社債などの債券を購入するとき
額面金額と取得価額が異なる場合があります。
簿記の資格試験では「満期保有目的債券」で勉強するところになります。
「債券の発行」の種類として下記の3つがあります。
- 平価発行(取得価額=額面金額)
- 割引発行(取得価額<額面金額)
- 打歩発行(取得価額>額面金額)
「打歩発行」に関しては購入側からすると
取得金額で購入し、満期日には取得価額より低い金額で償還されるためメリットがありません。
このような債券を購入することはあるのでしょうか?
今回はそんな「打歩発行」のメリットについて説明します。
「取得価額」「額面金額」とは?
まず「取得価額」「額面金額」について説明します。
【取得価額】
→購入したときの金額
【額面金額】
→満期時に償還される金額
↓「債券の発行」は下記3つの区分されます。
取得価額=額面金額の場合
→平価発行
取得価額<額面金額
→割引発行
取得価額>額面金額
→打歩発行
つまり、取得価額で購入し、満期日には
額面金額で償還されるということです。
「償還」とは返却すること。つまり、債務を返済することです。
割引発行(取得価額<額面金額)であれば購入した時よりも大きい金額で戻ってくるということです。
これではメリットはありませんね。
「打歩発行」のメリット
「打歩発行」はあまり採用されていることが少なく、
大きなメリットはありません。
ただ下記のような場合で打歩発行を採用していることがあります。
- ①市場金利より利率が高い
- ②転換社債型新株予約権付社債(CB)である
①市場金利より利率が高い
これは単純に額面金額の方が低い代わりに利率が高く、
他の債券よりも多く利息を受け取れるというメリットです。
打歩発行のメリットを強いてあげると利回りが良いということです。
②転換社債型新株予約権付社債(CB)である
「転換社債型新株予約権付社債(CB)」とは、簡単に言えば
株式に転換できる債券のことです。株式へ転換し
発行した会社の株価が大きく上昇すれば、
通常の株式よりも大きいリターンが見込まれます。
「打歩発行」の語源
ここからは雑学になりますが
「打歩」と辞書で調べると
株式や公社債などの発行価額が、その額面を上回ったときの差
と書かれています。
実は打歩の語源は「ダフ屋」から由来していると言われています。
「ダフ屋」とは
チケットを額面より不正に高い金額で売る業者のことをいいます。
チケット類を意味する「ふだ(札)」を逆に読み「ダフ」と読みます。
ダフを漢字で表すと「打歩(だふ)」となり、
「打歩発行」という言葉ができたと言われています。
こう聞くと「打歩発行」がすごく悪いイメージに聞こえますね。
まとめ
今回は打歩発行のメリットについて解説しました。
そもそも日本ではあまり採用されておらず、
メリットはあまりないというのが結論です。
強いてあげるなら、下記のケースで打歩発行が利用される場合があるということでした。
- 市場金利より利率が高い場合がある。
- 転換社債型新株予約権付社債(CB)である
この辺は簿記の試験で出題されることはないので、予備知識として認識して頂ければと思います。
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