日商簿記1級

【図解】外貨建有価証券の換算|その他有価証券の仕訳方法

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外国の有価証券を「外貨建有価証券」といいます。

今回は「その他有価証券」の換算の仕訳方法について解説します。

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「その他有価証券」とは?

その他有価証券」は下記3つの有価証券に該当しない有価証券です。

長期的な時価の変動により利益を得る目的とした有価証券や

業務提携を目的とした持合株式などが当てはまります。

【売買目的有価証券】

時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券

【満期保有目的債券】

満期日までに保有することで利息を受け取る目的とした公社債になります

【子会社株式・関連会社株式】

当社の子会社あるいは関連会社を支配することを目的とした株式

議決権50%超えは子会社株式、20%超えは関連会社株式となります。

【その他有価証券】

上記3に該当しない有価証券

その他有価証券の評価替え

その他有価証券」は期末決算では、時価で評価します。

評価差額の計上方法は下記の2種類があります

◆その他有価証券の評価替え

<全部純資産直入法>

  • 評価差損益
    →「その他有価証券評価差額金(純資産)」

<部分純資産直入法>

  • 評価差の場合
    →「その他有価証券評価差額金(純資産)」
  • 評価差の場合
    →「投資有価証券評価損(費用)」

また、決算時の為替レート(CR)にて換算します。

時価評価および換算による差額は上記の勘定科目を用いて計上します。

その他有価証券の換算の仕訳方法

その他有価証については決算時の処理は下記のようになります。

  • 時価への評価替え
    あり
  • 決算時の為替レート(CR)へ換算
    あり

【購入時】

①外貨建取得原価×HR

【決算時】

②外貨建時価×CR

→②-①の差額はその他有価証券評価差額金(純資産)」または「投資有価証券評価損(費用)」で計上する。

補足

外貨換算会計では、取引発生時・決算時・期中平均といった為替相場を用います。

この3つは下記のように省略することがあります。

  • 取引発生時HR(ヒトリカル・レート)
  • 決算時CR(カレント・レート)
  • 期中平均AR(アベレージ・レート)

例題

例題1(購入時)
  • X1年2月1日、当社はアメリカにあるA社株式を100ドルで現金で購入した。A社株式はその他有価証券に該当する。
  • 購入時の為替レートは1ドル100円である
その他有価証券10,000/現金10,000

①取得原価100ドル×@100円(HR)=10,000円

例題2(決算時)
  • X1年3月31日決算時、A社株式の時価は99ドルであった。
  • 決算時の為替レートは1ドル98円である。
  • (1)全部純資産直入法と(2)部分純資産直入法の仕訳を示しなさい

(1)全部純資産直入法

その他有価証券評価差額金298/その他有価証券298

(2)部分純資産直入法

投資有価証券評価損298/その他有価証券298

決算時の売買目的有価証券のB/S上の表示価額:

  • 時価99ドル×@98円(CR)=9,702円

・評価差額の算出

  • ①取得原価10,000-②時価(CR)9,702=298円

借方差額のため部分純資産直入法では[投資有価証券評価損(費用)]で計上します。

図解

その他有価証券の容認処理

[全部純資産直入法]の場合

原則はその他有価証券評価差額金(純資産)」で処理しますが

容認処理して下記のような処理があります。

【容認処理】

  • 時価の変動による差額
    その他有価証券評価差額金(純資産)」
  • 上記以外の差額
    為替差損益

まとめ

今回は「その他有価証券」の換算の仕訳方法について解説しました。

◆その他有価証券の換算処理

【購入時】

①外貨建取得原価×HR

【決算時】

②外貨建時価×CR

→②-①の差額はその他有価証券評価差額金(純資産)」または「投資有価証券評価損(費用)」で計上する。

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