税務経理の知識

固定資産の売却した場合の消費税の取り扱い

税務
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簿記の資格試験で「固定資産の売却」を勉強された方もいると思いますが

簿記の試験では消費税が考慮されていません。

経理の実務で、固定資産の売却をする場合、消費税の計算で注意する点があります。

今回はそれについて解説します。

↓簿記の試験対策向けの「固定資産の売却」の解説は下記になります。

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そもそも消費税って?

まず消費税について、下記の例題に沿って解説します。

※消費税は10%としております。

例題

商品を1,000円で仕入れた。代金は後日支払うとする。またこの代金は税込である。

仕入(課税)909/買掛金1,000
仮払消費税91/
例題

商品を2,000円で販売した。代金は後日受け取るとする。またこの代金は税込である。

売掛金2,000/売上(課税)1,818
/仮受消費税182

このように

  • 代金を支払うときは「仮払消費税
  • 代金を受け取るときは「仮受消費税

となります。

また通常の会計ソフトであればPL科目「仕入」「売上」の消費税区分を課税にしていれば

税込で入力することで、自動で「仮払消費税」「仮受消費税」が計算されます。

しかし、固定資産の売却では自動で計算ではなく、【手動】で計算する必要があります

固定資産管理のシステム化をしていれば、自動で計算できますが

システム化されていなければ、手動で計算する必要があります。

固定資産の売却した場合の消費税について

固定資産の売却した場合の消費税は「売却額」に課税されます。

売却損益の金額は消費税には関係ありません。

経理が扱う会計ソフトでは収益や費用などPL科目から自動で消費税を計算することが多く

誤って「固定資産売却損」「固定資産売却益」の金額に課税してしまいがちです。

では、実際の仕訳がどうなるか下記の例題で解説します。

固定資産の売却の仕訳(消費税あり)

売却損・売却益の場合それぞれ解説していきます。

また間接法を用いて解説します。

売却損の場合

例題

備品(取得原価300,000円,帳簿価額100,000)を40,000円で売却した。

代金は後日受け取るとする。消費税は10%とする。

(解答)

①消費税考慮しない場合(税込方式)

未収入金40,000/備品300,000
減価償却累計額100,000/
固定資産売却損160,000/

まず消費税を考慮しない場合は上記のような仕訳になります。

②消費税考慮する場合(税抜方式)

未収入金40,000/備品300,000
減価償却累計額100,000/仮受消費税3,636
固定資産売却損(不課税)163,636/

未収入金40,000円は税込金額となっております。そのため、税抜金額にします。

40,000(税込)÷110%=36,364円(税抜)

40,000(税込)-36,364円(税抜)=3,636円←これが仮受消費税

受け取る代金40,000円の中には消費税3,636円が含まれているため仮受消費税となります。

そしてこの消費税3,636円はPL科目の固定資産売却損へ加算します。

固定資産売却損160,000+仮受消費税3,636=163,636

また会計ソフトで入力する際に[固定資産売却損]の消費税区分は不課税にします。

これを課税にしてしまうと、誤ってここからさらに消費税計算が入ってしまうので気をつけましょう。

実務で間違いやすいポイント(売却損)

・固定資産売却損の消費税区分を課税して

固定資産売却損145,455
仮払消費税 14,545

上記のように消費税計算するのは間違いですので気を付けましょう。

消費税は売却額に課税されているので、売却額から求めます。

売却益の場合

例題

備品(取得原価300,000円,帳簿価額100,000)を270,000円で売却した。

代金は後日受け取るとする。消費税は10%とする。

(解答)

①消費税考慮しない場合(税込方式)

未収入金270,000/備品300,000
減価償却累計額100,000/固定資産売却益70,000

まず消費税を考慮しない場合は上記のような仕訳になります。

②消費税考慮する場合(税抜方式)

未収入金270,000/備品300,000
減価償却累計額100,000/固定資産売却益(不課税)45,455
/仮受消費税24,545

未収入金270,000円は税込金額となっております。そのため、税抜金額にします。

270,000(税込)÷110%=245,455円(税抜)

270,000(税込)-245,455(税抜)=24,545円←これが仮受消費税

受け取る代金270,000円の中には消費税24,545が含まれているため仮受消費税となります。

そしてこの消費税24,545円はPL科目の固定資産売却益へ減算します。

固定資産売却損70,000-仮受消費税24,545=45,455

また会計ソフトで入力する際に[固定資産売却益]の消費税区分は不課税にします。

これを課税にしてしまうと、誤ってここからさらに消費税計算が入ってしまうので気をつけましょう。

実務で間違いやすいポイント(売却益)

・固定資産売却益の消費税区分を課税して

固定資産売却益63,636
仮受消費税 6,364

上記のように消費税計算するのは間違いですので気を付けましょう。

消費税は売却額に課税されているので、売却額から求めます。

間違いやすいポイント

数字が細かく混乱している方もいると思うので

会計ソフトを用いた場合の間違いやすいポイントを改めて整理します。

  • 通常の経費・売上の計上は消費税は自動計算されるが、固定資産の売却は手動で計算する必要がある
  • 固定資産売却損益の消費税区分を課税にしないこと
  • 売却額の未収入金(税込)は金額は変わらない。
  • 消費税による調整はPL科目である固定資産売却損益で行う
  • 売却することで代金を受け取るため、「仮消費税」になる
  • 売却損・益関わらず「仮消費税」は発生しない
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まとめ

今回は実務向けの固定資産の売却による消費税の取り扱いについて解説しました。

簿記の試験では出題されることはありませんが、経理の業務を行うことで間違いやすいポイントになります。

また、固定資産管理がシステム化されており、売却額から仮受消費税を自動で算出できる仕組みが出来ている会社もあります。

その場合は間違える心配はありませんが、システム化されていなければ手動で消費税を計算するかたちになります。

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