商品を仕入れる場合、商品が納品されてから後日支払う取引が主となります。
しかし注文時に手付金として一部支払うこともあります。
この場合、現金(の減少)の相手科目は「仕入」ではなく「前払金」になります。
今回は「前払金」「前受金」の仕訳について説明します。
「前払金」「前受金」とは?
「前払金(資産)」は商品が納品される前に代金を支払った時に用います。
「前受金(負債)」は商品を納品する前に代金を受け取った時に用います。
- 前払金(資産)
→商品が納品される前に代金を支払った時に用いる - 前受金(負債)
→商品を納品する前に代金を受け取った時に用いる。
商品を納品する前にお金を支払ったり、受け取ったりする場合「前払金」「前受金」を用います。
商品を注文しても納品されていなければ、仕入(費用)は発生しておりません。
また、商品を販売しても取引先に納品し検収しなければ売上(収益)は実現しておりません。
このようにまだ納品されていないのに代金を支払った場合を「前払金(資産)」
注文を受けて取引先に納品する前に代金を受け取ったら「前受金(負債)」で計上します。
「前払金」「前受金」の仕訳
例題1
(A社の仕訳)
前払金 (資産) | 30 | / | 現金 | 30 |
注文しただけで商品は納品されていません。
この場合、「仕入」ではなく「前払金(資産)」になります。
(B社の仕訳)
現金 | 30 | / | 前受金 (負債) | 30 |
商品の納品をする前にお金を受け取ったため
この場合、「仕入」ではなく「前受金(負債)」になります。
30円支払いましたが、まだ役務提供(商品の納品)は受けてません。
そのため、BS科目の「前払金(資産)」「前受金(負債)」で計上します。
例題2
(A社の仕訳)
仕入 | 100 | / | 前払金 (資産の減少) | 30 |
/ | 買掛金 | 70 |
商品が納品されたので、費用である「仕入」で計上します。
例題1で支払った前払金(資産)を減少させ、
残額100-30=70円は買掛金となります。
30円はすでに支払っているため残額の70円が買掛金になりますね。
(B社の仕訳)
前受金 (負債の減少) | 30 | / | 売上 | 100 |
売掛金 | 70 | / |
商品が納品したので、収益である「売上」で計上します。
例題1で受け取った前受金(負債)を減少させ、
残額100-30=70円は売掛金となります。
例題3
(A社の仕訳)
買掛金 | 70 | / | 現金 | 70 |
残額70円の代金を支払ったため買掛金を減少させます。
(B社の仕訳)
現金 | 70 | / | 売掛金 | 70 |
残額70円の代金を受け取ったため売掛金を減少させます。
まとめ
今回は「前払金」「前受金」について解説しました。
- 前払金(資産)
→商品が納品される前に代金を支払った時に用いる - 前受金(負債)
→商品を納品する前に代金を受け取った時に用いる。
「商品を注文した時」=「仕入」ではありません。
商品が納品されてから「仕入」となります。費用が発生するタイミングに注意しておきましょう。
また、「前払金」「前受金」は「仮払金」「仮受金」と混在しがちです。
「仮払金」「仮受金」についての解説は下記になりますので、よかったらご参照ください。
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