日商簿記1級

外貨建有価証券の減損の仕訳処理

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今回は外貨建有価証券の減損について解説します。

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有価証券の減損処理

子会社株式・関連会社株式は決算時に時価への評価替えはしません。

理由は支配を目的として保有しているため、めったに売却することがないためです。

売買目的有価証券のように売ることを目的とした有価証券は時価で売却する可能性があるため、時価へ評価替えします。

しかし、著しく時価が下落した場合は、減損処理が必要になります。

【著しい低下とは?】

著しい低下とは下記の要件2つとも満たした場合になります。

この2つの要件を満たせば減損処理を行います。

  • 外貨建取得原価×50%>時価
  • 回復の見込みがない場合

あまりにも[時価]と[取得原価]の数値がかけ離れていたら、B/S上の資産が正しい数値とは言えません。そのため著しく低下した場合は減損処理を行います。

外貨建有価証券の減損処理の仕訳方法

外貨建有価証券の減損は下記のように換算します。

外貨建有価証券の減損処理

【購入時】

①外貨建取得原価×HR

【決算時】

時価が著しく低下した場合

[外貨建取得原価×50%>時価]かつ[回復の見込みがない場合]

下記の②で減損処理する

②外貨建時価×CR

→②-①は「子会社株式評価損」「関連会社株式評価損」などの勘定科目で処理します。

補足

外貨換算会計では、取引発生時・決算時・期中平均といった為替相場を用います。

この3つは下記のように省略することがあります。

  • 取引発生時HR(ヒトリカル・レート)
  • 決算時CR(カレント・レート)
  • 期中平均AR(アベレージ・レート)

↓円貨による有価証券の減損の詳細は下記をご参照ください。

例題

例題1(購入時)
  • X1年2月1日、当社はアメリカにあるA社の発行済株式総数の30%を100ドルで取得し関連会社とした。取得時に現金で支払った。
  • 購入時の為替レートは1ドル100円である
関連会社株式10,000/現金10,000

①外貨取得原価100ドル×@100円(HR)=10,000円

例題2(決算時)
  • X1年3月31日決算時、A社株式の時価は45ドルであった。
  • A社株式の時価は回復の見込みはない。
  • 決算時の為替レートは1ドル97円である。
関連会社株式評価損5,635/関連会社株式5,635

[減損の判定]

取得原価100ドル×50%>時価45ドルのため
減損処理を行う

  • 外貨時価45ドル×@97(CR)=4,365円
  • 10,000円-4,365円=5,635円

子会社・関連会社株式は基本は時価への評価替えしませんが、時価が著しく低下したため減損処理を行います。

まとめ

今回は外貨建有価証券の減損について解説しました。

要点まとめると下記のようになります。

  • 子会社株式・関連会社株式は決算時に時価への評価替えはしない。
  • しかし著しく時価が下落した場合は、減損処理が必要
  • 著しい低下とは下記2つの要件と満たした場合
    • ①外貨建取得原価×50%>時価
    • ②回復の見込みがない場合
  • 減損を行う場合は下記のように評価替え・換算を行う。
  • [外貨建時価×CR]

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