簿記3級の勉強をしていると「貸倒引当金」という分野に遭遇します。
この貸倒引当金について初めて勉強する人は理解出来ず躓いてしまう方もいると思います。
理解しにくい理由の一つとしては、似たような勘定科目があることです。
- 貸倒損失
- 貸倒引当金繰入
- 貸倒引当金
「貸倒引当金」では上記の3つの勘定科目が登場します。
どれも似たような名前ですが、それぞれ全く異なる勘定科目になります。
そこで今回は混同しやすい「貸倒損失」と「貸倒引当金繰入」と「貸倒引当金」の違いについて解説します。
「貸倒引当金」とは?
そもそも「貸倒引当金」とは何なのか?
「貸倒れ」とは
得意先の企業が倒産することで売掛金などの債権を回収することが出来なくなることをいいます。
「引当金」とは
当期以前に発生することにより将来の特定の支出や損失に備えるために計上することをいいます。
つまり上記の2つの意味を合わせると
「貸倒引当金」は当期以前に発生した売掛金などの債権が、将来回収できなくなる可能性に備えて計上することです。
すごく簡単に言うと下記のようになります。
「貸倒れ」は債権が回収出来なくなること
「引当金」は将来の損失に備えること
「貸倒引当金」は債権が将来回収できなくなる可能性に備えること
「貸倒引当金」はあくまでの将来の見積もりで、債権が回収出来なくなったと確定した訳ではありません。
「貸倒引当金繰入」とは?
「貸倒引当金繰入」は費用科目で
「貸倒引当金」を計上するときの相手勘定になります。
「貸倒引当金」を計上する場合、仕訳は下記になります。
貸倒引当金繰入(費用) | / | 貸倒引当金(資産のマイナス) |
貸倒引当金を貸方で計上することで、債権(売掛金など)のマイナスを表し
借方は貸倒引当金繰入(費用)で計上します。
貸倒引当金は見積もり計上のため、債権(売掛金)のマイナスの代わりとして「貸倒引当金」という勘定科目を用いています。
「貸倒損失」とは?
「貸倒損失」は費用になります。
貸倒引当金として計上していない債権が貸し倒れてしまった時に「貸倒損失」を計上します。
次の例題に沿って解説します。
(解答)
貸倒損失(費用) | 1,000 | / | 売掛金 | 1,000 |
ここで貸倒引当金600円を取り崩すのが正解と思う方もいるかもしれませんが
問題文に「当期に発生した売掛金」と記載してます。
「貸倒引当金の残高600円」は前期の売掛金に対しての貸倒引当金です。
そのため「当期に発生した売掛金」に対して貸倒引当金は計上していないため
全額、貸倒損失(費用)となります。
貸し倒れた売掛金は「当期」「前期」どちらで発生したかがポイントです。
簿記3級・2級の試験対策として
上記のように売掛金が貸し倒れた時に
借方が「貸倒損失」or「貸倒引当金」の選択が間違いやすいポイントです。
試験問題で判断に迷ったら下記を参考にして頂ければと思います。
当期に発生した売掛金が貸し倒れた
→貸倒損失
前期に発生した売掛金が貸し倒れた
→貸倒引当金
残高を超えた分の差額は貸倒損失
簿記の試験としては、これだけ覚えれば十分対策できます。
まとめ
今回は「貸倒損失」「貸倒引当金繰入」「貸倒引当金」の違いについて説明しました。
まとめると下記のようになります。
「貸倒損失(費用)」
→貸倒引当金の設定がされていない債権が貸し倒れた時に計上。
「貸倒引当金繰入(費用)」
→貸倒引当金を計上する際の相手勘定
「貸倒引当金(資産のマイナス)」
→将来貸し倒れする可能性高い債権を見積もって計上する。その債権が貸し倒れたら貸倒引当金から取り崩す。
3つとも混同しやすい勘定科目なので違いについて覚えておきましょう。
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