日商簿記2級

外貨建取引の仕訳方法|前払金・前受金【簿記2級】

日商簿記2級
この記事は約4分で読めます。
Pocket

今回は「外貨建取引」の前払金・前受金よる仕訳方法について解説します。

スポンサーリンク

外貨建取引の為替換算

外貨建取引」とは海外の取引先など外貨(外国の貨幣)で行う取引のことです。

海外取引のため外貨で購入・販売しますが

帳簿では円貨へ換算する必要があります。

外貨→円貨へ為替換算する際は

外国為替相場(為替レート)をもって換算します。

外貨建取引は原則、取引発生時(HR)の為替相場で換算します。

取引発生時(HR)の為替相場とは?

  • 輸出した時は、[輸出した時の為替相場]で
  • 支払った時は、[支払った時の為替相場]で

為替換算は、取引発生したその時点の為替相場で換算します。

外貨建取引の前払金・前受金の仕訳方法

前払時・前受時

例題
  • (1)1月10日、当社はアメリカのA社から100ドルの商品を輸入する契約をし、前払金40ドルを現金で支払った。
  • (2)1月20日、当社はアメリカのB社へ150ドルの商品を輸出する契約をし、前受金80ドルを現金で受け取った。
  • 為替相場は下記である。
    • 1月10日:1ドル=100円
    • 1月20日:1ドル=110円
(1)前払金4,000/現金4,000
(2)現金8,800/前受金8,800

(1)前払金40ドル×@100円=4,000

(2)前受金80ドル×@110円=8,800

上記は契約しただけで商品の受け渡しは完了していないため、前払金・前受金で処理します。この時点では仕入・売上は計上しません。

輸入時・輸出時

例題

上記の例題の続きで下記の仕訳を示しなさい。

  • (1)2月10日、上記の例題の100ドルの商品を輸入された。代金は掛けとする。
  • (2)2月20日、上記の例題の150ドルの商品が輸出された。代金は掛けとする。
  • 為替相場は下記である。
    • 2月10日:1ドル=105円
    • 2月20日:1ドル=102円
(1)仕入10,300/買掛金6,300
/前払金4,000
(2)売掛金7,140/売上15,940
前受金8,800/

輸出入されたため、「仕入」および「売上」をします。

「仕入」および「売上」は直接計算せず下記のように算出します。

  • 仕入=「前払金」+「買掛金」
  • 売上=「前受金」+「売掛金」

(注)仕入100ドル×@105円=10,500と計算しないようにしましょう。

前払金・前受金を減少させ、差額の外貨金額に取引時(HR)の為替相場で換算し

売掛金および買掛金を計上します。

(1)買掛金の算出

(100-40)ドル×@105円=6,300

(2)売掛金の算出

(150-80)ドル×@102円=7,140

その後、円換算した買掛金に前払金を加算して仕入をもとめます。

  • 前払金4,000+買掛金6,300=10,300(仕入)

売上も同じように円換算した売掛金に前受金を加算して求めます。

  • 前受金8,800+売掛金7,140+=15,940(売上)

【前払金がある場合の仕訳の手順】

  • 前払金を貸方で計上し減少させる
  • [輸入価額]と[前払金]の差額(ドル)に輸入の取引時(HR)の為替相場で換算し[買掛金]を算出する
  • ※計算式([輸入価額]-[前払金])ドル×@輸入時HR
  • [前払金]と[買掛金]の合計が[仕入]となる。

この時点では為替差損益は発生しません。

決済時

例題
  • (1)3月10日、上記の例題の買掛金の代金を現金で支払った。
  • (2)3月20日、上記の例題の売掛金の代金を現金で受け取った。
  • 為替相場は下記である。
    • 3月10日:1ドル=101円
    • 3月20日:1ドル=103円。
(1)買掛金6,300/現金6,060
/為替差損益240
(2)現金7,210/売掛金7,140
/為替差損益70

(1)前払いで支払っているため、買掛金の残金は100-40=60ドルになります。

  • 支払金額:60ドル×@101円=6,060(現金)
  • 輸入時の買掛金:6,300

→差額:6,060-6,300=240(為替差損益)

(2)前受けで代金を受け取っているため、売掛金の残金は150-80=70ドルになります。

  • 受取金額:70ドル×@103=7,210
  • 輸出時の売掛金:7,140

→差額:7,210-7,140=70(為替差損益)

為替差損益は営業外費用(または収益)になります。

買掛金・売掛金による為替差損益は発生しますが

前払金・前受金による為替差損益は発生しません。

まとめ

今回は「外貨建取引」の前払金・前受金による仕訳方法について解説しました。

要点をまとめると下記のようになります。

【仕訳の流れ】

  • 前払金・前受金の仕訳
  • 輸入・輸出の仕訳
  • 決済時の仕訳←為替差損益が発生

【注意事項】

  • 前払金があるときは仕入「前払金」+「買掛金]で求める。
  • 前受金があるときは売上「前受金」+「売掛金」で求める。
  • ※直接換算して計算するのは間違いのため注意
  • 前払金・前受金による為替差損益は発生しない

上記のように為替差損益は決済時のみです。

輸入・輸出の時は為替差損益は発生しませんので注意しましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました