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期末の未実現損益の消去|持分法

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[持分法]の修正仕訳は主に下記のようなものがあります。

今回は「期末の未実現損益の消去」について解説します。

※税効果会計の適用ありで解説してます。

持分法の場合、連結と違い下記のような注意点があります。

◆持分法の未実現利益

  • [アップストリーム]と[ダウンストリーム]で勘定科目が異なる。
  • 消去額が、未実現利益の[全額]の場合と[持分相当額]の場合がある。
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持分法の未実現損益

持分法の場合も、連結と同様に[未実現利益の消去]を行う必要があります。

↓[連結会計の未実現利益]については下記をご参考ください。

連結会計と違い、持分法では個別財務諸表の合算を行いません

そのため、未実現利益で用いる勘定科目も少し異なります。

連結会計の未実現利益の仕訳

(1)売上原価
(P/L)
50/商品50
(2)繰延税金資産20/法人税等調整額
(P/L)
20
(3)非支配株主持分当期変動額6/非支配株主に帰属する当期純損益
(P/L)
6
(3)はアップストリームの場合に発生します。

持分法の未実現利益の仕訳

持分法の場合は、下記により勘定科目が異なります。

  • ダウンストリーム
  • アップストリーム

また連結と違い、アップストリームによる非支配株主の振替えは発生しません。

持分法では個別財務諸表の合算を行わないため、非支配株主の振替えは発生しません。

持分法による未実現利益の消去の仕訳は下記のようになります。

繰り返しになりますが、

持分法の場合、個別財務諸表の合算を行いません。

連結上では、投資会社P社の個別財務諸表が主体となり、

被投資会社A社の利益だけ加減算しているかたちになります。

  • ダウンストリーム
    投資会社P社の売上高が変動
  • アップストリーム
    被投資会社A社の売上高が変動

アップストリームによる被投資会社のA社の売上高の変動は、

[持分法による投資損益]の変動となるため、この勘定科目を用います。

また相手科目である貸方も

  • ダウンストリームでは[A社株式]
  • アップストリームでは[商品]

と異なるため注意しましょう。

持分法の未実現利益の消去額

連結では、未実現利益の全額を消去しますが

持分法の場合、下記のようになります。

  • ダウンストリームの[非連結子会社]→全額
  • それ以外持分(%)相当額

となります。

連結と持分法で未実現利益の消去額も異なるので注意しましょう。

持分法の場合、なぜ全額ではないのか?

持分法の場合、時価評価の際に下記のように処理を行います。

  • [関連会社]→部分時価評価法
  • [非連結会社]→全面時価評価法

これと同様に未実現利益でも、

関連会社の場合は、[部分時価評価法]を用います。

しかし、アップストリームでは被投資会社A社の利益が変動するため

持分(%)相当額で消去します。

なぜ連結と勘定科目が異なるのか?

ここで疑問に思うのは下記になります。

  • 連結では[借方]は[売上原価]に対して、なぜ持分法のダウンストリームでは[売上高]なのか?
  • アップストリームでは、[売上高]ではなく、なぜ[持分法による投資損益]なのか?
  • [貸方]に関しては、なぜ下記のように異なるのか?
    • ダウンストリーム→[A社株式]
    • アップストリーム→[商品]

上記の疑問については下記のページで詳しく解説します。

ダウンストリーム(関連会社)の例題

※[関連会社]の場合、未実現利益の持分(%)相当額を消去額とします。

例題

前期末にP社はA社の発行済株式の20%を1,200円で取得し

関連会社として持分法を適用することにした。

下記の資料に基づき、当期X2年3月31日の連結財務諸表を作成するために必要な

修正仕訳を示しなさい。

[資料]

  • A社の期末棚卸商品のうち1,000円はP社から仕入れたものである。
  • なお、P社はA社に利益率15%で商品を販売している。
  • 実効税率は40%である。
(1)売上高30/A社株式30
(2)繰延税金資産12/法人税等調整額12
ダウンストリーム(関連会社)

