手形が不渡りとなった時、不渡手形へ振り替えます。
今回は手形の「不渡り」「不渡手形」について解説します。
不渡りとは?
不渡りとは、手形や小切手が支払期日を過ぎても決済できないことをいいます。
手形は掛け取引と比べると、支払いに対して強制力があるのが特徴です。
「手形」は「掛け取引」と比べると、支払いに対して強制力がある
では、手形を発行すれば必ず債権は回収できるのか?と言われれば、
答えは「ノー」です。
例えば支払期日が到来しても、支払人(約束手形であれば振出人)の当座預金に残高が残っていなければ、決済することができません。
このように、支払期日を過ぎても決済できない状態を「不渡り」といいます。
【不渡りとは?】
手形や小切手が支払期日を過ぎても決済できないこと
手形の金額が100万なのに、支払人の当座預金の残高が10万しかなければ当然支払いできませんよね。これが「不渡り」となります。
不渡りの種類
不渡りには下記のように種類があります。
・0号不渡り(振出人に関係のない不渡り)
形式不備、呈示期間経過後・期日未到来など
・1号不渡り(振出人の信用に関係する不渡り)
当座預金の残高不足
・2号不渡り
契約不履行、偽造、詐取、盗難、紛失など
このように3つ種類がありますが不渡りのほとんどが1号不渡りになります。
1号不渡りを出すと不渡り処分を受け、全金融機関に通知されます。
そして、1号不渡りを6ヶ月に2回出すと、銀行取引停止処分となってしまい、事実上の倒産となってしまいます。
不渡り=倒産ではありませんが、不渡りにより金融機関とのの信用力の低下に繋がり、銀行取引が停止され、融資も一切受けれなくなります。それにより資金繰りが悪化し、事業として成り立たなくなり事実上の倒産となります。
上場会社が不渡りを起こせば、証券取引所の廃止事項に触れ、上場廃止となります。
手形が「不渡り」となった場合の仕訳
手形が不渡りになったからといって、代金が回収できないと確定した訳ではありません。
しかし通常の手形と区別する必要があります。そのため不渡りとなった手形は
「不渡手形(資産)」という勘定科目へ振り替えます。
例①
不渡手形 | 110 | / | 受取手形 | 100 |
/ | 現金 | 10 |
受取手形は不渡りとなった場合、それと区別をするため「不渡手形」という勘定科目へ振り替えます。
また不渡手形には償還請求費用も含めます。
手形の金額100円+償還請求費用10円=110円
不渡手形=手形の金額+償還請求費用
下記で
(1)回収できた場合
(2)回収不能と確定した場合
(3)回収できていないが、回収不能と断定できず、期末決算を迎えた場合
の3パターンで解説していきます。
(1)回収できた場合
不渡り後、無事債権を回収できた場合です。
現金 | 110 | / | 不渡手形 | 110 |
(2)回収不能と確定した場合
不渡り後、債券の回収ができないと確定したときです。
貸倒損失 | 110 | / | 不渡手形 | 110 |
※回収不能となったため、貸倒損失(費用)で計上します。
(3)回収できていないが、回収不能と断定できず、期末決算を迎えた場合
少しわかりにくいですが、回収はできていないが、
まだ回収不能と決まった訳ではない時です。
回収不能と確定した場合は貸倒損失で計上しますが、期末決算の時点でまだ回収できないと確定していない場合(来期回収される可能性がある場合)は、貸倒引当金で計上します。
貸倒引当金繰入 (費用) | 110 | / | 貸倒引当金 (資産のマイナス) | 110 |
※貸倒引当金繰入は費用、貸倒引当金は資産のマイナスになります。
回収できないまま期末決算を迎えたが、
回収不能と断定できない場合、貸倒引当金として計上します。
この場合、期末時点では不渡手形の残高は残ったままになります。
貸倒引当金 | 110 | / | 不渡手形 | 110 |
※回収不能のため、貸倒損失で計上するが、すでに貸倒引当金で計上しているため、こちらから取り崩します。
「不渡り」を起こしたくない場合はどうすればいい?
会社の資金繰り上、どうしても支払期日までにお金が用意できないということもあると思います。
このままだと「不渡り」となってしまいます。
しかし、それを防ぐため支払期日を延長する「手形の更改」があります。
↓手形の更改について下記に詳しく記載してます。
まとめ
今回は手形の不渡りが起きたときの処理方法を解説しました。
不渡りが起きたら「不渡手形」へ振り替え、回収不能と確定したら「貸倒処理する」と覚えておきましょう。
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