ファイナンス・リース「利息法」の仕訳処理について下記で解説しました。
今回は[年金現価係数を使用する場合]の仕訳方法について解説します。
ファイナンス・リースの要件
ファイナンス・リースの要件は下記の判定フローによって区分されます。
年金現価係数を使用しない場合
問題文に年金現価係数の記載の有無で計算方法が変わるのは下記2つになります。
- [リース料総額の割引現在価値]の算出
- リース料支払い時の[リース債務の返済額]の算出
まずは年金現価係数を使用しない場合の上記2つの算出方法を解説します。
リース料総額の割引現在価値の算出
リース資産 | 277,510 | / | リース債務 | 277,510 |
上記のような条件であれば[リース料総額の割引現在価値]は下記のように算出します。
- 100,000÷1,04=96,154
- 100,000÷1,042=92,456
- 100,000÷1,043=88,900
- 上記の合計277,510円
リース料支払い時のリース債務の返済の算出
支払利息リース資産 | 11,100 | / | 現金 | 100,000 |
リース債務 | 88,900 |
上記の条件であれば、下記のように算出します。
①支払利息の算出
リース債務277,510×4%=11,100円
②リース債務の返済額
支払リース料100,000-支払利息11,100=88,900円
年金現価係数を使用しない場合
【支払利息→リース債務の返済】の順で算出します。
年金現価係数を使用しない場合は支払利息を先に算出します。
年金現価係数を使用する場合
問題文に年金現価係数がある場合は
年金現価係数を使用して下記のように求めます。
【リース取引開始時】
・リース料総額の割引現在価値=年間リース料×年金現価係数
【リース料支払い時】
- (返済後)リース債務残高=年間リース料×残り年数に基づく年金現価係数
- リース債務の返済額=(返済前)リース債務残高-(返済後)リース債務残高
- 支払利息=支払リース料-リース債務の返済額
(1)リース取引開始時
(解答)
リース資産 | 277,510 | / | リース債務 | 277,510 |
年金現価係数がある場合は下記のように
[リース料総額の割引現在価値]を求めます。
【リース取引開始時】
・リース料総額の割引現在価値=年間リース料×年金現価係数
リース料総額の割引現在価値の算出:
年間リース料100,000×2.7751=277,510
見積現金購入価額が277,800>リース料総額の割引現在価値277,510
リース料総額の割引現在価値277,510の方が低いため、この金額でリース資産を計上します。
↓今回使用した年金現価係数は下記の赤字の箇所になります。
3% | 4% | 5% | |
1年 | 0.9709 | 0.9615 | 0.9524 |
2年 | 1.9135 | 1.8861 | 1.8594 |
3年 | 2.8286 | 2.7751 | 2.7232 |
4年 | 3.7171 | 3.6299 | 3.540 |
(2)リース料支払い時
(解答)
支払利息リース資産 | 11,100 | / | 現金 | 100,000 |
リース債務 | 88,900 |
年金現価係数がある場合は下記のように[リース債務の返済額]および[支払利息]を算出します。
【リース料支払い時】
- (返済後)リース債務残高=年間リース料×残り年数に基づく年金現価係数
- リース債務の返済額=(返済前)リース債務残高-(返済後)リース債務残高
- 支払利息=支払リース料-リース債務の返済額
(返済後)リース債務残高:
年間リース料100,000×1.8861=188,610
※X2年3月時点の残りのリース期間は2年のため、2年の4%の年金現価係数を使用します。
リース債務の返済額=(返済前)リース債務残高277,510-(返済後)リース債務残高188,610=88,900
支払利息=100,000-88,900=11,100円
※(別解)
[リース債務の返済額]は下記のようにも算出可能です。
100,000×(2.7751–1.8861)=88,900
↓今回使用した年金現価係数は下記の赤字の箇所になります。
3% | 4% | 5% | |
1年 | 0.9709 | 0.9615 | 0.9524 |
2年 | 1.9135 | 1.8861 | 1.8594 |
3年 | 2.8286 | 2.7751 | 2.7232 |
4年 | 3.7171 | 3.6299 | 3.540 |
年金現価係数を使用する場合
【リース債務の返済→支払利息】の順で算出します。
年金現価係数を使用する場合はリース債務を先に算出します。
まとめ
今回は年金現価係数を使用する場合の利息法のリース取引について解説しました。
年金現価係数を[使用する場合]と[使用しない場合]の算出の違いは下記のようになります。
●年金現価係数を使用する場合
【リース債務の返済→支払利息】の順で算出します。
●年金現価係数を使用しない場合
【支払利息→リース債務の返済】の順で算出します。
現金現価係数を使用するかしないかで、算出方法の順番が異なるので注意しましょう。
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