理になりますので要注意です。

不随費用の範囲

では、どれが不随費用で、どれが費用になるのでしょうか。

それは「株式取得のために要した費用」が不随費用

それ以外は費用(損金算入)となります。

具体例

具体的での違いは下記のようになります。

【M&A先の探索費用】

不随費用に含めない(探索費用のため)

【アドバイザリー報酬(成功報酬)】

不随費用に含める(特定の株式取得を決定した後の報酬のため)

【購入に当たっての仲介手数料】

不随費用に含める(特定の株式取得を決定した後の報酬のため)

【買収価格を決定するためのDD費用】

→購入すると意思決定した後であれば不随費用に含める

→意思決定前であれば、不随費用に含めない

【名義書換料】

不随費用に含めない(少額の費用のため)

【その他通信費や郵送費】

不随費用に含めない(少額の費用のため)

まとめ

今回は、有価証券の不随費用の範囲について解説しました。

簡単にまとめると下記のようになります。

特定の株式を購入すると意思決定するにかかった費用

不随費用に含めない(損金算入)

特定の株式を購入すると意思決定するにかかった費用

不随費用に含める(損金不算入)

しかし、上記はあくまで一例に過ぎません。

これらは金額も大きい上に税務にも影響する問題です。

もし実務でこのようなことが発生したら

会社の顧問税理士に確認して判断するようにしましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました