今回はリース会計の基礎について解説します。
リース取引は下記の3つに分類されます。
【リース取引の種類】
- 所有権移転ファイナンス・リース取引(日商簿記1級)
- 所有権移転外ファイナンス・リース取引(例外処理のみ日商簿記2級)
- オペレーティング・リース取引(日商簿記2級)
リース会計は日商簿記1級の試験範囲ですが
2017年度より一部簿記2級の試験範囲として改定されました。
※原則処理である利息法は簿記1級の試験範囲となります。
リース取引とは?
「リース取引」とは、建物や備品など、特定の物件の所有者である貸手が、当該物件の借手に対して合意された期間(リース期間)にわたって、これを使用収益する権利を与え、借手は合意した使用料を貸手に支払う取引のことです。
資産の貸手をレッサー
資産の借手をレッシー
対象となる資産をリース物件
リース取引は大きく2つに分類されます。
- ファイナンス・リース取引
- オペレーティング・リース取引
ファイナンス・リース取引とは?
「ファイナンス・リース取引」とは
- 解約不能(ノンキャンセラブル)
- フルペイアウト
上記の2つの要件をいずれも満たす取引をいいます。
【ファイナンス・リース取引の要件】(and条件)
①解約不能(ノンキャンセラブル)
解約することができないリース取引
②フルペイアウト(or条件)
- (1)現在価値基準
リース料総額の現在価値≧見積現金購入価額の90% - (2)経済的耐用年数基準
解約不能のリース期間≧経済的耐用年数の75%
※フルペイアウトは(1)(2)いずれか満たした場合
リース取引と聞くと、レンタルや賃貸借取引のイメージありますが
「ファイナンス・リース取引」は賃貸借取引ではなく、売買取引です。
リースという名前がありますが、実質購入に近いです。
基本は売買処理ですが、例外として賃貸借処理する場合もあります。
売買取引の場合、資産計上し
賃貸借取引の場合、費用計上します。
<売買取引と賃貸借取引>
【売買取引】
→固定資産を購入する
→資産で計上(オンバランス)
【賃貸借取引】
→固定資産を借りる
→費用で計上(オフバランス)
B/S(balance sheet)にオンするため
資産計上は「オンバランス」
費用計上は「オフバランス」
といいます。
ファイナンス・リース取引は下記のような仕訳になります。
リース資産 (資産) | / | リース債務 (負債) |
またファイナンス・リース取引は
- 所有権移転ファイナンス・リース取引
- 所有権移転外ファイナンス・リース取引
さらに上記2種類に分類されます。
所有権移転ファイナンス・リース取引とは?
所有権移転ファイナンス・リース取引は、リース期間終了後、所有権が借手に移転することです。
下記のいずれか要件を満たす場合
「所有権移転ファイナンス・リース取引」になります。
【有権移転ファイナンス・リース取引の要件】(or条件)
- (1)所有権移転条項
リース期間終了後、所有権が借手に譲渡される条項 - (2)格安購入選択権
リース期間の終了時、借手に対して著しく有利な価格で買い取ってもらう権利 - (3)特別仕様
リース物件が、借手の用途に合わせて特別な仕様よって製造されたもの
(1)(2)に関しては所有権が借手に移転することです。
(3)に関しては借手に合わせて製造されたもののため、リース期間終了後に貸手に資産が返却されても再び第三者へリースしたり売却したりすることが出来ません。そのため実質、借手の所有権に近いため移転リースになります。
所有権移転外ファイナンス・リース取引とは?
所有権移転外ファイナンス・リース取引は、
上記の要件に1つも満たない場合になります。
リース期間終了後、所有権が移転されないため
「所有権移転外ファイナンス・リース取引」となります。
オペレーティング・リース取引とは?
「オペレーティング・リース取引」とは通常の賃貸借取引です。
下記のファイナンス・リース取引の要件①②にどちらかでも満たない場合は
オペレーティング・リース取引になります。
【ファイナンス・リース取引の要件】(and条件)
①解約不能(ノンキャンセラブル)
解約することができないリース取引
②フルペイアウト(or条件)
- (1)現在価値基準
リース料総額の現在価値≧見積現金購入価額の90% - (2)経済的耐用年数基準
解約不能のリース期間≧経済的耐用年数の75%
※フルペイアウトは(1)(2)いずれか満たした場合
仕訳は下記のようになります。
支払リース料 (費用) | / | 未払費用 (負債) |
オペレーティング・リースは賃貸借処理のためレンタルと同じイメージです
リース取引の判定フロー
リース取引の判定フローを図解でまとめると下記のようになります。
まとめ
今回はリース会計の中の基礎であるリース取引の種類や要件について解説しました。
リースと聞くとレンタルのイメージをされる方も思いますが
レンタルは「オペレーティング・リース取引」になります。
「ファイナンス・リース取引」はリースという名前がありますが、実質購入に近いため売買処理となります。
名前に惑わされやすいですが
- [ファイナンス・リース取引]→お金を借りて資産を購入し、借金の返済する。
- [オペレーティング・リース取引]→資産を借りて、賃借料を支払う
と覚えておくとよいでしょう。
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