最近「独身税」という言葉が話題になり注目を集めております。
独身税とは「子ども・子育て支援金」のことを指しております。
今回はこの独身税(子ども・子育て支援金)について解説します。
独身税とは?
まず、独身者だけに課さられる税金というのはありません。
では、独身税とは何のことを指しているのか?
「子ども・子育て支援金」のことを独身税と呼ばれております。

独身税という税金は実際にはありません。
子ども・子育て支援金とは?
子ども・子育て支援金とは、こども家庭庁が制定した
名前の通り子育て支援をする制度です。
子ども子育て支援金が「独身税」と呼ばれる理由
子ども子育て支援金は、社会保険料に上乗せして支払う保険料です。
この保険料を支払うことによって、子育て支援を受けますが
独身者は恩恵を受けることがないため、独身税と呼ばれております。

子ども・子育て支援金の目的
子ども・子育て支援金の目的は
少子化・人口減少を阻止するためです。
子ども・子育て支援金が開始されることで、約1兆円程度が確保されます。
それに追加して総額3.6兆円規模の予算を使い「こども・子育て支援加速化プラン」を取り組み、
2030年代に入るまでが少子化傾向を反転させることを目標にかかげております。
子ども・子育て支援金の開始時期
子ども・子育て支援金は
2026年4月から開始される予定です。
会社員であればこの時期から社会保険料に上乗せして保険料を支払うことになります。

会社員であれば、他の社会保険料と同様に給料から天引きされるかたちになります。
子ども・子育て支援金の負担額
子ども・子育て支援金の毎月の負担額は下記の通りになります。

上記を見ると平均が月250円〜450円となっておりますが
75歳以上の高齢者が加入する「後期高齢者医療制度」なども含めた平均になります。
「被保険者1人あたり」で「会社員・公務員」の場合の負担額は
2028年度(令和10年度)で、月平均800円程度になります。

この表を見ると月250円〜450円に見えますが、実際の負担額はこれよりも多くなるケースがほとんどなので注意しましょう。
年収別の負担額
子ども・子育て支援金は年収によって負担額が異なります。
年収別の負担額は下記にようになります。
月額の負担額

年額の負担額


月額と年額を年収別に表すと上記のようになります。
子ども・子育て支援の内容
次に子ども・子育て支援金が始まることで、
子育て世代にとってどんな支援が受けられるのか?について説明します。
子ども・子育て支援金では、子供の出産から大学卒業まで
様々なところで支援が受けられる内容になっております。

こども家庭庁が作成したこども未来戦略 「加速化プラン」 を元に説明していきます。
児童手当の拡充
児童手当の拡充され、支給対象は高校生年代まで延長されます。
- 第1子・第2子
- 3歳未満:月額1万5千円
- 3歳~高校生年代:月額1万円
- 第3子以降:月額3万円
今回の改正により子供一人あたりの支援(高校生年代まで)が
約206万円→約352万円まで増えることになります。
妊娠・出産時からの支援強化
妊娠・出産時に下記のような給付が受けられます。
- 10万円相当の経済的支援
- ①妊娠届出時(5万円相当)
- ②出生届出時(5万円相当×こどもの数)
※2025年度から実施
- 出産費用(正常分娩)の保険適用の導入
- 正常分娩での出産費用は従前までは保険適用外だったが保険適用
※2026年度から実施予定
出産育児一時金の引き上げ
- 出産育児一時金を
42万円→50万円へ引き上げ
※2023年度から実施
子育て世帯への住宅支援
- フラット35の金利引下げ
- こどもの人数に応じて最大1%(5年間)の引下げ
- 公営住宅等への優先入居等
- 今後10年間で計30万戸
大学等の高等教育費の負担軽減を拡充
- 給付型奨学金等を世帯年収約600万円までの多子世帯、理工農系に拡充
※2024年度から実施 - 多子世帯の学生等については授業料等を無償化
※2025年度から実施 - 貸与型奨学金の月々の返還額を減額できる制度の収入要件等を緩和
※2024年度から実施
育休を取りやすい職場に
- 男性の育休取得率目標 85%へ大幅引き上げ
※2022年度では17.13% - 出生後の男女で育休を取得することで
手取り10割相当が支給(最大28日間)
「こども誰でも通園制度」の創設
- 月一定時間までの利用可能枠の中で、時間単位等で柔軟に通園が可能な仕組み
- 対象:0歳6ヶ月〜2歳の未就園児
- 利用時間:1ヶ月あたり10時間程度の上限を想定
- 利用料:1時間あたり300〜400円程度

