今回は簿記3級の試験範囲である「固定資産の売却」について解説します。
※定率法の固定資産の売却は簿記2級の試験範囲になります。
固定資産の売却とは?
不要となった固定資産は売却することがあります。
固定資産を売却した場合、固定資産を減少(貸方)させ、売却額を資産の増加(借方)として計上します。
また、固定資産を売却したとき、帳簿価額と売却の差額は下記の勘定科目で計上します。
①帳簿価額>売却の場合
→固定資産売却損(特別損失)
②帳簿価額<売却額
固定資産売却益(特別利益)
「固定資産売却損益」は営業外費用・営業外収益ではなく、特別損失・特別利益になります。
また、帳簿価額は取得原価から期首の減価償却累計額と当期の減価償却費を差し引いて計算します。
帳簿価額の求め方
→取得原価-減価償却費累計額-当期の減価償却費
期中に売却した場合、当期の減価償却費を忘れがちなので注意しましょう。
では次は例題に沿って仕訳方法を解説します。
固定資産の売却の仕訳方法
期首・期中の売却それぞれ解説します。
※例題は全て間接法・残存価額0で解説しております。
期首に売却した場合
(解説)
未収入金 | 200,000 | / | 備品 | 300,000 |
備品減価償却累計額 | 70,000 | / | ||
固定資産売却損 | 30,000 | / |
期首には売却されたため当期の減価償却費はありません。
帳簿価額:取得原価300,000-累計額70,000=230,000
売却額-200,000-帳簿価額230,000=△30,000(売却損)
※仕訳を埋めていき貸借差額が固定資産売却損益になります。
- 借方差額の場合→固定資産売却損
- 貸方差額の場合→固定資産売却益
↓また直接法の場合は帳簿価額が備品の金額になります。
未収入金 | 200,000 | / | 備品 | 230,000 |
固定資産売却損 | 30,000 | / |
また、売却額を後日受け取る場合は「未収入金」になります。
売掛金ではないので注意しましょう。
期中で売却した場合
期中で売却した場合、当期の減価償却費も計算する必要があります。
定額法と定率法の場合2つのパターンで解説します。
定額法の場合(簿記3級)
(解説)
未収入金 | 200,000 | / | 備品 | 300,000 |
備品減価償却累計額 | 70,000 | / | 固定資産売却益 | 5,000 |
減価償却費 | 35,000 | / |
期中の売却のため当期分のX2年4月-10月までの
7ヶ月分の減価償却費を求める必要があります。
300,000÷5年×7ヶ月/12=35,000
貸借差額:(200,000+70,000+35,000)-30,000=5,000(売却益)
定率法の場合(簿記2級)
(解説)
未収入金 | 200,000 | / | 備品 | 300,000 |
備品減価償却累計額 | 60,000 | / | 固定資産売却損 | 16,000 |
減価償却費 | 56,000 | / |
この例題では減価償却累計額の記載がありません。
取得日の記載があるので取得日から売却日までの償却額を計算します。
前期(X1年10月-X2年3月)の減価償却費
→300,000×40%×6ヶ月/12=60,000(減価償却累計額)
当期(X2年4月-X3年10月)
→(300,000-60,000)×40%×7ヶ月/12=56,000(減価償却費)
前期までの償却は「減価償却累計額」
当期の償却は「減価償却費」になります。
まとめ
今回は「固定資産の売却」の仕訳を解説しました。
期中で売却した場合は、当期の減価償却を計算する場合もあるため気を付けましょう。
また今回は簿記の試験対策として解説しましたが、経理の実務になると消費税が発生します。
消費税を考慮した場合の解説は下記になりますので、よかったらご参考ください。
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