日商簿記1級

【図解】投資差額の算定|持分法

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[持分法]の修正仕訳は主に下記のようなものがあります。

今回は「投資差額の算定」について解説します。

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株式取得時の処理

「連結」の場合、株式を取得し支配獲得した場合は

[投資と資本の相殺消去]を行います。

それに対して

「持分法」の場合は[投資と資本の相殺消去]は行いません。

そのため、株式取得時点では修正仕訳は行いません。

しかし、株式取得時は下記について算定する必要があります。

持分法の株式取得時の処理
  1. 時価評価(評価差額の算定)
    ※[部分時価評価法]と[全面時価評価法]
  2. 投資差額の算定

今回は「投資差額の算定」について解説します。

この時点では修正仕訳はありませんが、投資差額の算定が必要となります。

【評価差額と投資差額の違い】

  • [評価差額]は時価評価による差額
  • [投資差額]は投資と資本(評価差額含む)の差額

※名前は似ていますが意味は異なるので注意しましょう。

投資差額の算定方法

投資差額」とは下記の差額のことをいいます。

投資差額の算定
  • 投資(株式の取得原価)
  • 資本(被投資会社の時価評価された資本のうち投資会社に帰属する部分)

上記の差額が「投資差額」になります。

資本には評価差額も含まれます。

投資差額=投資ー資本

  • 投資・・株式の取得価額
  • 資本・・被投資会社の純資産(評価差額も含む)

例題

借方差額の場合

投資差額を算定し、借方差額の場合は、この時点では修正仕訳はしないで

決算時に償却の修正仕訳を行います。

例題

当期末にP社はA社の発行済株式の20%を1,200円で取得し

関連会社として持分法を適用することにした。

下記の資料に基づき、当期の連結財務諸表を作成するために必要な

[修正仕訳]および[投資差額]を示しなさい

  • 当期末におけるA社の土地(帳簿価額700円)の時価は1,000円であった。
  • 当期末におけるA社の資本勘定は次の通りである
    資本金:800円 利益剰余金:900円

(解答)

※仕訳なし
評価差額800円(借方)

関連会社のため【部分時価評価法】が適用されます。

①評価差額の算定:

(時価1,000-帳簿価額700)×20%=60円

②投資差額の算定:

投資(取得原価1,200)-資本(400)=800(借方)

資本:(資本金800+利益剰余金900)×20%+評価差額60円=400

【部分時価評価法】の場合

持分に応じた部分のみを時価評価します。

図解

上記の持分法の[借方差額]による投資差額を

図解で表すと下記になります。

持分法の投資差額[借方]

貸方差額の場合

上記とは逆で[貸方差額]の場合は、決算時に償却せず

[持分法による投資損益]として一括で収益計上します。

※これは連結の[負ののれん]と同じイメージです。

例題

当期末にP社はA社の発行済株式の20%を300円で取得し

関連会社として持分法を適用することにした。

下記の資料に基づき、当期の連結財務諸表を作成するために必要な

[修正仕訳]および[投資差額]を示しなさい

  • 当期末におけるA社の土地(帳簿価額700円)の時価は1,000円であった。
  • 当期末におけるA社の資本勘定は次の通りである
    資本金:800円 利益剰余金:900円

(解答)

A社株式100/持分法による投資損益100

評価差額100円(貸方)

(解説)

関連会社のため【部分時価評価法】が適用されます。

①評価差額の算定:

(時価1,000-帳簿価額700)×20%=60円

②投資差額の算定:

投資(取得原価300)-資本(400)=100(貸方)

資本:(資本金800+利益剰余金900)×20%+評価差額60円=400

→貸方差額のため、[持分法による投資損益]で計上します。

相手科目は[A社株式]で計上します。

図解

上記の持分法の[貸方差額]による投資差額を

図解で表すと下記になります。

持分法の投資差額(貸方)

[投資差額]と[のれん]

投資差額は、連結でいう

[のれん]と[負ののれん]のことです。

しかし、持分法では[のれん]という勘定科目は用いません。

また、[負ののれん]が発生した場合は[持分法による投資損益(P/L)]で計上します。

投資差額

【借方差額の場合】

→決算時に償却する。

※連結でいう[のれん]

【貸方差額の場合】

[持分法による投資損益(P/L)]として収益計上する。

一括で収益計上しているため償却は行わない。

※連結でいう[負ののれん]

[持分法による投資損益]は営業外費用または営業外収益になります。

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まとめ

今回は「投資差額の算定」について解説しました。

要点をまとめると下記になります。

  • 持分法の場合、株式取得時は[時価評価]および[投資差額]の算定が必要となる。
  • この時点では修正仕訳は発生しない。
  • 決算時に投資差額の償却額の計上を行う。
  • 投資差額は下記のように算定する。
    • 投資差額=[投資]ー[資本]
    • [投資]・・株式の取得価額
    • [資本]・・被投資会社の純資産(評価差額も含む)
  • 投資差額が貸方の場合は、[持分法による投資損益]で計上し、決算時の償却は行わない。

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