このように子ども・子育て支援金により、様々な支援が受けられることになります。


子ども・子育て支援金は税金?
子ども・子育て支援金は名目上は
「税金」ではなく「社会保険料」になります。
子ども・子育て支援金は税金ではなく、社会保険料になります。
社会保険料とは?
社会保険料とは、社会保険にかかる費用で毎月の給与から天引きされるものです。

社会保険料は大きく上記のように区分されており、これらを
まとめて「社会保険」と読んでおります。
社会保険料と税金の違い
社会保険料は国民が負担するものではありますが
何かあった際に手当が受けられるというメリットがあります。
- 健康保険
→医療費が3割負担に軽減される。 - 厚生年金
→将来年金がもらえる。 - 介護保険
→65歳以上で介護が必要な状態となった場合に介護保険が適用される。 - 雇用保険
→失業した際に手当が受けられる。 - 労災保険
→業務上の怪我や病気が発生した場合に手当を受けられる。

このように税金と違って社会保険料を負担することで何かあった時に支援が受けられます。
税金ではないのになぜ独身”税”と呼ばれるか?
上記で説明したように社会保険料は何かあった時に直接的な手当てを受けることができます。
しかし「子ども・子育て支援金」は独身者には何も恩恵を受けることがないため
実質、税金に近いというイメージがあり、独身税と呼ばれております。

このような理由から独身税と呼ばれております。
独身税を導入した国はあるのか?
上記の「子ども・子育て支援金」は独身者のみに負担するものでなく
国民全員が負担するものです。
それでは、独身者だけに課せられる独身税を導入した国はあるのでしょうか?
「独身税」を導入した国はある。
1968年〜1989年、ヨーロッパのブルガリアで独身税が実施
ヨーロッパのブルガリアでは、独身者に対してかかる税金【独身税】を
1968年〜1989年にわたり実施したという過去があります。

独身者のみ税金がかかる【独身税】を導入した国は実際に存在する。
当時その国では少子化が進んでおり、将来的に労働力が不足することが懸念されていました。
そこで独身税を導入することで出生率の増加を目指しましたが、
独身税を導入する前よりも出生率が減少しまったという結果になってしまいました。
ブルガリアでは独身税の導入により
女性1人当たりが産む子どもの数を指す出生率が21年間で
2.18から1.86まで低下してしまいました。
まとめ
今回は独身税とも呼ばれる「子ども・子育て支援金」について解説しました。
この支援目的は少子化・人口減少を阻止するための対策であり、
2030年代に入るまでに少子化傾向の反転を目指す取り組みとなります。
要点をまとめると下記になります。

- 独身税とは「子ども・子育て支援金」のことを指している。
- 独身者は恩恵を受けられないため独身税と呼ばれている。
- 独身者だけに課さられる税金ではない。
- 子ども・子育て支援金は2026年4月より開始される。
- 負担額は月で平均数百円だが、年収別によって変動する。
- 子ども・子育て支援の内容は下記のような様々なものがある。
- 児童手当の拡充
- 妊娠・出産時からの支援強化
- 出産育児一時金の引き上げ
- 子育て世帯への住宅支援
- 独身者だけに課さられる「独身税」を導入した国はある。
- ヨーロッパのブルガリアで実施したことがあるが、出生率が下がってしまい失敗という結果になった。