今回は減損会計の【資産のグルーピング】について解説します。
減損会計とは?
減損とは資産の価値を減少させ、損失を計上することをいいます。
減損損失はP/L科目の「特別損失」になります。
【減損会計の考え方】
- 資産の価値(帳簿価額)を減少させる
(資産の減少) - 損失を計上する
(費用の増加)
どういう時に減損を行うのか?
固定資産は減価償却により、毎年費用計上すると供に
[固定資産の帳簿価額]を減少させていきます。
しかし、その固定資産の収益性が低下し、
[固定資産の帳簿価額]の回収が見込めなくなった場合、
この資産は帳簿価額としての価値がないと判断されます。
その場合、この帳簿価額を減額する必要があります。
これが「減損」になります。
減損会計の流れ
減損会計は下記のような手順で行います。
今回は【資産のグルーピング】について解説します。
資産のグルーピング
複数の資産が一体となって独立したキャッシュフローを生み出す場合は
「資産のグルーピング」を行って減損会計を適用します。
1つ1つの固定資産が収益性について調べるのは困難です。
そのため、このような単位でグルーピングを行います。
資産のグルーピングの処理方法
資産のグルーピングの処理方法は、下記のようなパターンがあります。
今回は【通常の処理】について解説します。
資産グループの減損の手順
資産グループの減損の手順としては下記のようになります。
次の例題で具体的な流れを解説します。
例題
(解答)
減損損失 | 2,100 | / | 機械 | 1,200 |
/ | 備品 | 900 |
(解説)
機械と備品で1つの資産グループとして考え
減損の兆候→認識→測定を行います。
その後、各資産へ減損損失を配分します。
減損の兆候
問題文より、資産グループにおいて減損の兆候ありと記載があります。
そのため次のステップの認識を行います。
減損の認識
資産グループにおいての「減損の認識」を行います。
【減損の認識】
[帳簿価額]>[割引前将来キャッシュ・フローの総額]
→減損を認識する。
- 帳簿価額:9,000-2,000=7,000円
- 割引前将来キャッシュフロー:5,400円(問題文より)
[帳簿価額]7,000円>[割引前将来キャッシュ・フローの総額]5,400円のため
→減損を認識する。
減損の測定
資産グループにおいての「減損の測定」を行います。
【減損の測定】
減損損失=帳簿価額ー回収可能性価額
※回収可能性価額は[正味売却価額]と[使用価値(割引後将来CF)]のいずれか高い方
問題文より回収可能性価額は下記の通りになります。
- 正味売却価額:4,500円
- 使用価値(将来キャッシュフローの現在価値):4,900円
※いずれか高い方が回収可能性価額となる。
使用価値4,900円の方が高いため、これが[回収可能性価額]となる。
そのため減損損失は下記のようになります。
減損損失=帳簿価額7,000ー回収可能性価額4,900円=2,100円(減損損失)
減損の測定後は、各資産へ減損損失の配分を行います。
減損損失の各資産へ配分
上記より減損損失は2,100円となりました。
これは機械と備品を1つの資産グループとした場合の減損損失となるため
これを各資産へ配分する必要があります。
問題文より「減損損失は帳簿価額にもとづき各資産へ配分すること」と記載があるため下記のように配分します。
〇帳簿価額の算出
- 機械:取得原価5,000-減価償却累計額1,000=4,000円
- 備品:取得原価4,000-減価償却累計額1,000=3,000円
→計7,000円
〇帳簿価額により減損損失を各資産へ配分する
- 機械の減損損失:
2,100円×機械の帳簿価額4,000円/全体の帳簿価額7,000円=1,200円 - 備品の減損損失:
2,100円×備品の帳簿価額3,000円/全体の帳簿価額7,000円=900円
これにより下記のような仕訳になります。
減損損失 | 2,100 | / | 機械 | 1,200 |
/ | 備品 | 900 |
経理実務でのグルーピングの方法
日商簿記の試験問題では資産グループの分け方は問題文に記載があります。
では実際の経理実務では、どのようにグルーピングするのでしょうか?
具体例を出すと下記のようにグルーピングを行います。
【資産のグルーピングの方法】
- 製品別にグルーピングする
- 所在地別にグルーピングする
- 事業部別にグルーピングする
上記はあくまで一例ですが上記のようにグルーピングするのが主となるでしょう。
ただし、グルーピングについては下記のようなルールがあります。
【グルーピングのルール】
- 原則として毎期同様の方法を行う。
- 事業の種類別セグメントより大きくなってはならない。
- 遊休資産や処分・廃止が決定した資産は他の資産グループから切り離し、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位として取り扱う。
※[減損会計適用指針]より
これらのルールに従った上で資産のグルーピングを行う必要があります。
まとめ
今回は減損会計の【資産のグルーピング】について解説しました。
要点をまとめると下記になります。
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