[持分法]の修正仕訳は主に下記のようなものがあります。
- 株式取得時の処理
- 時価評価(評価差額)
※[部分時価評価法]と[全面時価評価法] - 投資差額の算定
- 時価評価(評価差額)
- 投資差額の償却
- 当期純利益の計上
- 受取配当金の修正
- 持分法の開始仕訳
- 株式の売却損益の修正
- 期末の未実現損益の消去
- 期首の未実現損益の仕訳
今回は「配当金の修正」について解説します。
持分法の会計処理
「持分法」では、個別財務諸表の合算はせず
被投資会社A社の利益のうち、投資会社P社の持分のみ加算します。
※連結と違い相殺消去を行いません。
配当金の修正
配当金の修正について
[連結]と[持分法]の場合、それぞれの仕訳方法について解説します。
連結の場合
連結での配当金の修正は下記のような連結修正仕訳を行います。
①受取配当金 | 80 | / | ②剰余金の配当 (利益剰余金) | 100 |
③非支配株主持分 当期変動額 | 20 | / |
- ①親会社の受取配当金を減少→[借方]
- ②配当金支払いのための子会社の利益剰余金の減少の取り消し→[貸方]
- ③差額20円は親会社以外の株主に支払った配当金のため
[非支配株主持分当期変動額]で計上する。
↓[連結の配当金の修正]の詳しい内容については下記をご参照ください。
持分法の場合
上記に対して、持分法の場合は下記のような修正仕訳になります。
【持分法の配当金の修正】
受取配当金 | 80 | / | A社株式 | 80 |
連結の場合は、グループ内の会社の個別財務諸表を合算させますが
持分法の場合は合算させません。
そのため非支配株主への振替えは不要となり
被投資会社A社→投資会社P社の配当金の支払った金額で計上します。
個別上では下記のようなが計上されています。
(個別上の仕訳)
投資会社P社(配当金の受け取り)
現金 | 80 | / | 受取配当金 | 80 |
被投資会社A社(配当金の支払額)
利益剰余金 (P社へ支払) | 80 | / | 現金 | 100 |
利益剰余金 (非支配株主へ支払) | 20 | / |
なぜ貸方は[剰余金の配当]ではないのか?
ここで疑問に思うのは、貸方は
[連結]では剰余金の配当(利益剰余金)を用いているのに対し
なぜ[持分法]ではA社株式(関連会社株式)なのか?
ということです。
これは連結の場合は、個別財務諸表の合算をさせるため
下記の仕訳も連結財務諸表に反映されてしまいます。
これを取り消すため
[利益剰余金の減少の取り消し(借方)]を計上する必要があります。
A社(配当金の支払額)
利益剰余金 (P社へ支払) | 80 | / | 現金 | 100 |
利益剰余金 (非支配株主へ支払) | 20 | / |
しかし、持分法の場合は、個別財務の合算はしないため
連結上は上記仕訳は反映されません。
そのため取り消す必要もないため、利益剰余金は用いません。
利益剰余金の代わりにA社株式(関連会社)を用います。
※この受取配当金の修正によりA社株式の価値も変動するため、相手科目は[A社株式]を用います。
例題
(解答)
受取配当金 | 20 | / | A社株式 | 20 |
A社の剰余金の配当100円×P社持分20%=20
投資差額の償却や当期純利益の計上では[持分法によると投資損益]を用いますが、
受取配当金の修正は、[受取配当金]となります。
まとめ
今回は「配当金の修正」について解説しました。
要点をまとめると下記のようになります。
- 当期で被投資会社(A社)が配当金を支払った場合、投資会社(P社)へ支払った金額のみ修正する。
- 持分法では個別財務諸表の合算がないため、非支配株主への振替えはしない。
- 仕訳:
受取配当金 / 関連会社株式 - [投資差額の償却]や[当期純利益の計上]と異なり、借方は[持分法によると投資損益]ではないので注意
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