日商簿記2級

固定資産の除却・廃棄の違いと仕訳方法

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今回は固定資産の除却・廃棄について解説します。

「除却」と「廃棄」は似ているように見えますが違う意味になります。

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固定資産の除却と廃棄の違い

除却と廃棄の違いは下記のようになります。

除却」・・固定資産を業務用として使用するのをやめること

廃棄」・・固定資産を捨てること

  • PCが使えなくなったため倉庫に移動した。これは除却になります。
  • そのPCを処分した。これは廃棄になります。

除却したときの損失は「固定資産除却損

廃棄したときの損失は「固定資産廃棄損

どちらも「特別損失」に区分されます。

次にそれぞれの仕訳について解説します。

固定資産の除却の仕訳

除却した場合、スクラップとしての価値の見積もり(見積処分価額)を貯蔵品(資産)で計上します。

見積処分価額とは?

例えば壊れたノートPCは使用できませんが、PCの中の部品がまだ使えるため

スクラップ品として業者に売ることができます。これを見積もった金額が「見積処分価額となります。

後に業者へ廃棄する際にこの金額を受け取れる可能性があるため「貯蔵品(資産)」で計上します。

「見積処分価額」は除却にかかる費用はありません。後に受け取る価値のため貯蔵品(資産)になります。

例題

X2年8月31日に不用となった備品(取得原価300,000・減価償却累計額120,000・耐用年数5年・残存価額0)を除却した。

なお除却資産の見積処分価額は8,000円である。また間接法・定額法により毎年3月に減価償却している。

(解説)

備品減価償却累計額120,000/備品300,000
減価償却費25,000/
貯蔵品8,000/
固定資産除却損147,000

見積処分価額8,000円は貯蔵品(資産)で計上します。

X2年4-8月の当期の減価償却費

→300,000÷5年×5ヶ月/12=25,000

貸借差額147,000円は固定資産除却損になります。

例題

上記の除却した資産を5,000円で売却した。代金は後日受け取るとする。

(解説)

未収入金5,000/貯蔵品8,000
固定資産売却損3,000/

貯蔵品を売却したときの差額は固定資産売却損益で計上します。

固定資産の廃棄の仕訳

廃棄は完全に処分するため、見積処分価額(貯蔵品)は発生しません。

例題

X2年8月31日に不用となった備品(取得原価300,000・減価償却累計額120,000・耐用年数5年・残存価額0)を廃棄した。

間接法・定額法により毎年3月に減価償却している。廃棄費用1,000円は現金で支払った。

(解説)

備品減価償却累計額120,000/備品300,000
減価償却費25,000/現金1,000
固定資産廃棄損156,000

X2年4-8月の当期の減価償却費

→300,000÷5年×5ヶ月/12=25,000

貸借差額156,000円固定資産廃棄損になります。

廃棄費用1,000円も固定資産廃棄損に含めます。

見積処分価額と廃棄費用に違い

除却では「見積処分価額」、廃棄では「廃棄費用」という言葉が出てきますが

これを同じ意味に聞こえますが、これは違う意味になります。

見積処分価額」はその資産をスクラップ品として業者に売ることが出来る見積もり額です。後日支払うものではなく、受け取るものになります。そのため資産である貯蔵品で計上します。

廃棄費用」は廃棄するのにかかる費用です。

見積処分価額」は費用ではないので注意しましょう。

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まとめ

今回は「固定資産の除却・廃棄」について解説しました。

売却と仕訳処理は変わらないため難しくはありません。

ただ「見積処分価額」は貯蔵品(資産)で計上するのでそこだけ注意しましょう。

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