今回は有価証券の「端数利息」の仕訳処理について解説していきます。
有価証券を利払日以外の日に売却する時に端数利息が発生します。
この端数利息は買主から売主へ支払う必要があります。
なぜ端数利息は売主へ支払う必要があるのか?また計算方法について解説します。
端数利息が発生する有価証券はどれ?
有価証券は「株式」と「公社債」の2つに分類されます。
ここで問題になりますが
「端数利息」が発生するのはどちらでしょうか?
正解は公社債です。
「株式」では端数利息は発生しません。
なぜなら「株式」で得られる保有利益は
「利息」ではなく「配当金」だからです。
「公社債」とは?
「公社債」と聞いてイメージしづらい人もいると思うので説明します。
「公社債」は実質的に借金に近いです。
で計上します。
債券を発行することで購入者から資金を調達することができます。
つまり下記のようなイメージになります。
- 社債≒借入金
- 有価証券≒貸付金
※もちろん=ではありません。性質として似ているという意味合いです。
借入金や貸付金では「利息」が発生します。
そのため、公社債でも利息が発生するということになります。
「社債」は株式会社が発行する債権で「公社債」の中に含まれています。
「端数利息」とは?
「利息」が支払われる日を「利払日」といいます、
例えば利払日が6月30日であれば、6月30日に利息が支払われます。
ここで本題になりますが
「端数利息」とは
利払日以外の日付で売却した時に、発生する利息のことです。
端数利息はなぜ受け取ることができるの?
X1年9/10にBさんへ有価証券が渡ったため、
次の翌年の利払日X2年6/30に1年分の利息をBさんは受け取ることになります。
しかし1年のうち7/1から9/10まではAさんが所有してました。
この分はAさんが受け取るべき利息です。
そのためBさんは「端数利息」分をAさんへ支払う必要があります。
「利払日」以外の日に利息は支払われることがないため、端数利息は売却時に受け取る必要があります。
次は例題を元に仕訳処理について解説します。
端数利息の仕訳
端数利息は「有価証券利息(収益)」で計上し、下記のように日割りで求めます。
【端数利息の求め方】
・額面金額×年利率×対象期間(日)/365日
・対象期間(日)=前回の利払日の翌日から売却日までの日数
利払日は日数に含めないので注意しましょう。
(例題)
(A社の仕訳)※売却側
未収入金 | 29,400 | / | 売買目的有価証券 | 28,000 |
有価証券売却益 | 1,152 | |||
有価証券利息 | 248 |
◆売却額:
30,000×98/100=29,400円
◆対象期間(日):
31+31+10=72日
◆7/1から9/10の期間の端数利息:
利息=額面30,000×年利4.2%×71/365日=248.547・・
→248円(小数点以下切り捨て)
◆売却益:
売却益=売却額29,400-帳簿価額28,000-利息248=1,152円
(B社の仕訳)※購入側
売買目的有価証券 | 29,400 | / | 未払金 | 29,648 |
有価証券利息 | 248 |
B社はX社社債の代金29,400円と端数利息248円を支払います。
まとめ
今回は有価証券の「端数利息」について解説しました。
端数利息の期間を求める場合は、利払日は含めず
利払日の翌日からカウントするので注意しましょう。
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