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事業所税とは?計算方法などわかりやすく解説

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今回は【事業所税】の計算方法について解説します。

また似たような名前で「事業税」という税金もありますが

こちらは全く別の税金になります。

↓事業税(法人事業税)については下記で解説しております・

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事業所税とは?

事業所税は、一定の規模の法人・個人に課せられる地方税

都市環境の整備及び改善に関する事業の財源にあてるための税金となります。

事業所税の勘定科目

事業所税の勘定科目は【租税公課】になります。

法人税等ではないので注意しましょう。

納付期限

【個人の場合】

事業を行った年の翌年3月15日まで

【法人の場合】

事業年度終了の日から2か月以内

例えば

例えば3月決算であれば、

2ヶ月以内の5/31までに申告して納付する必要があります。

納税の対象地域

事業所税は地方税になりますが、全ての地域が対象となる訳ではありません。

対象となる地域は下記になります。

【事業所税の対象となる地域】

  • 東京都23区
  • 人口30万人以上の都市や政令指定都市など

事業所税は全ての地域が対象となる訳ではありません。

事業所税の種類

事業所税は「資産割」「従業の2つで構成されております。

事業所税は、一定規模以上の事業を行っている事業主に対して課税される税金で、

「事業所等の床面積を対象とする資産割

「従業者の給与総額を対象とする従業者割とに分かれます。

東京都主税局ホームページ

つまり、課税対象となるものは下記2つになります。

事業所税について
  1. 事業所の床面積(資産割)
  2. 従業員の給与(従業)

納税の対象者(免税判定)

ただし一定の規模以上の事業者が対象となり、対象地域でも

全ての事業者が対象となる訳ではありません。

【免税判定】

  • 合計事業所床面積が1,000㎡以下の場合は免税(資産割)
  • 合計従業者数が100人以下の場合は免税(従業)

免税とは、税金を免除するという意味です。

ただし、下記の場合は申告が必要となります。

  • 申告は800㎡超から必要(資産割)
  • 申告は80人超から必要(従業)

面接が800~1000であれば納付額は0ですが、申告はする必要があります。

またどちらか片方でも課税対象であれば、申告及び納付は必要となります。

例題

例題
  • 事業所床面積600㎡
  • 従業員数120人
    ※当社は事業所税の対象地域に事業所がある。

上記の場合は申告は必要・不要どちらになるか?

(解答)

必要

  • 資産割→必要
  • 従業者割→不要

(解説)

資産割は800㎡以下だが、

従業者割は80人以上のため申告が必要となる。

また100人以上になるため、課税対象になる。

この場合、従業者割のみ計算し納付する必要があります。

アルバイトやパートタイマーの取り扱い

事業所税の従業員割において

アルバイトやパートタイマーは従業者数に含まれるか?

また、その給与等は従業者給与総額に含まれるか?

免税点を判定する場合の従業者の範囲:含めない
課税標準となる従業者給与総額の範囲:含める

■免税点を判定

合計従業者数が100人以下の場合は免税(従業者割)でとなりますが

ここではアルバイトやパートタイマーは従業員数として含めません

■課税標準の範囲

従業員数100人超えとなり免税対象外となった場合、

従業者給与総額にアルバイトやパートタイマーは従業員数として含めます。

アルバイトやパートタイマーの定義

アルバイトやパートタイマーとは、形式的な呼称ではなく

勤務の状態によって判定されます。

就業規則等で定められた 1 日の所定労働時間が正規従業者と比較して 4 分の 3 未満である
ものをいいます

アルバイトやパートタイマーは

就業規則等で定められた 1 日の所定労働時間が正規従業者と比較して 4 分の 3 未満を指す。

つまりフルタイムで勤務しているアルバイトは、正規従業者と同じ扱いになります。

事業所税の算出方法

上記に述べた通り、事業所税は

「資産割」「従業の2つで構成されております。

それぞれの算出方法は下記になります。

【資産割】

合計事業所床面積(㎡)×600円

従業

従業者給与総額×0.25/100

例題に沿って下記で実際の計算方法を解説します。

例題
  • 事業所床面積1,200㎡
  • 従業員数120人(給与総額360,000,000円)

