日商簿記1級日商簿記2級経理の知識

売買目的有価証券の分記法・総記法の仕訳の違い

日商簿記1級
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売買目的有価証券」は有価証券を安いときに購入し

高くなったら売ることで利益を得る目的とした有価証券です。

売買目的有価証券の売却による処理方法は下記の2つあります。

  • 分記法(日商簿記2級の試験範囲)
  • 総記法(日商簿記1級の試験範囲)

分記法と総記法は商品売買でも扱われる処理方法です。

今回は「売買目的有価証券」での「分記法」「総記法」の仕訳処理の違いについて解説します。

また後半では参考までに商品販売による「分記法」「総記法」についても紹介します。

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売買目的有価証券の売却とは?

売買目的有価証券」は売買目的のため購入することもあれば売却することもあります。

使用する勘定科目は下記4つです。

勘定科目
  • 売買目的有価証券(資産)
  • 未収入金または現預金(資産)
  • 有価証券売却(収益)
  • 有価証券売却(費用)

売却するとき「分記法」「総記法」で仕訳の処理方法が異なります。

売買目的有価証券による分記法・総記法

それでは、次に「分記法」「総記法」の場合の仕訳処理について解説します。

以下の3つの仕訳処理を解説します。

  • ①購入時
  • ②売却時
  • ③決算時

②売却時③決算時で仕訳処理が異なるので、そこに注目しましょう。

①購入時の仕訳

例題

X1年5月にA社株式(売買目的有価証券)100円を現金にて購入した。

分記法総記法の場合)

売買目的有価証券100/現金100

※購入時の仕訳は同じです。

②売却時の仕訳

例題

X1年8月にA社株式(売買目的有価証券)を150円で売却し現金を受け取った。

分記法の場合)

現金150/売買目的有価証券100
有価証券売却(収益)50

分記法では、帳簿価額100円の売買目的有価証券を減少させ、売却時に売却損益を計上します。

分記法の場合、売買目的有価証券の売却時のB/S残高は0になります。

総記法の場合)

現金150/売買目的有価証券150

総記法では、売却額150円で売買目的有価証券を減少させます。

総記の場合、売買目的有価証券の売却時のB/S残高は△50になります。

③決算時の仕訳

例題

X2年3月決算時の仕訳を示しなさい。

分記法の場合)

仕訳なし

分記法は売却時に売却損益を計上したので決算時の仕訳はありません。

総記法の場合)

売買目的有価証券50/有価証券売却益(収益)50

総記法は売却時に売却額で売買目的有価証券を減少させました。

そのため決算時に差額分を売却損益へ振り替えます。

※計算式:売却額150-帳簿価額100=売却益50円

この仕訳により、売買目的有価証券のB/S残高は0になります

分記法」売却時に売却損益を振り替える

総記法」→決算時に売却損益を振り替える

商品販売による分記法・総記法

分記法と総記法は商品販売で聞いたことがある方もいるかもしれません。

参考までに商品売買による分記法・総記法の仕訳処理の違いも解説します。

①購入時の仕訳

例題

X1年5月に商品100円を現金にて購入した。

分記法総記法の場合)

商品100/現金100

※購入時の仕訳は同じです。

また三分法の場合は「仕入」を用います。

②売却時の仕訳

例題

X1年8月に商品を150円で販売し現金を受け取った。

分記法の場合)

現金150/商品100
商品売買(収益)50

総記法の場合)

現金150/商品150

③決算時の仕訳

例題

X2年3月決算時の仕訳を示しなさい。

分記法の場合)

仕訳なし

分記法は販売時の売却損益を計上したので決算時の仕訳はありません。

総記法の場合)

商品50/商品売買益(収益)50

総記法は販売時に売却額で商品(資産)を減少させました。

そのため決算時に差額分を売買損益へ振り替えます。

※計算式:売価150-原価100=売買益50円

「売買目的有価証券」と「商品売買」では

下記のように勘定科目が変わっただけで処理方法は同じです。

(売買目的有価証券)(商品売買)
売買目的有価証券(資産)商品(資産)
有価証券売却益(収益)商品売買益(収益)

↓商品売買の分記法・総記法の詳しい解説はこちらをご参考ください

商品売買では分記法・総記法の他に三分法売上原価対立法があります。

まとめ

売買目的有価証券の分記法総記法の仕訳の違いについて解説しました。

違いについて簡単にまとめると下記のようになります。

【分記法】

売却時に売却損益を振り替える

【総記法】

決算時に売却損益を振り替える

また、売買目的有価証券では日商簿記2級では分記法のみ用いています。

総記法は日商簿記1級からの試験範囲となります。

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