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外貨建取引の仕訳方法|決算時の換算【簿記2級】

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今回は「外貨建取引」の決算時の換算による仕訳方法について解説します。

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外貨建取引の為替換算

外貨建取引」とは海外の取引先など外貨(外国の貨幣)で行う取引のことです。

海外取引のため外貨で購入・販売しますが

帳簿では円貨へ換算する必要があります。

外貨→円貨へ為替換算する際は、外国為替相場(為替レート)をもって換算します。

外貨建取引は原則、取引発生時(HR)の為替相場で換算します。

決算時の換算

為替相場は日々変動するため

取引発生時(HR)に外貨→円貨へ換算した資産・負債は

決算時には見直す必要があります。

詳しく解説

例えば、取引発生時の為替相場(HR)が1ドル=100円で

売掛金100円(1ドル)を計上したとします。

もし決算時の為替相場(CR)が1ドル=80円だった場合

資産としての売掛金の残高は100円の価値はなく、

80円が正しい価値となります。

そのため100円(HR)→80円(CR)へ換算する必要があります。

※換算で発生した差額20円は[為替差損益]で計上します。

決算時の為替相場はCRとあらわします。

補足

外貨換算会計では、取引発生時・決算時・期中平均といった為替相場を用います。

この3つは下記のように省略することがあります。

  • 取引発生時HR(ヒトリカル・レート)
  • 決算時CR(カレント・レート)
  • 期中平均AR(アベレージ・レート)

貨幣項目と非貨幣項目

ただし、外貨の全ての資産・負債を決算時の為替相場(CR)に換算する訳ではありません。

  • 貨幣項目
    →決算時の為替相場(CR)へ換算
  • 非貨幣項目
    →取引発生時の為替相場(HR)

上記のように資産・負債のうち

貨幣項目に分類されるもののみ決算時の為替レート(CR)換算します。

貨幣項目→CR

外国通貨・外貨預金、売掛金、未収入金、受取手形、貸付金、未収収益

買掛金、未払金、支払手形、借入金、未払費用、社債など

非貨幣項目→HR

棚卸資産・前払金・前払費用・固定資産

前受金・前受収益など

前払金はなぜ決算時に換算しないのか?

[前払金・前受金・前払費用・前受収益]

すでに金銭の支払い、あるいは受け取りが完了しています。

その後の決済に影響がないため、決算時の為替相場(CR)で換算をしません。

それに対して

[未収入金・未払金・未収収益・未払費用]

これから金銭の支払い・受け取りを行います。

その後の決済で換算するため為替差損益が発生します。

そのため決算時の為替相場(CR)で換算します。

前払金・前受金が発生する取引は、

買掛金・売掛金による為替差損益は発生しますが

前払金・前受金による為替差損益は発生しません。

そのため、前払金・前受金は決算時の為替相場(CR)への換算は不要となります。

決算時の換算の仕訳方法

例題1(日商簿記2級)

例題1
外貨建帳簿価額取引発生時の
為替相場
現金1,000ドル@105
棚卸資産700ドル@99
売掛金300ドル
200ドル
@102
@95
前払金600ドル@97
土地900ドル@101
買掛金500ドル@102
前受金300ドル@95

上記は外貨建取引による帳簿残高になります。

決算時の為替レート1ドル=100のとき、決算時の換算の仕訳を示しなさい

為替差損益5,000/現金5,000
売掛金400/為替差損益400
買掛金1,000/為替差損益1,000

この中で貨幣項目は現金売掛金買掛金になります。

他は非貨幣項目のため決算時の換算はしません。

【現金の為替差損益】

(@100-@105)円×1,000ドル=△5,000

※現金(資産)が減少するため現金は貸方になります。

【売掛金の為替差損益

(@100-@102)円×300ドル=△600

(@100-@95)円×200ドル=1,000

△600+1,000=400

※売掛金(資産)が増加するため売掛金は借方になります。

売掛金は取引が2つあるため、それぞれ計算して合算します。

【買掛金の為替差損益】

(@100-@102)円×500ドル=△1,000

※買掛金(負債)が減少するため買掛金は借方になります。

例題2(日商簿記1級)

利息など経過勘定が発生する場合は少し複雑になります。

※経過勘定の決算時の換算は[日商簿記1級]の試験範囲になります。

例題2
外貨建帳簿価額取引発生時の
為替相場
借入金1,200ドル@102
貸付金300ドル@95

※借入金はX2年1月1日から借入期間6ヶ月、年利3%、利払日は6月30日の後払いである。

※貸付金はX1年12月1日から貸付期間2年、年利2%、利払日は12月1日で利息は前受けしている。

上記は外貨建取引による帳簿残高になります。

当社は3月決算で、決算時の為替レート1ドル=100のとき、決算時の換算および経過勘定の仕訳を示しなさい

※利息は月割りで計算する。

借入金2,400/為替差損益2,400
支払利息900/未払費用900
貸付金1,500/為替差損益1,500
受取利息380/前受収益380

借入金・貸付金は貨幣項目のため決算時の為替レート(CR)で換算をします。

また経過勘定による利息が発生します。

  • 利息による借入金の[未払費用]は貨幣項目のためCR
  • 利息による貸付金の[前受収益]は非貨幣項目のためHR

となります。

(借入金)

借入金の換算:(@100-@102)円×1,200ドル=△2,400円

※借入金(負債)が減少するため借方になります。

利息による未払費用の算出:

1,200ドル×年利3%×3ヶ月/12=9ドル(未払費用)

※X2年1-3月の3ヶ月

9ドル×@100(CR)=900円

未払費用は貨幣項目のため決算時(CR)@100円を用います。

(貸付金)

貸付金の換算:(@100-@95)円×300ドル=1,500円

※貸付金(資産)が増加するため借方になります。

利息による前受収益の算出:

300ドル×年利2%×8ヶ月/12=4ドル

※X2年4-11月の8ヶ月(翌期の収益の前受け)

4ドル×@95(HR)=380円

前受収益は非貨幣項目のため取引発生時(HR)を用います。

利息を支払った時の為替レート@95円を用います

ポイント
  • 前受収益は決算時の為替レート(CR)ではなく、取引発生時(HR)の為替レートを用いるので注意しましょう。
  • この取引発生時(HR)は利息を受け取った時(X1年12月1日)の為替レート@95になります。

まとめ

今回は「外貨建取引」の決算時の換算による仕訳方法について解説しました。

要点をまとめると下記のようになります。

  • 決算時、[貨幣項目]は決算時の為替レート(CR)へ換算する。
  • 棚卸資産・前払金など[非貨幣項目]は取得時の為替レート(HR)
  • 利息など経過勘定が発生したとき、前受収益・前払利息は取引発生時(HR)で換算する。決算時(CR)で換算しないこと
  • この取引発生時(HR)とは、利息を支払った時(あるいは受け取った時)の為替相場になる

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