今回は工業簿記の
等級別総合原価計算の平均法について解説します。
※本記事は日商簿記2級の内容になります。
総合原価計算とは?
「総合原価計算」とは同一商品を大量生産する場合に用いられる原価計算です。
一定期間にかかった費用に数量で割って1単位ごとの原価を算出します。
等級別総合原価計算とは?
「等級別総合原価計算」とは、同じ作業工程で、同一種類ではあるが、サイズ・重さ・品質などの違いによって等級別に分けられる製品(等級製品)を大量生産する場合の原価計算をいいます。
等級別総合原価計算の例
例えば、同じ作業工程で[大きいサイズ]と[小さいサイズ]の机を製造しているとします。
この2つはサイズが異なるだけで、製品の種類は同じ(机)です。
このように同じ作業工程でサイズ(大・小)が異なる同種製品を大量生産する場合に適用される原価計算を「等級別総合原価計算」といいます。
図解
等級程別総合原価計算の計算方法
等級別総合原価計算は下記のようにして計算します。
【等級別総合原価計算の計算方法】
- 等級製品の完成品総合原価をまとめて計算する。
- この完成品総合原価を、各等級製品に配分する。
- 配分する際は、サイズや重さなど、一定の値にもとづき負担割合を用いる
この原価負担割合を等価計数という。 - また、各等級製品の完成品数量に等価計数を掛けた値を積数という。
- 完成品数量×等価計数=積数
- 積数を用いて完成品総合原価を各等級製品へ配分する。
例題
(解答)
- 月末仕掛品原価:1,990円
[M製品]
- 完成品総合原価:1,750円
- 完成品単位原価:@35円
[L製品]
- 完成品総合原価:3,150円
- 完成品単位原価:@63円
(解説)
平均法の場合、
平均単価を求め、それを用いて[月末仕掛品][完成品総合原価]を計算します。
完成品総合原価の計算
【直接材料費】
①月末仕掛品:
平均単価=(月初900+当月3,000)/(完成100+月末50)=@26
月末仕掛品=@26×月末数量50個=1,300円
②完成品:
月初900+当月3,000-月末1,300=2,600円
【加工費】
①月末仕掛品:
- 月初数量30個×50%=15個(月初)
- 月末数量50個×60%=30個(月末)
当月数量:完成100+月末30–月初15=115個(当月)
加工費の場合、[当月数量]が変動するので注意しましょう。
平均単価=(月初460+当月2,530)/(完成100+月末30)=@23
月末仕掛品=@23×月末数量30個=690円
②完成品:
月初460+当月2,530-月末690=2,300円
【合計】
①月末仕掛品:
直接材料費1,300+加工費690=1,990円
②完成品総合原価:
直接材料費2,600+加工費2,300=4,900円←この金額を等級別に配分する
各等級製品(M製品・L製品)の配分
上記で求めた完成品総合原価(4,900円)を
各等級製品(M製品・L製品)へ配分します。
①各等級製品の積数の計算
(完成品数量×等価計数=積数)
- M製品:50個×1=50個
- L製品:50個×1.8=90個
②各等級製品の完成品総合原価の計算
- M製品=4,900円×50/(50+90)=1,750円
- L製品=4,900円×90/(50+90)=3,150円
③完成品単位原価の計算
[M製品]
- 完成品総合原価:1,750円
- 完成品単位原価:1,750÷50個=@35円
[L製品]
- 完成品総合原価:3,150円
- 完成品単位原価:3,150÷50個=@63円
まとめ
今回は等級別総合原価計算の平均法について解説しました。
要点をまとめると下記のようになります。
- 「等級別総合原価計算」とは、同じ作業工程で、同一種類ではあるが、サイズ・重さ・品質などの違いによって等級別に分けられる製品(等級製品)を大量生産する場合の原価計算をいう。
【等級別総合原価計算の計算方法】
- 等級製品の完成品総合原価をまとめて計算する。
- この完成品総合原価を、各等級製品に配分する。
- 配分する際は、サイズや重さなど、一定の値にもとづき負担割合を用いる
- この原価負担割合を「等価計数」という。
- また、各等級製品の完成品数量に等価計数を掛けた値を「積数」という。
- 完成品数量×等価計数=積数
- 積数を用いて完成品総合原価を各等級製品へ配分する。
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