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【図解】オルツ不正会計はなぜ起きた?架空売上・循環取引を徹底解説

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株式会社オルツは約119億円の架空売上を計上し、循環取引で入金を偽装する不正会計を行いました。

これにより経営陣が辞任し、2025年に東証から全面廃止となりました。

今回は【オルツの不正会計】について解説します。

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不正会計とは何か?

不正会計とは

企業が「本来の業績や状況を、意図と良く見せるために会計処理を操作すること」です。

例えば実際に売れていない商品を、売れたように記録したり、経費を過少にして利益を大きく見せたり行為などです。

  • 不正会計とは本来の業績や状況を、意図と良く見せるために会計処理を操作すること

オルツとはどんな会社だったのか?

株式会社オルツはAI分野のスタートアップとして知られ、

特に「AI GIJIROKU(議事録)」などのサービスを展開しました。

2024年に東京証券取引所グロース市場へ躍進した企業です。

急成長中の「AI業界の星」として、投資家やメディアから大きな注目を集めていました。

不正会計の判明までの経緯

2025年4月、オルツは決算発表を延期し、

不正会計疑惑を公表し第三者委員会の調査が始まりました。

調査の結果、

  • 2021年から約4年間で、119億円もの売上や研究開発費が仮・水増しされていたことが判明
  • 上の約9割が虚偽であった。

これにより経営陣は辞任、最終的に廃止に追い込まれました。

売上を9割水増しってすごい・・。

オルツの不正による経緯の詳細

オルツの設立から不正に至るまでの経緯の詳細は下記になります。

2014年設立

東京都港区に本社を置くAI技術開発のスタートアップとして創業。

主力サービスはAIを活用した議事録作成システム「AI GIJIROKU」で、デジタルローンなどの最先端技術も研究。

2021年6月頃不正開始

広告代理店など複数社を経由する循環取引スキームで売掛金の入金実績を偽装し、

監査を欺く仕組みを構築する。

2024年10月 東証グロース市場に上場

急速な成長で売上高は2020年度の約5,600万円2024年には約60.6億円となった。

※実際は2024年度の売上高約60.6億円のうち

約82%(約49億円)は過大計上であった。

2025年初頭内部告発発生

社内の元幹部が不正を認識し、社内外の弁護士に相談する。

内部告発者は司法取引に応じて詳細な証言を行い、内部メールや取引資料などの証拠を提出した。これらの証拠が不正摘発の決定的な根拠となった。

2025年4月初旬 SESC(証券取引等監視委員会)が強制調査開始

内部告発が発端となり、証券取引等監視委員会(SESC)が強制調査を行う。

オルツは調査に追われ、4月25日に決算発表延期と売上過大疑念の開示を発表。

2025年5月1日 東証が監査理銘柄(審査中)に指定

有価証券報告書虚偽記載などで厳しい監査が入り、株式の信用失墜が市場に明示化される。

2025年6月5日 朝日新聞が不当発言を報道

強制調査の存在や売上の大幅な水増しを広く公表し、社会の関心が高まっていく

2025年7月24日 第三者委員会が調査報告書を完了

2021年6月から2025年3月までの期間で約119億円の架空売上を認定。

循環取引や架空代理店販売を証明。

2025年7月30日 代表取締役社長が辞任、取締役3名も退任

不正の詳細があり、代表取締役社長を含む陣営経営に責任が求められ

代表取締役社長が辞任、取締役3名も退任

2025年7月30日 東証がオルツの上場廃止を決定

東証が上場廃止することを決定する。
※上場廃止日は2025年8月31日

2025年7月以降 株主による損害賠償請求や民事再生手続が開始

投資家の損失補填を目指して慎重化、企業再構築と法的整理が行われる。

2025年8月 株主88人、損害賠償請求へ 3億円規模

不正会計によって株価が大幅に下落し損害を被ったとして、

株主88人が損害賠償請求を行うこと判明。請求額は合計約3億円となる。

これまでがオルツの不正発覚からその後の経緯になります。

オルツ不正会計の詳細な手口

株式会社オルツの不正会計の手口は下記のようになります。

架空売上高の確保

オルツは、実際には商品やサービスの提供がなく、

存在しない取引先と売買契約を結んだように手続きをして売上を過大計上していました。

具体的には

AI議事録サービス「AI GIJIROKU」の販売に関して、代理店などの

架空の取引先と契約があったかのように受発注書を作成し、帳簿上で売上を計上しました。

商品やサービスを誰にも提供していないのに、「売れた」として売上を記録していたということです。

結果として、売上高の約9割がこの虚偽の架空売上でよく見られていました。

循環取引(資金の循環)による入金偽装

ただし売上計上をしても、その入金がなければ不正だとバレてしまいます。

そこでオルツは、「循環取引」と呼ばれる手法を使用しました。

  • オルツが広告代理店などに広告宣伝費を支払う。
  • これら広告代理店から資金が販売代理店に流れる。
  • 販売代理店がその資金で、オルツのAI GIJIROKUのライセンスを購入する形でオルツに支払う。

つまり、広告宣伝費として支払ったお金が、売上として戻ってくるだけということです。

研究開発費の水増額

上記の広告宣伝費の代わりに研究開発費名目の支出も加わり循環取引がされていました。

  • 2022年10月以降は、広告宣伝費の代わりに研究開発費名目の支出も加わり、研究開発業者に資金が支払われる。
  • これら研究開発費の資金も最終的に広告代理店に集約され、同様に販売代理店への支払いに回されるという資金循環が行われていた。

【図解】循環取引によるオルツの不正

上記で説明した循環取引による不正を図解で表すと下記のようになります。

  • ①は「広告宣伝費」による支払い
  • ②は「研究開発費」による支払い
  • ③は「売上代金」の受取による入金

これらの取引は実態はなく、ただ資金を循環させているだけのものでした。

売上(③)も経費(①②)も水増ししていたということですね。

まとめ

今回は【オルツの不正会計】について解説しました。

要点をまとめると下記になります。

  • オルツは2014年設立のAIスタートアップで2024年に東証グロース市場で上場。
  • その後、2025年に不正が発覚。
    • 2021年から2024年の約4年間で、売上と研究開発費を合わせて約119億円の過大計上
    • 売上の約9割は架空の循環取引で増額されていた。
    • 循環取引はオルツ→広告代理店→販売パートナー→オルツの資金循環による入金偽装。
  • 2025年4月に証券取引等監視委員会が強制調査を実施。
  • 2025年7月に第三者委員会が不正調査報告書を公表。
  • 代表取締役社長、取締役が辞任し、2025年8月に先行廃止が決定。
  • 株主88人が約3億円の損害賠償請求を行い、民事再生手続きも開始。
  • 不正は企業ガバナンスの重要性を再認識させる事例となった。
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