減価償却費は会計上も税法上の耐用年数を用いて償却することが主になります。
しかし、税法上と会計上の耐用年数が異なり会計と税務で償却額が異なる場合、税効果会計の適用が必要となります。
今回は減価償却費の税効果会計の仕訳について解説します。
償却限度超過額とは?
税法上の損金として認められる償却額を「償却限度額」といいます。
会計上の償却額がこの「償却限度額」を超えてしまった場合の差額を「償却限度超過額」といいます。
例えば下記の場合
- 会計上の減価償却費が500円
- 税法上の減価償却費が300円
償却限度額は300円
償却限度超過額は200円(500-300)となります。
この税法上の償却費を超えた部分(償却限度超過額)は損金不算入となります。
また、この差異は償却が終了後あるいは売却した時に解消されるため一時差異となり
税効果会計の適用となります。
減価償却費の税効果会計の仕訳
次の例題に沿って減価償却費の税効果会計の仕訳について解説します。
(解答)
年度 | 借方科目 | 金額 | / | 貸方科目 | 金額 |
1 | 繰延税金資産 | 75 | 法人税等調整額 | 75 | |
2 | 繰延税金資産 | 75 | 法人税等調整額 | 75 | |
3 | 繰延税金資産 | 75 | 法人税等調整額 | 75 | |
4 | 繰延税金資産 | 75 | 法人税等調整額 | 75 | |
5 | 法人税等調整額 | 300 | 繰延税金資産 | 300 |
[1-4年目]
- 会計上の減価償却費:1,250円
- 税法上の償却限度額:1,000円
(1,250-1,000)×30%=75
[5年目]
会計上は4年で償却終了するため
- 会計上の減価償却費:0円
- 税法上の償却限度額:1,000円
(0-1,000)×30%=△300
5年目の償却終了時に繰延税金資産の残高0となり差異が解消されます。
(解答)
年度 | 借方科目 | 金額 | / | 貸方科目 | 金額 |
1 | 繰延税金資産 | 30,000 | 法人税等調整額 | 30,000 | |
4 | 法人税等調整額 | 15,000 | 繰延税金資産 | 15,000 | |
5 | 法人税等調整額 | 15,000 | 繰延税金資産 | 15,000 |
「一括償却資産」は税法上は3年均等償却になります。
申告調整方式の場合、会計上は購入時に全額費用で計上します。
↓一括償却資産の申告調整方式についての詳しい解説は下記をご参照ください
[1年目]
- 会計上の費用:150,000円
- 税法上の償却限度額:50,000円
(150,000 – 50,000 )×30%=30,000
[2-3年目]
会計上は1年目で全額費用で計上しているため
- 会計上の費用:0円
- 税法上の償却限度額:50,000円
(0-50,000)×30%=△15,000
実務での償却限度超過額の具体例
基本は[会計上の耐用年数]は[税法上の耐用年数]と合わしている会社が多いため
上記の例題1のようなことは実務ではあまり発生しません。
では償却限度超過額が発生するのはどういう場合が多いか?
というと下記のような場合になります。
償却限度超過額の具体例
- 例題2のような一括償却資産を申告調整方式で採用している場合
- 固定資産の減損をした場合※減損は損金不算入となるため
- 耐用年数は同じでも税法上は定率法、会計上は定額法で処理している場合
まとめ
今回は減価償却費の税効果会計の仕訳について紹介しました。
税法上と会計上の償却費をそれぞれ計算する必要があるため
簿記の試験では計算ミスをしないように注意しましょう。
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