ニュースやSNSで「消費税が1%になる!」という話題を見かけて、
「生活が楽になるかも!」と喜んでいる方も多いのではないでしょうか?
しかし、経営者や経理担当者からすると「経理処理が煩雑化するのでは…?」と冷や汗をかいているかもしれません。
この記事では、現在進行形で議論されている「食料品の消費税1%」について
「いつ決まるのか?」「いつから始まるのか?」という最新の政治動向から、
「経理の実務処理が具体的にどう変わるのか」まで解説します。
消費税1%はいつから変わる?もう決まってるのか?
まずは消費税1%へ変わる
「時期」と「決定状況」について整理します。結論から言うと
現時点(2026年8月)では
「政府の大きな方針として打ち出された段階」であり
法案として完全に決定したわけではありません。

まだ消費税1%になると確定したわけではありません。
いつ決まるのか?(今後のスケジュール)
現在、高市首相が「飲食料品の消費税を1%に引き下げる」という方針を表明しており
自民党内での議論を経て、以下のスケジュールで進む見通しです。
2026年8月:
政府の方針として「閣議決定」が行われる予定です。
2026年秋:
臨時国会が開かれ、ここで消費税法改正のための法案が提出・審議されます。
ここで法案が可決されて、初めて「正式決定」となります。

2026年秋頃に正式に決定する予定です。
いつから1%に変わるのか?
飲食料品の消費税率が8%から1%に引き下げられる方針は下記のようになります。
消費税が1%になるのは、2027年4月から
この減税は2年間の限定措置で、2029年3月31日まで続く見込みです。
消費税1%で「経理の実務処理」は具体的にどう変わる?
消費者としては「安くなって嬉しい」で済みますが、
経理担当者にとっては「経理の業務負担の増加」に繋がる可能性があります。
具体的に実務がどう変わるのか、3つのポイントに分けて解説します。
【システム設定】「10%」「8%」「1%」の3つの税率が混在する
現在は「標準税率10%」と「軽減税率8%」の2種類ですが、
ここに「食料品の1%」が新たに加わります。
レジやPOSシステムの改修:
商品マスタを見直し、対象となる食料品を「1%」に設定し直す必要があります。
会計ソフトの税区分追加:
経理担当者は、仕訳を入力する際に「これは10%」「これは1%」と税区分を正確に判定して入力しなければなりません。
請求書・レシート(インボイス)の表示対応:
適格請求書には税率ごとの合計額を記載する必要があるため、フォーマットの改修が必須になります。
【資金繰り】仕入(10%)と売上(1%)による手元資金の悪化
まず消費税の納付額はざっくり下記のようになります
- ①受け取った消費税(売上1%)
- ②支払った消費税(仕入10%)
①ー②=消費税の納付額

上記はあくまでざっくりとした考え方になります。
消費税を支払う課税仕入(②)が10%のままで、課税売上(①)が1%となると
「支払う消費税」の方が多くなる逆転現象が起きます。
- ①売上10,000円(税抜)②仕入6,000円(税抜)の場合、消費税の計算
(1)消費税、課税売上8%、課税仕入10%、
①800円-②600円=200円
※10,000円×8%=800円
※6,000円×10%=600円
消費税の納付額は200円となる。
(2)消費税、課税売上1%、課税仕入10%、
①100円-②600円=△500円
※10,000円×1%=100円
※6,000円×10%=600円
消費税の納付額は△500円となる。
→マイナスとなるので500円の還付となる。
申告をしてから還付金が振り込まれるまで1〜2ヶ月かかります。
その間は「一時的に自社の現金がどんどん減っていく」状態になり、
黒字なのに資金ショートを起こすリスクが高まります。
経理担当者は、これまで以上に資金繰り管理を行う必要が出てきます。
【免税事業者への打撃】「還付」という救済策がない
小規模農家など売上が1,000万円以下の「免税事業者」の場合、事態はさらに深刻となります。

課税事業者の場合、消費税の納付義務がありますが免税事業者は消費税の納付や申告が不要となります。
免税事業者はそもそも消費税の申告義務がないため、
先ほど説明した「払いすぎた消費税の還付」を受けることができません。
免税事業者だと消費税の還付を受けることが出来ない
得意先からは1%しか消費税をもらえないのに、
仕入先には10%の消費税を払い続けるため、
その分は自社の損失になってしまいます。
還付を受けるためには「課税事業者」になるしかありませんが、
そうするとインボイス発行や消費税申告という
新たな業務負担やコストが発生してしまいます。

食料品消費税1%にすることで「免税事業者を減らして課税事業者を増やす」という狙いが政府側にはあるのでは?と言われています。
経理担当者が今からやっておくべき準備とは?
食料品の消費税1%が2027年4月に実施される場合
下記のような準備を検討しておくことをおすすめします。
資金繰りのシミュレーション:
「受け取った消費税」と「支払った消費税」を計算し、還付待ちの期間中に資金ショートしないか、運転資金に余裕があるかを確認する。
システムの対応状況確認:
契約しているレジメーカーや会計ソフト会社が、「1%」の税区分追加にいつ頃対応する予定か情報収集をしておく。
マスタ設定の棚卸し:
自社で扱っている商品や経費のうち、どれが1%でどれが10%になるのか、例外処理も含めて社内ルールを明文化しておく。
食料品消費税1%による外食産業への影響
外食産業の場合、
テイクアウトやデリバリーといったものは消費税1%になりますが
店内の飲食は消費税10%となります。
「テイクアウト(1%)」と「店内飲食(イートイン/10%)」
の線引きや判定を巡るトラブル・争いが増える懸念があります。
また、今までは「消費税10%」と「軽減税率8%」とわずか2%の差でしたが
これが「消費税10%」と「軽減税率1%」となると差は9%となります。
これにより「外食だけ高く見える」と思う消費者も出てくるため外食するお客様が減るのでは?という懸念もあります。

外食離れを引き起こす懸念はありそうですよね
なぜ「0%」ではなく「1%」なのか?
当初は消費税0%の方針で進めていましたが
「0%(免税)」とする場合、レジや会計のシステムを根本的に見直す必要があり
改修に1年以上かかると言われております。
しかし「1%」の場合、数字を置き換えるだけのものになるため
短い期間で改修できるためと言われております。
まとめ
今回は食料品の消費税「1%」による影響について解説しました。
要点をまとめると下記のようになります。
時期の決定: 秋の臨時国会での法案可決を経て、「2027年4月から2年間」の限定措置として導入される見通し。
経理実務の激変: 「10%・8%・1%」の3つの税率混在によるシステム改修や仕訳の煩雑化に加え、売上(1%)と仕入(10%)のギャップによる「資金繰りの悪化(還付待ちのタイムラグ)」が大きなリスクとなる。
免税事業者への深刻な打撃: 免税事業者は消費税の還付を受けられないというデメリットがある。
外食産業への余波: テイクアウト(1%)と店内飲食(10%)の線引きトラブルに加え、最大9%の税率差による「外食離れ」の懸念もある。
消費者にとっては家計の負担が軽くなる嬉しい政策ですが、
その裏側では、企業の経理現場や中小零細企業に重い負担とリスクがのしかかることになります。
法案の正式決定に向けて、今後の政治動向を注視しつつ、自社のシステム対応や資金繰りのシミュレーションなど、「今できる準備」を早めに進めていきましょう。

