[持分法]の修正仕訳は主に下記のようなものがあります。
- 株式取得時の処理
- 時価評価(評価差額)
※[部分時価評価法]と[全面時価評価法] - 投資差額の算定
- 時価評価(評価差額)
- 投資差額の償却
- 当期純利益の計上
- 受取配当金の計上
- 持分法の開始仕訳
- 期末の未実現損益の消去
- 期首の未実現損益の修正
今回は「投資差額の償却」について解説します。
株式取得時の処理
「連結」の場合、株式を取得し支配獲得した場合は
[投資と資本の相殺消去]を行います。
それに対して
「持分法」の場合は[投資と資本の相殺消去]は行いません。
そのため、株式取得時点では修正仕訳は行いません。
しかし、株式取得時は下記について算定する必要があります。
- 時価評価(評価差額の算定)
※[部分時価評価法]と[全面時価評価法] - 投資差額の算定

この時点では修正仕訳はありませんが、投資差額の算定が必要となります。
投資差額の償却の仕訳
株式取得時に「投資差額」を算出した後、
その投資差額は、毎年決算時に20年以内に定額法によって償却します。
※これは連結でいう[のれん償却額]になります。
しかし、持分法の場合は[のれん償却額]の代わりに
[持分法による投資損益(P/L)]で処理し
相手科目は[投資勘定(A社株式など)]を用います。
(投資差額の償却の仕訳)
持分法による投資損益 | / | A社株式 |

[持分法による投資損益]は営業外費用または営業外収益になります。
例題
前期末にP社はA社の発行済株式の20%を1,200円で取得し
関連会社として持分法を適用することにした。
下記の資料に基づき、当期の連結財務諸表を作成するために必要な
修正仕訳を示しなさい
- 前期末におけるA社の土地(帳簿価額700円)の時価は1,000円であった。
- 前期末におけるA社の資本勘定は次の通りである
資本金:800円 利益剰余金:900円 - 前期末に発生した投資差額は翌年から20年で定額法により償却する。
(解答)
持分法による投資損益 | 40 | / | A社株式 | 40 |
(解説)
まず順序としては前期末に発生した[投資差額]を求めます。
その後、当期の償却額を求めます。
◆投資差額の算定
関連会社のため【部分時価評価法】が適用されます。
①評価差額の算定:
(時価1,000-帳簿価額700)×20%=60円
②投資差額の算定:
投資(取得原価1,200)-資本(400)=800(借方)
※資本:(資本金800+利益剰余金900)×20%+評価差額60円=400

【部分時価評価法】の場合
持分に応じた部分のみを時価評価します。
◆当期の投資差額の償却額
投資差額800÷20年=40(投資差額の償却額)

まとめ
今回は「投資差額の償却」について解説しました。
要点をまとめると下記になります。
- 持分法を適用する場合、株式取得時に[投資差額]を算定する必要がある。
- この時点では修正仕訳は発生しない。
- 決算時に投資差額の償却額の計上を行う。
- 20年以内の定額法により償却を行う。
- (仕訳)持分法による投資損益/被投資会社株式
<連結会計>
<資本連結>
※下記は[日商簿記1級]の試験範囲
<成果連結>
(税効果会計の適用なし)
※日商簿記2級
(税効果会計の適用あり)
※日商簿記1級
<その他>
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