(1)未実現利益の消去額

期末商品1,000×15%(利益率)×20%(持分)=30円

関連会社によるダウンストリームのため、持分(%)相当額となります。

(2)税効果会計の適用

連結上の売上の変動により、利益も変動するため

税効果会計の適用が必要となります。

30×40%(税率)=12円

ダウンストリーム(非連結子会社)の例題

※[非連結子会社]の場合、未実現利益の全額を消去額とします。

例題

前期末にP社はA社の発行済株式の60%を1,200円で取得し

非連結会社として持分法を適用することにした。

下記の資料に基づき、当期X2年3月31日の連結財務諸表を作成するために必要な

修正仕訳を示しなさい。

[資料]

  • A社の期末棚卸商品のうち1,000円はP社から仕入れたものである。
  • なお、P社はA社に利益率15%で商品を販売している。
  • 実効税率は40%である。
(1)売上高150/A社株式150
(2)繰延税金資産60/法人税等調整額60
ダウンストリーム(非連結子会社)

(1)未実現利益の消去額

期末商品1,000×15%(利益率)×100%(全額)=150円

非連結子会社によるダウンストリームのため、全額となります。

(2)税効果会計の適用

連結上の売上高の変動により、利益も変動するため

税効果会計の適用が必要となります。

150×40%(税率)=60円

アップストリーム

※アップストリームの場合は[関連会社][非連結会社]関係なく

未実現利益の持分(%)相当額を消去額とします。

またダウンストリームと勘定科目も異なるため注意しましょう。

例題

前期末にP社はA社の発行済株式の20%を1,200円で取得し

関連会社として持分法を適用することにした。

下記の資料に基づき、当期X2年3月31日の連結財務諸表を作成するために必要な

修正仕訳を示しなさい。

[資料]

  • P社の期末棚卸商品のうち1,000円はA社から仕入れたものである。
  • なお、A社はP社に利益率15%で商品を販売している。
  • 実効税率は40%である。
(1)持分法による投資損益30/商品30
(2)A社株式12/持分法による投資損益12
アップストリーム

(1)未実現利益の消去額

期末商品1,000×15%(利益率)×20%(持分)=30円

アップストリームのため、持分(%)相当額となります。

(2)税効果会計の適用

連結上の売上高の変動により、利益も変動するため

税効果会計の適用が必要となります。

30×40%(税率)=12円

ダウンとアップで勘定科目が異なるので注意しましょう。

持分法だと税効果の勘定科目が異なる理由

持分法の未実現利益の税効果で

「ダウンストリーム」と「アップストリーム」で勘定科目が異なるのはなぜなのか?

【ダウンストリーム】

(2)繰延税金資産12/法人税等調整額12
ダウンストリーム(関連会社)

【アップストリーム】

(2)A社株式12/持分法による投資損益12
アップストリーム

ダウンストリームの場合

ダウンストリームの場合

投資会社(P社)が納税主体となるため

法人税等調整額で調整し、相手科目は繰延税金資産になります。

これに対してアップストリームの場合

アップストリームの場合

アップストリームの場合

被投資会社(A社)が納税主体となるため

法人税等調整額ではなく持分法による投資損益で調整し、

相手科目は繰延税金資産ではなく、A社株式になります。

持分法」では、個別財務諸表の合算はせず

被投資会社A社の利益のうち、投資会社P社の持分のみ加算します。

連結と持分法の違い(持分法)

連結では、合算して相殺消去しますが、持分法は利益のみで調整します。

この時に用いる勘定科目が「持分法による投資損益」「A社株式」です。

アップストリームの場合

被投資会社(A社)が納税主体となり、被投資会社(A社)の調整は

「持分法による投資損益」「A社株式」を用いるため

ダウンストリームとは勘定科目が異なります。

まとめ

今回は「期末の未実現損益の消去」について解説しました。

  • 連結と同様に持分法でも、未実現利益の消去が必要である。
  • 消去額は連結の場合は、未実利益の全額となる。
  • しかし、持分法の場合は[持分相当額]と[全額]の場合とあるので注意
  • ダウンストリームとアップストリームで使用する勘定科目も異なる。

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経理歴8年で企業経理で働いています。経理や簿記について解説していきます。

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