企業の決算書から読み取れる財務指標として
下記のような指標があります。
- ROE(自己資本利益率)
- ROA(総資産利益率)
今回は【ROEとROAの違い】について解説します。
ROE(自己資本利益率)とは?
ROEとは「Return on Equity」の略で、
「自己資本利益率」という意味になります。
ROE(自己資本利益率)は
自己資本に対して利益はどれくらいあるのか?
を示す指標になります。
計算式
ROE(自己資本利益率)の計算式は下記になります。
ROE(%)=当期純利益÷自己資本×100
ROEのポイント
自己資本には投資家から出資されたお金も含まれています。
投資家は
「投資したお金に対して企業はどれだけ利益を出しているのか?」
を重要視しています。
ROEが高ければ「自己資本を効率よく運用できている」とされています。
ROEの目安となる数値
ROEは一般的に8~10%を超えると良いとされています。
2021年度の上場企業のROEの平均値は9.7%でした。
自己資本と株主資本
ROEは以前は「株主資本利益率」と呼ばれてましたが
2006年の会社法施行により
「自己資本」と「株主資本」は異なる意味と定義付けられ
現在はROEは「自己資本利益率」と訳されます。
それは下記のようになります。
【株主資本】
株主資本は下記の2つのことを指します。
- 会社の株式を発行したことで出資を受けた金額(資本金など)
- この出資されたお金で事業活動したことにより得られた利益(利益剰余金など)
評価・換算差額等(その他の包括利益累計額)の具体例は下記になります。
純資産と株主資本
また株主資本と純資産も混同しがちです。
この2つはほぼイコールにはなりますが、厳密には異なります。
純資産は貸借対照表に表示される項目で
資産から負債を差し引いた金額になります。
純資産= 資産 ー 負債
株主資本は純資産から新株予約券・非支配株主持分を差し引いた金額になります。
非支配株主持分は連結財務諸表で用いられる用語になります。
↓個別財務諸表で用いられる純資産の勘定科目の一覧は下記になります。
ROA(総資産利益率)とは?
ROAとは「Return on Assets」の略で、
「総資産利益率」という意味になります。
ROA(総資産利益率)は
資産に対して利益はどれくらいあるのか?
を示す指標になります。
計算式
ROA(総資産利益率)の計算式は下記になります。
ROA(%)=当期純利益÷資産×100
ROAのポイント
ROAは
「企業が保有している資産を効率よく使って利益を生み出しているか?」
を重要視しています。
ROAが高ければ「資産を効率よく運用できている」とされています。
ROAの目安となる数値(業種別の平均値)
ROAの平均値は業種によって大きく異なり、
2021年度の業種別のROAの平均値は下記になります。
全業種 | 4.3% | 情報・通信業 | 7.9% |
水産・農林業 | 7.5% | 不動産業 | 4.9% |
卸売業 | 3.8% | 小売業 | 1.5% |
食料品 | 5% | 化学 | 6.3% |
建設業 | 5.9% | 石油・石炭製品 | 5.8% |
鉱業 | 5.1% | 鉄鋼 | 3.0% |
サービス業 | 5% | 倉庫・運輸関連 | 5.1% |
金属製品 | 4.6% | 電気・ガス業 | 3.6% |
このようにROAは業種によって大きく異なります。
ROEとROAの違いの覚え方
よくROEとROAの違いをごっちゃになってしまう事があると思います。
この違いの覚え方としては
ROEとROAの英語読みを理解すると覚えやすいでしょう。
- ROE→「Return on Equity」
- ROA→「Return on Assets」
ROEの「E」はEquityの略です。
Equityは「資本」という意味になります。
ROAの「A」はEquityの略です。
Assetsは「資産」という意味になります。
このようにROE・ROAの「E」「A」の違いが何なのかを考えると覚えやすくなるでしょう。
また「R」のReturnは「利益」という意味になります。
まとめ
今回は【ROEとROAの違い】について解説しました。
要点をまとめると下記になります。
【計算式】
- ROE(%)=当期純利益÷自己資本×100
- ROA(%)=当期純利益÷資産×100
【英語読み】
- ROE→「Return on Equity」の略
- ROA→「Return on Assets」の略
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