今回は工業簿記の
標準原価計算①原価標準の設定について解説します。
※本記事は日商簿記2級の内容になります
標準原価計算とは?
「実際原価計算」と「標準原価計算」を比較して説明します。
実際原価計算
これまで学習した原価計算は
実際に発生した原価(実際原価)をもとに製品の原価を計算していました。
これを「実際原価計算」といいます。
標準原価計算
標準原価計算は、あらかじめ目標となる原価(標準原価)を決め
この標準原価をもとに製品の原価を計算する方法です。
標準原価計算の目的
標準原価計算では、標準原価を用いますが
これは無駄や非効率を省略した場合の原価です。
そのため、標準原価と実際原価を比較することで、無駄や非効率を改善することができます。
これが標準原価計算の目的です。
標準原価計算を取り入れることで、製造過程の中の非効率となる部分を把握することができます。
標準原価計算の流れ
標準原価計算は下記のような流れで行います。
【標準原価計算の流れ】
- 原価標準の設定
製品1個あたりの標準原価を設定する - 原価標準の計算
原価標準にもとづいて[完成品原価]や[月末仕掛品原価]を計算する - 実際原価の計算
当月において実際にかかった[直接材料費][直接労務費][製造間接費]を計算する
・総合原価計算について - 原価差異の計算、分析
当月の実際原価と標準原価から原価差異を計算し、その原因を分析する
〇原価差異の計算
・原価差異の計算
・パーシャル・プランとシングル・プラン
〇原価差異の分析
・直接材料費差異・直接労務費差異
・製造間接費差異|シュラッター図 - 原価報告
原価差異の内容を経営管理者に報告し、必要に応じて原価の改善を行う
今回解説する内容は
【原価標準の設定】になります。
原価標準の設定
「原価標準」とは製品1個あたりの目標原価をいいます。
「標準原価」と「原価標準」の違い
「標準原価」とは、目標とする原価をいいます。
「原価標準」は、製品1個あたりの目標原価をいいます。
上記は言葉として似ておりますが、このような違いがあります。
原価標準の設定
原価標準は通常、[直接材料費][直接労務費][製造間接費]に分けて設定し
次のような原価標準カードにまとめられます。
※これにより製品1個あたりの目標原価を求められます。
このようにして製品1個を製造するための目標原価は1,450円と設定します。
これが「原価標準の設定」です。
また原価標準(1個あたりの標準原価)は下記のような計算式で算出します。
標準直接材料費=@標準単価×標準消費量(kg)
標準直接労務費=@標準賃率×標準直接作業時間(時間)
標準製造間接費=@標準配賦率×標準操業度
まとめ
今回は工業簿記の標準原価計算①原価標準の設定について解説しました。
要点をまとめると下記のようになります。
- 標準原価計算は、あらかじめ目標となる原価(標準原価)を決め、この標準原価をもとに製品の原価を計算する方法である。
- 標準原価計算は下記のような流れで行う。
【標準原価計算の流れ】
- 原価標準の設定
- 標準原価の計算
- 実際原価の計算
- 原価差異の計算、分析
- 原価報告
【①原価標準の設定】
- 「原価標準の設定」では製品1個あたりの目標原価を算出する。
- [直接材料費][直接労務費][製造間接費]に分けて設定する。
- 標準直接材料費=@標準単価×標準消費量(kg)
- 標準直接労務費=@標準賃率×標準直接作業時間(時間)
- 標準製造間接費=@標準配賦率×標準操業度
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