今回は耐用年数2年の定率法での償却方法について紹介していきます。
タイトル通りなのですが、この場合の償却期間は1年になります。
なぜ耐用年数は2年なのに償却期間は1年になるのか?
耐用年数≠償却期間となる理由について解説します。
200定率法の償却率
新定率法(200%定率法)の場合、償却率は下記のように求めます。
〇200%定率法の償却率の求め方
→200%÷耐用年数(年)
〇定率法の1年の減価償却費
→未償却残高×償却率(%)
例えば耐用年数が
- 5年の場合→200%÷5年=40%
- 4年の場合→200%÷4年=50%
- 3年の場合→200%÷3年=66.66…%
このようになります。
では耐用年数2年の場合はどうなるのでしょうか?
耐用年数2年の場合は?
- 2年の場合→200%÷2年=100%
100%・・・?
100%ということは1年で全額100%償却するということです。
次の例題で考えてみましょう。
(例題)
当期首に備品(取得原価300,000・耐用年数2年)を購入した。200%定率法により減価償却した場合の1年目と2年目の仕訳を示しなさい。
(解説)
1年目
減価償却費 | 299,999 | / | 備品減価償却累計額 | 299,999 |
償却率:200%÷2年=100%
未償却残高300,000×100%=300,000円
簿価1円残しのため299,999円
2年目
仕訳なし
※1年目で償却終了したため。
このように耐用年数2年の定率法は
償却率100%のため償却期間は1年となります。
償却期間1年となる理由は償却率が100%だからです。
期中取得の場合
期中取得の場合も同じ償却期間は1年(12ヶ月)です。ただし期をまたぐため、2年目で償却終了します。
(例題)
X1年11月1日に備品(取得原価300,000・耐用年数2年)を購入した。200%定率法により減価償却した場合の1年目と2年目の仕訳を示しなさい。決算月は3月とする。
(解説)
1年目
減価償却費 | 125,000 | / | 備品減価償却累計額 | 125,000 |
償却率:200%÷2年=100%
未償却残高300,000×100%×5ヶ月/12=125,000円
簿価1円残しのため299,999円
2年目
減価償却費 | 174,999 | / | 備品減価償却累計額 | 174,999 |
未償却残高(300,000-125,000)×100%×7ヶ月/12=175,000円
簿価1円残しのため174,999円
250%定率法の場合
では、250%定率法で耐用年数2年の場合はどうなるのでしょうか。
〇250%定率法の償却率の求め方
→250%÷耐用年数(年)
〇定率法の1年の減価償却費
→未償却残高×償却率(%)
耐用年数2年の場合の償却率
250%÷2年=125%
100%超えるということは、未償却残高よりの多く減価償却するということになってしまいます。
それだと、さすがにおかしいため償却率は100%となります。
つまり250%定率法も耐用年数2年の場合は償却期間1年となります。
旧定率法の場合
では、旧定率法で耐用年数2年の場合はどうなるのでしょうか。
旧定率法の償却率は下記のように定められています。
耐用年数 | 償却率 |
2 | 0.684 |
3 | 0.536 |
4 | 0.438 |
5 | 0.369 |
6 | 0.319 |
旧定率法で耐用年数2年の場合は68.4%となります。
耐用年数2年の200%定率法・250定率法は、償却期間1年でしたが
旧定率法はそうはならないということです。
では償却期間は耐用年数と同じ2年かというとそうでもありません。
旧定率法は残存価額の扱いがあるため耐用年数≠償却期間となります。
↓詳細はこちらをご参照ください。
耐用年数2年の固定資産
では、耐用年数の固定資産はどんなものがあるのでしょうか?
国税庁のホームページより調べたところ下記のようなものがありました。
- 自転車(一般用)
- 自転車(運送用・貸出用・教習所用)
- 切削工具
- 活字、活字に常用される金属
- 看板・広告器具(マネキン人形、模型)
※上記はあくまで一例です。
上記のもので経費ではなく、固定資産の要件に満たしたものは耐用年数2年となります。
↓固定資産で計上する要件は下記に記載してます。
まとめ
今回は耐用年数2年の定率法について解説しました。
税制改正後であれば、耐用年数=償却期間になるのが一般的なのですが
このように一部そうならないケースもあります。
少し不思議な感じになりますが、豆知識として認識して頂ければと思います。
定率法の耐用年数2年の場合の償却期間
- 200%定率法→償却期間1年
- 250%定率法→償却期間1年
※旧定率法は償却期間1年になりません。
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