「外貨建取引」は2017年度より日商簿記2級の試験範囲となりました。
今回は「外貨建取引」の基本知識および掛け取引による仕訳方法について解説します。
外貨建取引とは?
「外貨建取引」とは海外の取引先など外貨(外国の貨幣)で行う取引のことです。
海外取引のため外貨で購入・販売しますが
帳簿では円貨へ換算する必要があります。
このように外貨→円貨へ変更することを為替換算といいます。
「換算」とはある単位で表した数量を、別の単位の数量に数えなおすことです。
外貨建取引の換算による会計処理を「外貨換算会計」といいます。
外国為替相場とは?
外貨→円貨へ為替換算する際は、外国為替相場(為替レート)をもって換算します。
- 1ドル=110円
- 1ドル=100円
など為替レートは日々変動します。
外貨建取引は原則、取引発生時(HR)の為替相場で換算します。
掛けによる外貨建取引の仕訳
外貨建取引の掛けによる仕訳について解説します。
輸入時・輸出時
仕入 | 10,000 | / | 買掛金 | 10,000 |
100ドル×@100=10,000
売掛金 | 13,500 | / | 売上 | 13,500 |
150ドル×@90=13,500
輸入は仕入、輸出は販売になります。
決済時
買掛金・売掛金などの決済時は
決済した日の為替相場で換算します。
[輸出時・輸入時]と[決済時]の為替相場が異なる場合、
その差額は
為替差損(営業外費用)・為替差益(営業外収益)で処理します。
また、仕訳の時は為替差損益の勘定科目で計上します。
買掛金 | 10,000 | / | 現金 | 11,000 |
為替差損益 | 1,000 | / |
決済時の金額:100ドル×@110円=11,000円
為替差損益(@100-@110円)×100ドル=1,000
掛け取引の場合、為替相場の変動により為替差損益が発生します。
現金 | 14,250 | / | 売掛金 | 13,500 |
/ | 為替差損益 | 750 |
決済時の金額:150ドル×@95=14,250
為替差損益(@90-@95円)×150ドル=750
外貨建取引は取引発生時(HR)の為替相場で換算
外貨建取引は原則、取引発生時(HR)の為替相場で換算します。
取引発生時(HR)とはその時点の為替相場になります。
上記のように掛け取引の場合
[輸入時]と[決済時]のそれぞれの為替相場が異なります。
この差額により為替差損益が発生します。
輸入時 | 仕入 | 10,000 | / | 買掛金 | 10,000 |
決済時 | 買掛金 | 10,000 | / | 現金 | 11,000 |
為替差損益 | 1,000 | / |
上記の仕訳のように決済完了すれば輸入時に計上された買掛金も相殺され残高0となります。
その時点の為替相場のことを「直物為替相場」といいます。
まとめ
外貨建取引の会計処理である外貨換算会計について解説しました。
要点をまとめると下記のようになります。
【外貨建取引】
- 海外取引は外貨で取引されるが、帳簿では円貨へ換算する必要がある。
- 外貨建取引は原則、取引発生時(HR)の為替相場で換算する。
- 取引発生時(HR)とはその時点の為替相場になる
- そのため、[輸入時]と[決済時]で為替相場が異なることがある。
- この差額は「為替差損益」で調整する。
コメント