2023年10月よりインボイス制度が開始しました。
今回は【振込手数料のインボイスの取り扱い】について解説します。
振込手数料による適格性請求書
振込手数料の負担は「買い手」と「売り手」の2パターンがあります。
■買い手が振込手数料を負担する場合の仕訳
仕入 | 1,000 | / | 現金 | 1,220 |
支払手数料 (振込手数料) | 220 | / |
■売り手が振込手数料を負担する場合の仕訳
現金など | 780 | / | 売上 | 1,000 |
支払手数料 (振込手数料) | 220 | / |
一般的には振込手数料は「買い手」が負担するケースがほとんどになります。
「買い手」負担による振込手数料のインボイスの取り扱い
「買い手」負担による振込手数料のインボイスの取り扱いについては
下記の3つの振込方法によって異なります。
【適格請求書の必要の有無】
- ATM
→不要
※「自販機特例」に該当するため - 窓口
→必要 - インターネットバンキング
→必要
ATMで振込した場合
ATMで振込した場合
自販機特例により、適格請求書の発行不要となります。
つまり請求書がなくとも適格として仕入税額控除が受けられます。
ただし、免除の対象は税込3万円未満のみとなります。
窓口で振込した場合
窓口で振込した場合
適格請求書は必要となります。
窓口にてインボイス番号が記載された適格請求書を受け取る必要があります。
もし受け取るのを忘れた場合は、非適格として処理することになるため忘れないように注意しましょう
インターネットバンキングで振込した場合
インターネットバンキングで振込した場合
適格請求書は必要となります。
インターネットバンキングを利用した場合、
インボイス番号が記載された利用明細書を
WEBからダウンロード出来たり、郵送で届く場合があります。
法人の場合、このパターンが多いと思われます。
「売り手」負担による振込手数料のインボイスの取り扱い
「売り手」負担による振込手数料のインボイスの取り扱いについては
振込手数料を「売上値引き」または「支払手数料」で処理する場合があります。
【適格請求書の必要の有無】
- 振込手数料を「売上値引き」で処理
- 振込手数料を「支払手数料」で処理
→不要
※「少額な返還インボイスによる交付義務免除」に該当するため
少額な返還インボイスの交付義務免除
振込手数料を売り手が負担する場合、
振込手数料分を差し引いた金額で入金されるため
インボイス番号のある適格請求書を受け取ることができません。
その場合、非適格として処理することになりますが
上記の場合「少額な返還インボイスの交付義務免除」により例外として
適格請求書の発行は不要とされます。
ただし、免除の対象は1万円未満のみとなります。
一定規模以下の事業者の場合
上記では「買い手」で「窓口・インターネットバンキング」による振込方法の場合、
適格請求書の発行が必要と記載しました。
ただし、一定規模以下の事業者の場合、例外的に不要となります。
一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置
上記の場合、インボイス番号のある適格請求書の保存がなくても
帳簿保存により仕入税額控除が受けられます。
ただし上記の特例は2029年9月までとなります。
小規模事業者はインボイスの対応が間に合わない可能性があるため、上記の特例が実施されております。
まとめ
今回は【振込手数料のインボイスの取り扱い】について解説しました。
要点をまとめると下記になります。
【買い手が振込手数料を負担する場合】の適格請求書の必要の有無
- ATM
→不要
※「自販機特例」に該当するため - 窓口
→必要 - インターネットバンキング
→必要
【売り手が振込手数料を負担する場合】の適格請求書の必要の有無
- 振込手数料を「売上値引き」で処理
- 振込手数料を「支払手数料」で処理
→不要
※「少額な返還インボイスによる交付義務免除」に該当するため