2025年2月、国民民主党・玉木雄一郎氏より
2024年末に打ち出した「金融所得課税30%への引き上げ」をめぐり、増税との反発が広がってます。
今回は【金融所得課税が30%になるのか?】について解説します。
金融所得課税とは?
金融所得課税とは
株式・預金などの金融商品から得た利益にかかる税金のことになります。

配当金・利子・株式譲渡益などに対して税金を徴収します。
金融所得課税の税率
金融所得課税は「分離課税」に区分され税率は
一律20.315%になります。
【金融所得課税の税率】
- 所得税15.315%
- 住民税5%
→計20.315%

この税率が30%まで引き上げられるという話です。
金融所得課税30%へ引き上げはいつから?
現時点では検討段階で引き上げは確定していない。
※2025年2月時点
あくまで検討段階なので30%へ引き上げられると確定したわけではありません。
国民民主党の玉木雄一郎氏の主張
金融所得課税の引き上げに対して
国民民主党・玉木雄一郎氏は下記のように弁明しておりました。
「分離課税を30%に引き上げ、総合課税と選べるように目指す」

国民民主党・玉木雄一郎氏は「103万円の壁」の引き上げを主張していた人ですね。
30%へ引き上げするだけではなく、総合課税と選択できるよう検討しているようです。
■現行
- 一律20.315%の税率で分離課税
■改正後(国民民主党の検討案)
- 一律30%の税率で分離課税
or - 総合課税の税率で課税
※どちらか選択できる。


総合課税の場合、所得によって税率は15%-55%の間で変動します。
金融所得課税30%に関する玉木氏のポスト
金融所得課税30%に関することで
2025年2月2日にX(旧:Twitter)にて国民民主党の玉木雄一郎氏が下記のようにコメントしてました。

- 総合課税と選択できることで高所得者向けに金融所得課税30%を検討している。
- 高所得者の定義は年収1500万円-1600万円の層を対象と考えている。
総合課税と分離課税の違い
総合課税と分離課税の違いについて解説します。
総合課税とは?
「総合課税」とは、所得を合算した総所得金額に課税する方法で
サラリーマンであれば給与所得、個人事業主であれば事業所得がそれに該当します。
総合課税の場合、税率は累進課税制度が適用されます
累進課税制度とは、所得が多ければ多いほど税率が高くなる仕組みです。



上記は所得税の税率で、さらに別途住民税が徴収されます。
累進課税制度は収入(所得)によって税率が変わる制度になります。
所得税だけだと4-45%で変動し
住民税10%合わせると15-55%で変動します。
分離課税とは?
分離課税とは他の所得金額と合計せず、分離して税額を計算する方法です。
分離課税は、退職所得・山林所得、株式等の譲渡所得などが該当します。
この株式等の譲渡所得が金融所得課税に該当し
税率は一律20.315%になります。
【金融所得課税の税率】
- 所得税15.315%
- 住民税5%
→計20.315%

玉木氏の検討案は、分離課税と総合課税を選べるようにしたいという内容になります。
分離課税と総合課税どっちがお得?
では仮に今後、金融所得課税が分離課税と総合課税どちらか選べるようになったら
どちらを選択した方がお得なのでしょうか?
ざっくり言えば下記のようになります。
- 年収が高い場合→分離課税のほうがお得
- 年収が低い場合→総合課税のほうがお得
理由は総合課税は累進課税制度により所得が高い人ほど税率が上がるからです。


上記の税率は所得税で、さらに住民税10%加算されます。
金融所得課税はなぜ総合課税ではないのか?
総合課税にしてしまうと源泉徴収による税金の徴収が出来なくなるため。
その場合、確定申告が必須となり株式市場活性化の抑制になってしまう恐れがあるため。
株式の損益を管理する口座は
- 特定口座(源泉徴収あり)
- 特定口座(源泉徴収なし)
- 一般口座
の3種類がありますが特定口座(源泉徴収あり)の場合、
利益確定した時に税金が差し引かれるため確定申告が不要となります。
これは税率が一律20.315%で決まっているからです。
特定口座(源泉徴収あり)の場合、確定申告が不要
総合課税にすると収入よって税率が変動するため、このような源泉徴収が出来ません。
その場合、確定申告が必要となります。
そうすると確定申告をするのが手間で、株の売買を辞める人が出てきたり
あるいは確定申告漏れで税収が減少してしまう恐れがあるため
一律20.315%で分離課税を適用しています。

総合課税にしてしまうと税金の徴収が難しくなってしまうというのがデメリットになります。
NISA口座の場合どう影響するのか?
NISAの運用益は非課税のため影響はない
NISA口座で管理している金融商品は非課税なので
今回のように税率は引き上げられても全く影響はないかたちになります。

新NISAでは非課税保有限度額が計1800万円となります。

金融所得課税の国際比較
日本の金融所得課税の税率はは海外と比べて安いのか?高いのか?
金融所得課税の国際比較は下記のようになります。


海外と比べると日本の税率は高いことがわかります。
まとめ
今回は【金融所得課税が30%になるのか?】について解説しました。
要点をまとめると下記になります。
- 金融所得課税30%へ引き上げは2024年12月に打ち出した案である。
- まだ検討段階で確定ではない。
- 現行は一律20.315%の税率で分離課税だが
これを下記のどちらかを選択するかたちで考えていた- 一律30%の税率で課税
- or
- 総合課税の税率で課税
- NISA口座で運用しているものは非課税のため今回の件が改正されても影響はない。
