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CVP分析④安全余裕率

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今回は工業簿記の

直接原価計算の[CVP分析④安全余裕率]について解説します。

※本記事は日商簿記2級の内容になります。

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CVP分析とは?

CVP分析とは下記の3つの関係を明らかにする分析をいいます。

  • 原価(Cost)
  • 生産・販売量(Volume)
  • 利益(Profit)

それぞれの頭文字をとることで「CVP分析」と呼びます。

CVP分析と直接原価計算の損益計算書

直接原価計算では下記のような損益計算書を作成します。

直接原価計算の損益計算書

CVP分析では、この直接原価計算の損益計算書を下記のように簡略化します。

  • [変動売上原価]と[変動販売費]
    →[変動費]
  • [固定製造原価]と[固定販売費および一般管理費]
    →[固定費]

変動費率と貢献利益率

売上高から[変動費]を差し引くことで[貢献利益]が算出されます。

この[変動費]と[貢献利益]は販売量によって一定の割合で変動します。

この売上高に対する割合は一定という性質を用いて

下記のように変動費率貢献利益率を求めることができます。

変動費と貢献利益について

これにより売上高をS円とした時は下記のように表すことができます。

  • 変動費は0.7S円
  • 貢献利益は0.3S円

また販売単価@100で、販売量をX個とした時は下記のように表すことができます。

  • 変動費は@100円×0.7=70X円
  • 貢献利益は@100×0.3=30X円

この[変動費]と[貢献利益]の表し方はCVP分析では非常に重要な考え方となりますので覚えておきましょう

日商簿記2級で学習するCVP分析

日商簿記2級で学習するCVP分析は下記になります。

今回解説するのは安全余裕率になります。

安全余裕率とは?

[安全余裕率]とは[売上高]が[損益分岐点の売上高]をどれだけ上回ってるかを表す指標をいいます。

[安全余裕率]は下記のように算出します。

安全余裕率が高ければ高いほど、[損益分岐点の売上高]を大きく上回っており安全ということです。

例題

例題

次の資料にもとづき、損益分岐点の[売上高]およびその[販売量]を求めなさい

  • 損益分岐点の[売上高]
  • 損益分岐点の[販売量]
  • 売上高が12,500円の場合の安全余裕率

【資料】

(1)原価データ

  • 変動費
    • 直接材料費@30円
    • 変動加工費@20円
    • 変動販売費@10円
  • 固定費
    • 固定加工費2,000円
    • 固定販売費・一般管理費1,000円

(2)製品1個当たりの販売単価は@100円である。

(3)当期の売上高は12,500円だった。

(解答)

  • 損益分岐点の売上高7,500円
  • 損益分岐点の販売量75個
  • 安全余裕率40%

まず下記のような手順で問題を解きます。

【解答の手順】

  1. 損益分岐点の[売上高]および[販売量]を求める
  2. 安全余裕率を求める

損益分岐点の[売上高]および[販売量]を求める

損益分岐点の売上高については

解き方としては下記の2通りがあります。

2つの解き方

  • 売上高をS(円)とする場合
  • 販売量をX(個)とする場合

売上高をS(円)とする場合

  • 変動費:@30円+@20円+@10円=@60円
  • 変動費率:@60/販売単価@100=0.6
  • 貢献利益率:1-0.6=0.4
  • 固定費:2,000円+1,000円=3,000円

これを元に「営業利益=0円」の時の売上高を算出します。

貢献利益率は0.4のため、

貢献利益は0.4S(円)となります。

これに固定費3,000円を差し引いた金額が営業利益となるため

下記のような計算式ができます。

0.4S(貢献利益)-3,000円(固定費)=0円(営業利益)

これにより売上高と販売量が算出できます。

〇売上高の算出

0.4S-3,000円=0円

0.4S=3,000

S=7,500円

〇販売量の算出

販売単価@100円のため

売上7,500÷@100=75個

販売量をX(個)とする場合

  • 変動費:@30円+@20円+@10円=@60円
  • 変動費率:@60/販売単価@100=0.6
  • 貢献利益率:1-0.6=0.4
  • 固定費:2,000円+1,000円=3,000円

これを元に「営業利益=0円」の時の売上高を算出します。

販売単価は@100円のため販売量をX個とした場合

売上高は100X円となります。

売上高=@販売単価(円)×販売量(個)

また変動費は

100X円×変動費率0.6=60X円

貢献利益は

100X円×変動費率0.4=40X円

となります。

これに固定費3,000円を差し引いた金額が営業利益となるため

下記のような計算式ができます。

40X(貢献利益)-3,000円(固定費)=0円(営業利益)

これにより売上高と販売量が算出できます。

〇販売量の算出

40X-3,000円=0円

40X=3,000

X=75個

〇売上高の算出

販売単価@100円のため

75個×@100=7,500円

↓[損益分岐点の売上高]についての詳しい解説は下記をご覧ください。

この[損益分岐点の売上高]を用いて、次に[安全余裕率]を算出します。

安全余裕率を求める

安全余裕率は下記のように算出します。

  • 問題文より、当期の売上高は12,500円
  • 損益分岐点の売上高は7,500円

これを用いて下記のように[安全余裕率]を算出することができます。

安全余裕率=売上高12,500-損益分岐点の売上高7,500/売上高12,500

=5,000/12,500

=40%

まとめ

今回は直接原価計算の[CVP分析④安全余裕率]について解説しました。

要点をまとめると下記になります。

  • CVP分析とは下記の3つの関係を明らかにする分析のことである。
    • 原価(Cost)
    • 生産・販売量(Volume)
    • 利益(Profit)
  • [安全余裕率]とは売上高が損益分岐点をどれだけ上回ってるかを表す指標のこと。
  • 下記のような公式で求めることができる。

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