有価証券の分類の1つに「満期保有目的債券」があります。
満期保有目的債券の取得原価と額面金額に差額がある場合
決算時に「償却原価法」による期末評価をする必要がありますが
これを「金利調整差額と認められる場合」になります。
- 差額が金利調整差額と認められない場合
→取得原価 - 差額が金利調整差額と認められる場合
→償却原価
上記のように「差額が金利調整差額と認められない場合」は償却原価法を使わず取得原価になります。
では「差額が金利調整差額と認められない場合」とはどういう時なのでしょうか?
満期保有目的債券とは?
「満期保有目的債券」とは
満期日までに保有することで利息を受け取る目的とした公社債になります。
売買目的有価証券と違い「満期保有目的債券」は売買目的ではないため時価への評価替えは不要です。
決算時には取得価額をもって貸借対照表に表示させます。
しかし、額面金額≠取得金額で金利調整差額が認められる場合は
「償却原価法」による評価替えが必要になります。
「満期保有目的債券」の期末評価
①額面金額=取得金額の場合
→取得原価
②額面金額≠取得金額の場合
(差額が金利調整差額と認められない場合)
→取得原価
③額面金額≠取得金額の場合
(差額が金利調整差額と認められる場合)
→償却原価
額面金額≠取得金額が必ずしも償却原価法の適用とは限らないということです。
差額が金利調整差額と認められない場合とは?
「差額が金利調整差額と認められない場合」
それは、その社債を発行した会社が倒産する可能性が高い場合です。
会社が倒産すれば、満期になっても償還されません。
そのため償却原価法による調整は不要となるのです。
例えば
額面金額10,000のY社社債を取得価額9,600円で購入したときします。
しかし、期末決算時にY社が倒産する可能性が高くなった場合、満期が訪れても
額面金額10,000で回収される見込みは低いです。
そうなると、償却原価法で調整する必要はなくなるわけです。
→これが「差額が金利調整差額と認められない場合」になります。
ちなみにこのような債券を「ジャンク債」といいます。
ジャンク債とは?
「ジャンク債」とは利回りが高い分、リスクが高い債権のことをいいます。
利回り(イールド)が高いことから「ハイ・イールド債」とも呼ばれています。
イールド(yield)は「利回り」
ジャンク(junk)は「廃品」という意味です。
これを購入するメリットは、利回りが高いということです。
そして、デメリットは言うまでもなく
回収されないリスクが高いというこです。
利回りが高いとはいえ、進んでジャンク債を購入することはあまりありませんが
購入した時は問題なくても
その後、社債を発行した会社の経営状態が悪化してジャンク債となる場合もあります。
まとめ
今回は「利調整差額と認められない場合」とはどういう時か?について解説しました。
簿記の試験では、問題文に「認められる」「認められない」は記載があります。
記載がなければ「認められる」→償却原価法で処理で解くかたちで問題ありません。
「ジャンク債」の意味や
「利調整差額と認められない場合はどういう時か?」
という問題が簿記の試験に出てくることはないでしょう。
予備知識として認識して頂ければと思います。
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