[持分法]の修正仕訳は主に下記のようなものがあります。
- 株式取得時の処理
- 時価評価(評価差額)
※[部分時価評価法]と[全面時価評価法] - 投資差額の算定
- 時価評価(評価差額)
- 投資差額の償却
- 当期純利益の計上
- 受取配当金の修正
- 持分法の開始仕訳
- 株式の売却損益の修正
- 期末の未実現損益の消去
- 期首の未実現損益の仕訳
今回は「当期純利益の計上」について解説します。
持分法の会計処理
「持分法」では、個別財務諸表の合算はせず
被投資会社A社の利益のうち、投資会社P社の持分のみ加算します。
※連結と違い相殺消去を行いません。
当期純利益の計上の仕訳
被投資会社(A社)の当期純利益の中で、投資会社の持分(%)については
投資会社(P社)の投資の成果といえます。
そのため、被投資会社(A社)の当期純利益のうち
投資会社の持分(%)を、投資会社の利益として加算する必要があります。
被投資会社が当期純利益の場合
A社株式 | / | 持分法による投資損益 |
当期純利益の場合
被投資会社A社の当期純利益はのうち、投資会社の持分(%)を加算するため
「持分法による投資損益(営業外損益)」を[貸方]で計上します。
その相手科目は投資勘定である「A社株式」で計上します。
被投資会社が当期純損失の場合
持分法による投資損益 | /A社株式 |
当期純損失の場合
上記とは逆で被投資会社A社が[当期純損失]の場合は、
投資会社の持分(%)を損失(利益のマイナス)として計上するため、
「持分法による投資損益(営業外損益)」を[借方]で計上します。
例題
(解答)
A社株式 | 200 | / | 持分法による投資損益 | 200 |
当期純利益の場合
被投資会社A社の当期純利益1,000×20%(P社持分)=200円
(解答)
持分法による投資損益 | 200 | /A社株式 | 200 |
当期純損失の場合
被投資会社A社の当期純損失1,000×20%(P社持分)=200円
当期純損失のため、[持分法による投資損益]は借方で計上します。
持分法と連結との違い
連結の場合、両社の個別財務諸表を合算した上で
当期純利益のうち、非支配株主(親会社以外の株主)持分を減少させてました。
非支配株主に帰属する 当期純損益(P/L) | / | 非支配株主持分 当期変動額(B/S) |
当期純利益の場合
しかし、持分法では、両社の個別財務諸表は合算しないで
利益だけ加算させています。
これが[連結]と[持分法]の会計処理の大きな違いになります。
【連結】
→両社の利益を合算させ、非支配株主持分は減少させる。
非支配株主に帰属する 当期純損益(P/L) | / | 非支配株主持分 当期変動額(B/S) |
当期純利益の場合
【持分法】
→被投資会社A社の利益のうち、投資会社P社に帰属する部分のみ加算する
※相殺消去は発生しない
A社株式(B/S) | / | 持分法による投資損益(P/L) |
当期純利益の場合
例えばP社の利益2,000円、A社の利益が1,000で
P社はA社の発行済株式の20%を取得している場合、連結財務諸表上の利益はどうなるでしょうか?
仮に[連結]と[持分法]の処理それぞれで考えると下記になります。
[連結]の場合
→P社2,000+A社1,000-非支配800=2,200
※非支配:1,000×(100-20)%=800
[持分法]の場合
→P社2,000+A社の利益のうちP社持分200=2,200
※A社の利益のうちP社持分:1,000×20%=200
上記のように、どちらの場合も
連結上の利益は2,200円と一致します。
上記はあくまで例えになります。持分20%の場合、連結子会社とならないため実際は[持分法]が適用されます。
図解
まとめ
今回は「当期純利益の計上」について解説しました。
要点をまとめると下記のようになります。
- 持分法の場合、被投資会社の当期純利益のうち、投資会社の持分のみ加算させる。
- ※連結の場合は両社合算して、非支配株主分の利益を減少させる。ここが連結と持分法の大きな違いである。
- (仕訳)持分法による投資損益/関連会社株式
- ※当期純損失の場合は上記の逆仕訳となる。
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