有形固定資産の中に
建物・建物付属設備・構築物とありますが
この3つの違いについて曖昧になっている人も多いと思います。
今回は建物・建物付属設備・構築物の違いについて解説します。
建物・建物付属設備・構築物の違い
建物・建物付属設備・構築物の違いは下記のようになります。
【建物】
土地の上に建てられた工作物のこと
【建物付属設備】
建物に付属して機能している工作物のこと
【構築物】
土地の上に建てられた建物以外の工作物
つまり、建物に付属しないで機能する設備のこと
それぞれの具体例について下記で解説します。
建物
建物は、土地の上に建てられた工作物のことです。
具体例として下記のようなものが該当します。
- 建物
- 建物の外壁塗装
- 屋根
- 壁
- 柱
建物と完全に一体化している屋根や壁・柱は「建物」に含まれます。
建物付属設備
建物付属設備は、建物に付属して機能している工作物のことです。
具体例として下記のようなものが該当します。
- 照明等の電気設備
- 給排水設備
- ガス設備
- 通信設備
- ボイラー設備
- 自動ドア設備
- 冷房・暖房などの空調設備
- エレベーターなどの昇降機設備
- 消火・排煙設備、火災報知器、格納式避難設備
- 間切り工事(パーテーション)
※ただし建物に完全に固定されて移動不可能な場合は「建物」 - 建物と一体となっている看板
建物に付属している設備等は「建物付属設備」となります。
購入した減価償却資産の取得価額には、原則として、その資産の購入代価とその資産を事業の用に供するために直接要した費用が含まれます。
また、引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税などその資産の購入のために要した費用も含まれます。
国税庁ホームページ
構築物
構築物は、土地の上に建てられた建物以外の工作物、つまり建物に付属しないで機能する設備のこと
- 塀
- 防壁
- 鉄塔
- 貯水用タンク
- アンテナ
- 青空駐車場の舗装路面
- 舗装道路
- 庭園
- 緑化設備
- 建物に付属していない看板
堀などは建物以外に建てられた工作物です。これは「構築物」になります。
間違えやすい勘定科目
冷房・暖房などの空調設備(エアコン)
基本は「建物付属設備」に分類されますが
規模の小さい空調であれば「工具器具備品」になります。
間切り工事(パーテーション)
基本は「建物付属設備」に分類されますが
建物に完全に固定されており移動不可能な場合は「建物」になります。
完全に固定されて移動不可能な場合は「壁」と同じようなイメージとなります。そのため建物になります。
看板
同じ看板でも設置状況によって勘定科目が異なります。
【看板の勘定科目】
- 建物に固定された看板
→建物付属設備 - 野外の看板
→構築物 - 手軽に利用される簡易的な看板
→工具器具備品
10万未満であれば費用
上記の建物・建物付属設備・構築物のいずれかの要件に当てはまっても
取得価額が10万未満であれば「費用」となります。
また10万以上20万未満であれば、
「一括償却資産」として処理することも可能になります。
修繕費となる場合
付加価値を与えないものは、収益的支出となり、修繕費となります。
例えば、新たに電気設備を行う工事をした場合、
付加価値を与えるため資産として「建物付属設備」で処理します。
しかし、その電気設備が故障してしまい、その修理を行う工事であれば
壊れたものを元に戻すだけで
付加価値を与えないため「修繕費(費用)」となります。
付加価値を与える
→資産(資本的支出)
付加価値を与えない
→修繕費(収益的支出)
耐用年数について
同じ有形固定資産の勘定科目でも
用途・構造によって耐用年数はそれぞれ異なります。
耐用年数については国税庁のホームページをご参照ください。
まとめ
今回は建物・建物付属設備・構築物の違いについて解説しました。
要点をまとめると下記のようになります。
【建物】
土地の上に建てられた工作物のこと
例:建物・屋根・壁など
【建物付属設備】
建物に付属して機能している工作物のこと
例:電気設備・ガス設備など
【構築物】
土地の上に建てられた建物以外の工作物
つまり、建物に付属しないで機能する設備のこと
例:塀・防壁など
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