今回は連結修正仕訳の下記の疑問について解説します。
↓未実現利益の消去の連結修正仕訳
売上原価 | / | 商品 |
この借方の[売上原価]は、[売上]ではだめなのか?という疑問になります。
未実現損益の消去の仕訳
まず未実現利益の消去の連結修正仕訳について解説します。
(連結修正仕訳)
(1) | 売上高 | 110 | / | 売上原価 | 110 |
(2) | 売上原価 | 10 | / | 商品 | 10 |
(2)は未実現利益の消去
子会社S社の個別上B/Sの商品110円は、内部利益10円が含まれているため
商品10円を減少させるため、[貸方]に計上します。
そして、[借方]は[売上原価(B/S)]として計上します。
この際に疑問に感じるのが
[未実現利益の消去]はなぜ売上原価なのか?
結論から申し上げると「売上原価」が正になります。
※「売上のマイナス」で借方計上するのは誤りになります。
これは個別上のP社とS社の仕訳を時系列に沿って考えると、その理由がわかります。
上記の例題の[商品A]について
P社とS社の個別上の仕訳を表すと下記のようになります。
①親会社P社は外部から商品Aを仕入れて、現金で支払った。
P社 | 売上原価(仕入) ※外部からの仕入 | 100 | / | 現金 | 100 |
②親会社P社は上記の商品Aを110円(原価100円)で、子会社S社へ販売し現金を受け取った。
P社 | 現金 | 110 | / | 売上 | 110 |
S社 | 仕入 (売上原価) | 110 | / | 現金 | 110 |
※外部から100円で仕入れた商品を子会社S社へ110円で販売します。
この差額10円が内部利益です。
③子会社S社は、上記②で仕入れた商品は期末決算時、在庫として残っている。
S社 | 商品 | 110 | / | 仕入 (売上原価) | 110 |
販売されていない商品は[仕入→商品]へ振り替えます。
上記は日商簿記3級で学習した「しいくりくりしい」の仕訳です。
上記が個別上の一連の仕訳になります。
重要なのは赤字箇所です。
最終的に子会社S社に商品A110円が計上されてますが、
元々は、親会社P社が外部から100円で仕入れました。
S社にある商品Aは、【個別上】ではP社から110円で仕入れたことになりますが
【連結上】ではS社含むP社連結グループは、外部から100円で仕入れたことになります。
そして、個別上ではこの110円が
[仕入⇒商品]へ振り替わります。
S社 | 商品 | 110 | / | 仕入 (売上原価) | 110 |
これは連結上では、外部から100円で仕入れた商品のため
下記のような連結修正仕訳を行います。
(連結修正仕訳)
(1) | 売上高 | 110 | / | 売上原価 | 110 |
(2) | 売上原価 (仕入) | 10 | / | 商品 | 10 |
(2)は未実現利益の消去
- (1)は内部取引の相殺消去
- (2)は未実現利益の消去
- 貸方で[商品]10円を減少させ
- 借方で[売上原価]10円を計上します。
- ※[仕入]の代わりに[売上原価]を用います。
【未実現利益の消去】の仕訳
◆[貸方]で商品を減少させる
→商品には内部利益が含まれているため減少させる
◆借方]で売上原価を増加させる。
→個別上では親会社(あるいは子会社)から内部利益を含めた金額で仕入れたことになっているが
連結上は外部から内部利益を含めない金額で仕入れたことになる。
この内部利益は[仕入(売上原価)]の変動のため、
[売上原価]の勘定科目を用いる。
また、[商品/仕入]の期末商品の仕訳の計上により、
仕入(売上原価)を減少させているため、連結修正仕訳では、売上原価の増加となる。
上記のことから、未実現利益の消去は
【未実現利益の消去】
- 繰越商品の修正
- 仕入価額(売上原価)の修正
となるため、[売上のマイナス]ではなく、
「売上原価」を用いることになります。
個別上はP社から110円で仕入れているけど
連結上は外部から100円で仕入れていると考えます。
図解
一連の仕訳をまとめると下記のようになります。
※個別上の仕訳では説明を簡略化させるため
[仕入]→[売上原価]で、[売上]→[売上高]で表記しております。
まとめ
今回は[未実現利益の消去]は借方に
なぜ売上ではなく、「売上原価」を用いるのか?について解説しました。
理由は、内部利益による仕入価額(つまり売上原価)の変動のためになります。
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