経理の知識

ストック・オプションのメリットとデメリット

経理の知識
この記事は約5分で読めます。
Pocket

今回は【ストック・オプションのメリットとデメリット】について解説します。

スポンサーリンク

ストック・オプションとは?

ストック・オプションとは、会社が従業員に対して、労働の対価として付与する新株予約権をいいます。

ストックオプションは従業員向けの新株予約権です。

新株予約権とは?ストックオプションとの違い

新株予約権とは、あらかじめ決められた価額で

株式を買うことができる権利のことをいいます。

補足

新株予約権者は、権利を行使すれば

株式の時価が上昇した場合でも、

あらかじめ決められた価額で株式を取得することができます。

そのため時価より低い金額で取得して、それを時価で売却することで利益を得ることができます。

ストック・オプションは新株予約権の一種となります。

権利付与日

会社が従業員に対してストックオプションの

権利を付与した日を「権利付与日」といいます。

この段階では権利行使できません。

権利確定日

一定の期間を満たした時点で権利が確定し、

これを「権利確定日」といいます。

また「権利付与日」から「権利確定日」までを「対象勤務期間」といいます。

権利確定日より、「権利行使期間」となり行使できるようになります。

【行使とは?】

行使とは、与えられた権利を実際に用いることをいいます。

つまり、新株予約権の権利を行使するとは、

「株式を買うことができる権利」を使うことをいいます。

対象勤務期間

【対象勤務期間とは?】

権利付与日から権利確定日を「対象勤務期間」といいます。

この期間は権利行使出来ません。

この期間を付与した従業員の労働等の報酬として「株式報酬費用」を計上します。

権利行使期間

【権利行使期間とは?】

ストック・オプション(または新株予約権)は行使できる期間は定められており、

この期間のことを「権利行使期間」といいます。

つまり行使期間内でないと、行使すること(株式を取得すること)が出来ないということです。

ストック・オプションのメリットとデメリット

ストック・オプションの

  • 従業員側のメリット・デメリット
  • 企業側のメリット・デメリット

について解説していきます。

従業員側のメリット・デメリット

従業員側のメリット・デメリットは下記のようになります。

【メリット】

  • 株価が上昇した時に行使し、取得した株式を売却することで売却益を得ることが出来る。
    →株価の変動に関わらず、あらかじめ決められた行使価額で株式を取得できるため、株価が上昇した時に行使して売却すれば利益を得ることができます。
  • 株価が下落しても行使しなければ、損失を受けることはない。

【デメリット】

  • 付与されてもすぐに行使できる訳ではない。
    ※行使できるのは行使期間のみ。
  • 権利確定日前に退職した場合、失効となり行使することができなくなる。
    →ストックオプションは労働の対価として従業員に付与するものです。退職した場合、そのストックオプションは失効となります。

企業側のメリット・デメリット

企業側のメリット・デメリットは下記のようになります。

【メリット】

  • 付与された従業員の意識向上やモチベーションに繋がる。
    →会社が発展すれば株価も上昇し、従業員は行使することで売却益を得ることができます。そのため従業員が会社を発展させようと意識向上に繋がります。
  • 資金に余裕がなくても、優秀な人材を集めることができる。
    →ストック・オプションでは現金の支払いが必要ありません。大企業並みの報酬を確約出来なくても、ストック・オプション制度により優秀な人材を集めることができます。
  • 優秀な人材の流出防止になる。
    →ストック・オプションは付与してすぐ行使できる訳ではありません。権利確約日までは行使できないため、それまでは優秀な人材の流出防止策となります。

【デメリット】

  • ストック・オプションを行使されることで、報酬を手にした人材が流出する可能性がある。
    →権利確定し行使されれば、その従業員は報酬を手に入れたため、他企業へ流出する可能性があります。
  • 株価の上昇見込みがなければ、従業員のモチベーションは低下する。
    →外的要因などで株価の上昇する見込みがなければ、行使しても利益は得られません。そのため従業員のモチベーションの低下に繋がる可能性があります
  • 従業員がストック・オプションの仕組みを理解していなければ、付与してもあまり意味がない。
    →ストック・オプションは従業員にとってもメリットが大きいですが、従業員がそれを理解していなければ、意識向上にも繋がりません。

ストック・オプションを導入する企業

ストック・オプションはどの企業でも導入できるものではありません。

株式を自由に売ることができなければ付与された従業員には、メリットがありません。

従業員としては売却して利益をもらえるのがメリットです。売却出来なければ意味がありません。

つまり。ストック・オプションを導入する企業は下記のような企業になります。

  • 株式公開(IPO)を目指している会社
  • 上場会社

特に株式公開(IPO)を目指しているベンチャー企業が用いられます。

株式公開、つまり上場した時、企業の株価を大きく跳ね上がります。

この時に権利行使し取得した売却することで、従業員は大きな利益を得ることができます。

まとめ

今回は【ストック・オプションのメリットとデメリット】について解説しました。

ストック・オプションは現時点では従業員に対して高額な報酬を支払うことができないけど

将来高い成長が見込まれるベンチャー企業に向いている制度となります。

うまく活用すれば、会社の業績を大きく成長させることが出来ますが、

制度を理解せず導入すると上手く機能せず逆効果となる場合もあるので注意しましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました