今回は[持分法の仕訳の種類]をまとめて紹介します。
本記事では持分法の修正仕訳をまとめて紹介します。
↓また連結修正仕訳の種類については下記をご参照ください。
持分法の会計処理
「持分法」では、個別財務諸表の合算はせず
被投資会社A社の利益のうち、投資会社P社の持分のみ加算します。
※連結と違い相殺消去を行いません。
この加算した利益は
「持分法による投資損益(営業外損益)」で計上し
その相手科目は投資勘定である「A社株式」で計上します。
A社株式 | / | 持分法による投資損益 |
当期純利益の場合
持分法による投資損益 | /A社株式 |
当期純損失の場合
持分法はこのように1行の仕訳で処理を行うため「一行連結」とも呼ばれています
持分法の開始仕訳
連結と同様に持分法でも開始仕訳が必要となります。
支配従属関係はないため[株式取得時]と記載してます。
連結の場合、支配獲得後1年目では[投資と資本の相殺消去]の開始仕訳が行われますが、持分法の場合は異なるので注意しましょう。
◆開始仕訳で使用する勘定科目
- 【純資産の項目】
→後ろに「~当期首残高」と付ける - 【損益項目(P/L)】
→「利益剰余金当期首残高」の勘定科目へ変更する
持分法の修正仕訳の種類
持分法の修正仕訳の種類は下記のようになります。
※投資会社はP社、被投資会社はA社とする
投資差額の算定
株式取得時、投資差額を算定する必要があります。
(借方差額の場合)
仕訳なし |
借方差額の場合は、この時点では仕訳せず
償却時に仕訳を行います。
(貸方差額の場合)
A社株式 | / | 持分法による投資損益 (利益剰余金当期首残高) |
貸方差額の場合は、[持分法による投資損益]で一括収益計上します。
一括で収益計上しているため、借方差額と違い償却も行いません。
投資差額の償却
持分法による投資損益 (利益剰余金当期首残高) | / | A社株式 |
投資差額が[借方差額]で発生した場合、
20年以内で償却する必要があります。
貸方差額の場合は償却不要です。
当期純利益の計上
(当期純利益の場合)
A社株式 | / | 持分法による投資損益 (利益剰余金当期首残高) |
(当期純損失の場合)
持分法による投資損益 (利益剰余金当期首残高) | / | A社株式 |
被投資会社A社の当期純利益のうち、
投資会社P社の持分(%)のみ[持分法による投資損益]として計上します。
受取配当金の計上
受取配当金 (利益剰余金当期首残高) | / | A社株式 |
被投資会社A社の配当金の支払額のうち、
P社持分の[受取配当金](P社が受け取った配当金)の金額を減少させます。
[持分法による投資損益]ではなく、[受取配当金]となるので注意しましょう
株式の売却損益の修正
A社株式 | / | 関連会社売却損益 (利益剰余金当期首残高) |
被投資会社A社の株式を売却した場合
【個別上の売却損益→連結上の売却損益】へ修正する必要があります。
持分法の修正仕訳によりA社株式の帳簿価額は変動するため、個別上と連結上の売却損益も変動します。そのため売却損益の修正仕訳が必要となります。
期末の未実現損益の消去
(ダウンストリームの場合)
売上高 | / | A社株式 |
繰延税金資産 | / | 法人税等調整額 |
(アップストリームの場合)
持分法による投資損益 | / | A社株式 |
繰延税金資産 | / | 持分法による投資損益 |
また持分法の場合は下記のように消去額も異なります。
持分法ではダウンストリームとアップストリームで
勘定科目が異なるので注意しましょう。
期首の未実現損益の仕訳
(ダウンストリームの場合)
利益剰余金当期首残高 | / | 売上高 |
法人税等調整額 | / | 利益剰余金当期首残高 |
(アップストリームの場合)
利益剰余金当期首残高 | / | 持分法による投資損益 |
持分法による投資損益 | / | 利益剰余金当期首残高 |
前期末に未実現利益の消去を行った場合、
連結と同様に当期において[開始仕訳]と[実現仕訳]を行います。
まとめ
今回は連結修正仕訳の種類について一覧で紹介しました。
一連の流れで覚えると、少しは覚えやすくなるでしょう。
↓連結修正仕訳の種類については下記をご参照ください。
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