今回は工業簿記の
直接原価計算の[固変分解]について解説します。
※本記事は日商簿記2級の内容になります。
変動費と固定費の分解(固変分解)
直接原価計算では、原価を[変動費]と[固定費]に分ける必要があります。
この原価を[変動費]と[固定費]に分けることを【固変分解】と呼びます。
変動費と固定費の違い
「変動費」とは?
製品の生産・販売量に比例して発生する原価
(例)・・材料費
「固定費」とは?
製品の製品の生産・販売量に関係なく、一定額が発生する原価
(例)・・工場建物の減価償却費
固変分解の目的
固変分解とは原価を[変動費]と[固定費]に分けることです。
では、なぜ「固変分解」する必要があるのでしょうか?
→それは[直接原価計算の損益計算書]を作成するためには
変動費と固定費を分ける必要があるためです。
しかし実際に発生した原価を[変動費]と[固定費]に分けるのは簡単なことではありません。
例えば電気代は変動費に近いですが、正確には固定費も含まれています。
これを1つ1つ[変動費]と[固定費]に分類するのは不可能に近いです。
そこで次に紹介する方法によって[変動費]と[固定費]を分解します。
固変分解の方法
原価を[変動費]と[固定費]に分ける固変分解では
下記のような方法があります。
- 高低点法
- 費目別精査法
※日商簿記2級で出題されるのは上記2つになります。
高低点法とは?
高低点法とは、過去のデータを元に「最高の生産量」と「最低の生産量」の時の原価を用いて固変分解する方法です。
- 最高の生産量のときの原価
- 最低の生産量のときの原価
上記の過去の原価データをもとに下記を求めます。
- 変動費率(製品1個あたりの変動費)
- 固定費(期間総額)
これが高低点法です。
1番高い点と低い点で算出するため「高低点法」といいます。
計算式としては下記のようになります。
※固定費の算出は2通りありますが、どちらを用いても答えは同じとなります。
ただし、最高点と最低点は正常操業圏内から抽出します。
正業操業の範囲外は最高点と最低点に含めないので注意しましょう。
費目別精査法とは?
費目別精査法とは、過去の実績データから
「この費目は変動費、この費目は固定費」のように
費目ごとに原価を[変動費]と[固定費]に分類する方法をいいます。
- 工場の水道光熱費は「変動費」
- 工場建物の地代家賃は「固定費」
のように費目ごとに[変動費]と[固定費]に分類するのが「費目別精査法」になります。
高低点法の例題
(解答)
- 変動費率(製品1個あたりの変動費)
→@200円 - 固定費
→1,000円
(解説)
まず原価発生額の[最高点]と[最低点]を探します。
生産量 | 原価発生額 | 備考 | |
1月 | 16個 | 4,300円 | |
2月 | 15個 | 4,000円 | ←最低点 |
3月 | 9個 | 2,450円 | ←正常操業圏外のため 対象外 |
4月 | 17個 | 4,420円 | |
5月 | 20個 | 5,000円 | ←最高点 |
6月 | 18個 | 4,650円 |
- 最高点→5,000円(20個)
- 最低点→4,000円(15個)
これにより公式の当てはめて変動費率と固定費を計算します。
よって変動費率は@200
固定費は1,000円となります。
このように高低点法では、最高点と最低点の原価および生産量を用いることで、[変動費]と[固定費]を分けることができます。
まとめ
今回は直接原価計算の[固変分解]について解説しました。
要点をまとめると下記になります。
- 「固変分解」とは原価を[変動費]と[固定費]に分けるこという。
- 直接原価計算では[変動費]と[固定費]を分ける必要があり、そのために行うものである。
- 固変分解の方法は下記のとおりである。
- 高低点法
- 費目別精査法
※日商簿記2級で出題されるのは上記2つになります。
【費目別精査法】
過去の実績データから
「この費目は変動費、この費目は固定費」のように
費目ごとに原価を[変動費]と[固定費]に分類する方法
【高低点法】
過去のデータを元に「最高の生産量」と「最低の生産量」の時の原価を用いて固変分解する方法である。
下記のような計算式で変動費率と固定費を算出する
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