日商簿記1級

圧縮記帳とは?わかりやすく解説【積立金方式】

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圧縮記帳」の会計処理は下記の2つあります。

【圧縮記帳】

  1. 直接減額方式(簿記2級)
  2. 積立金方式(簿記1級)

今回は「積立金方式」について解説します。

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圧縮記帳「積立金方式」とは?

圧縮記帳「直接減額方式」では補助金の金額を

固定資産の取得原価から直接減少させ、相手勘定を固定資産圧縮損(費用)で計上しました。

固定資産圧縮損
(費用の増加)
/固定資産
(資産の減少)
直接減額方式の仕訳

これに対して圧縮記帳「積立金方式」では補助金の金額を

取得原価から直接減少しないで、決算時に圧縮積立金(純資産)で積み立てます。

(相手科目は繰越利益剰余金)

繰越利益剰余金/圧縮積立金
(純資産)
積立金方式の仕訳

圧縮積立金」の計上は決算時です。

購入時ではないので注意しましょう。

圧縮積立金は純資産の任意積立金の区分になります。

また決算時に減価償却する場合

直接減額方式」は減額した取得原価の固定資産の減価償却のみですが

積立金方式」は下記2つの仕訳を行います。

【積立金方式の場合の減価償却】

  1. 固定資産の減価償却
  2. 圧縮積立金を耐用年数の期間で取り崩し、相手勘定は繰越利益剰余金で計上
減価償却費/減価償却累計額
圧縮積立金(純資産)/繰越利益剰余金

「積立金方式」では取得原価の減額の代わりに圧縮積立金を積み立てたため、この取り崩しが発生します。

圧縮記帳の積立金方式の仕訳方法

例題

X2年4月1日に国庫補助金500,000円を現金で受け取り、機械1,500,000円を現金で購入した。

決算月は3月で、定額法5年で減価償却し、圧縮記帳は積立金方式とする。

(1)国庫補助金受け取った時(2)機械を購入した時(3)X3年3月決算時の仕訳を求めよ。

(解答)

(1)国庫補助金受け取った時

現金500,000/国庫補助金収入500,000

国庫補助金500,000円を受け取ったため、収益として計上します。

ここまでは直接減額方式と同じ仕訳になります。

(2)機械を購入した時

機械1,500,000/現金1,500,000

直接減額方式では固定資産圧縮損を計上しますが、

積立金方式では計上しません。

機械の取得原価は1,500,000円で変わらずです。

(3)X3年3月決算時

減価償却費300,000/機械減価償却費累計額300,000
繰越利益剰余金500,000/圧縮積立金500,000
圧縮積立金100,000/繰越利益剰余金100,000

①減価償却費の計算:

取得原価(1,500,000)÷5年=300,000円

②圧縮積立金の積み立て:

国庫補助金500,000円を圧縮積立金(純資産)へ積み立てる

③圧縮積立金の取り崩し:

圧縮積立金を耐用年数の期間で取り崩す

圧縮積立金500,000÷5年=100,000円

圧縮記帳した場合のそれぞれの利益について

  • 圧縮記帳した場合(直接減額方式)
  • 圧縮記帳した場合(積立金方式)
  • 圧縮記帳しない場合

上記3つを適用した場合の、利益の違いは下記のようになります。

直接減額方式と積立金方式は各年度の利益は同じになります。

圧縮記帳しない場合とでは、各年度の利益は異なりますが

最終的な累計の利益は△1,000,000円で一致します。

積立金方式は税効果の適用あり

会計上では「直接減額方式」と「積立金方式」のどちらか選択できますが

税法上では「直接減額方式」のみになります。

そのため積立金方式を適用すれば

【会計上の費用】と【税務上の損金】の差額が発生するため税効果の適用となります。

※詳しい解説は下記に記載してます。

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まとめ

今回は圧縮記帳の積立金方式について解説しました。

積立金方式は、直接減額方式と違い、固定資産の取得原価から減額しないため

固定資産の正しい取得原価を表示できるのがメリットであります。

対してデメリットは、税効果の適用もあり会計処理が複雑になることになります。

また直接減額方式と積立金方式の違いをまとめると下記になります。

【直接減額方式】

固定資産の取得原価を直接減額する方法

【積立金方式】

固定資産の取得原価を減額せず、圧縮積立金(純資産)で計上する方法

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