[補足]

  • 非課税部分はなしとする。
  • 当社は事業所税の対象地域に事業所がある。

上記の場合の事業所税の金額および仕訳を示しなさい。

非課税部分については後ほど説明します。

(解答)

事象所税の金額:1,620,000円

租税公課
(事業所税)
1,620,000/未払事業所税1,620,000
※事業所税は租税公課になります

(解説)

まず事業所税は1,000㎡超え、従業員は100人越えのため

どちらも課税対象となります。

〇資産割:

1,200㎡×600円=720,000円

従業

360,000,000×0.25/100=900,000円

〇合計:

720,000+900,000=1,620,000円

事業所税は上記のようにしてを算出します。

みなし共同事業について

事業所税は下記のように、面積1,000㎡以下・従業員100名以下の場合は免税となり申告も不要となります。

【免税判定】

  • 合計事業所床面積が1,000㎡以下の場合は免税(資産割)
  • 合計従業者数が100人以下の場合は免税(従業)

しかし、同一の建物に2つ以上の法人が存在し、それらが

同族会社などの特殊関係者であれば、それらの法人の

面積および従業員数を合算させた数値で免税判定を行います。

これが「みなし共同事業」です。

【特殊関係者】とは?

「特殊関係者」の範囲は様々ですが例えば下記のようなものが該当します。

  • 判定対象者の配偶者、直系血族、兄弟姉妹
  • 判定対象者の同族会社

【同族会社】とは?

会社の株主等の3人以下並びにこれらと政令で定める特殊の関係のある個人及び法人がその会社の発行済株式又は出資の総数又は総額の 100 分の 50 を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合におけるその会社

例題

例題
  • 当社(A社)の事業所床面積600㎡である。
  • 当社と同じビル内に当社の子会社であるB社が存在し、A社からするとB社は特殊関係者に該当する。
  • B社の事業所床面積500㎡である。
  • ※当社は事業所税の対象地域に事業所がある。

上記の場合は、当社(A社)は事業所税は課税対象になるか、ならないか?

また課税対象となった場合は事業所税の金額を示しなさい

(解答) 

課税対象となる。

A社の事業所税:360,000円

(解説)

A社単体で見れば600㎡のため申告不要になりますが、

同じビル内に特殊関係者に該当するB社(500㎡)が存在します。

この場合、みなし共同事業に該当し、A社とB社の合計面積で免税判定を行います。

A社600㎡+B社500㎡=1,100㎡

1,000㎡超えのため、課税対象となります。

ただし、免税判定は1,100㎡ですが、

A社の事業所税の金額は600㎡(A社の面積)より算出します。

600㎡×600円=360,000円

なぜみなし共同事業の判定が必要なのか?

これは分社化による免税を防ぐためと思われます。

例えば

A社の事業所床面積が1,500㎡だったとした場合

当然、課税対象となります。

しかし、分社化してB社という子会社を作ってしまい

それぞれの事業所面積を

A社750㎡・B社750㎡とすれば

どちらも免税となり、事業所税の納付を逃れることができます。

これを防ぐため「みなし共同事業」というものがあります。

これにより免税判定はA社・B社の合計面積(1,500㎡)となり、分社化による免税を防ぐことができます。

みなし共同事業の詳細について

上記で「みなし共同事業」について説明しましたが、

みなし共同事業は少し複雑な部分もあり、

特殊関係者の範囲も上記に書かれた内容以外にもありますので

詳しくは東京都主税局の「事業所税の手引き」をご覧ください。

他の自治体でも「事業所税の手引き」はありますので、詳細については対象の地域の手引きをご参照ください。

非課税部分について

【資産割】について

事業所床面積のうち、

食堂、売店などの福利厚生施設については非課税となります。

【従業者割】について

従業員給与のうち、

65歳以上の者や、障害者の給与は従業者給与総額から控除することができます。

つまり上記に該当する分だけ納める税金を少なくすることが可能ということです。

これらの非課税部分や控除に関しての

詳細は「事業所税の手引き」をご覧ください。

共用床面積について

事業所税の「資産割」は事業所床面積を元に算出しますが

事業所の床面積は主に下記ようなものがあります。

【事業所の床面積】

  1. 専用面積
  2. 共用面積

専用面積とは?

専用面積とは、ビルや建物内などで

その事業者が事業のために専用で使用している部分のことをいいます。

賃貸借契約においては、一般的には契約床面積に相当します

共用面積とは?

共用面積とは、共用のロビー、廊下、通路、エレベーター、階段、機械室などのことをいいます。

事業所床面積と聞くと

専用面接のみと思いがちですが、

共用面積も対象となるので注意しましょう。

共用面積の計算

共用床面積は、入居者の専用床面積の割合に応じて按分し算出します。

例題
  • 当社A社のビル内に事務所があり、その事務所の専用面積は700㎡である。
  • 当社のビルの共用面積は、5,000㎡である。
    ※共用面積は共用のロビー・廊下・階段など。
  • 当社や他のテナントを含めた専用面積7,000㎡である。

上記の場合、下記についてそれぞれ示しなさい。

  • (1)A社の共用面積
  • (2)A社の事業所床面積
  • (3)A社の事業所税の資産割の金額

(解答)

  • (1)共用面積:500㎡
  • (2)事業所床面積:1,200㎡
  • (3)資産割:720,000円

(解説)

(1)共用面積:

共用面積は全体の専用面積から按分して算出します。

共用面積5,000×当社の専用面積700/全体の専用面積7,000

=500㎡

(2)事業所床面積:

専用面積700+共用面積500=1,200㎡

(3)資産割:

1,000㎡超えのため課税対象となる。

1,200㎡×600円=720,000

専用面積だけだと課税対象とならないが、共用面積含めると課税対象となる場合もあるので注意しましょう。

自社の専用面積は賃貸借契約書を見ればわかりますが

ビル全体の専用面積や共用面積に関しては

契約書見てもわからない場合があります。

その場合はビルのオーナーさんへ問い合わせてみましょう。

事業所税と事業税の違い

事業所税と事業税は名前は似ていますが、全く異なる税金になります。

【業所税と事業税の違い】

事業所税は上記で述べた通りですが

事業税は「法人事業税」とも呼ばれ、法人税等に含まれるもので

課税所得(税法上の利益)から一定の税率を掛けて算出します。

事業所税は税効果会計の適用あり

事業所税は、原則的に申告書を提出した事業年度に損金算入が認められます。

事業所税は法人であれば

事業年度終了の日から2か月以内に申告して納付します。

しかし、会計上はその事業年度で事業所税を計上します。

例えば3月決算であれば

3月決算の場合

  • 3/31事業所税の計上
  • 5/31までに申告および納付

会計上は3月に計上しますが、税法上は申告書を提出した

5月に損金(税法上の費用)として認められます。

3月決算の場合

  • 会計上→3月に費用計上
  • 税法上→5月に損金計上

※税法上は3月の損金計上は認められない。

そのため、損金不算入の一時差異が発生するため

3月決算の法人税申告書上では

別表四で税務加算(留保)する必要があります。

また一時差異のため、税効果会計の適用なります。

税効果会計に関しては上記の記事をご参照ください。

まとめ

今回は「事業所税」の計算方法について解説しました。

【免税判定】

  • 合計事業所床面積が1,000㎡以下の場合は免税(資産割)
  • 合計従業者数が100人以下の場合は免税(従業)

【資産割】

合計事業所床面積(㎡)×600円

従業

従業者給与総額×0.25/100

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